陸とミカオ3
水色の液体が来る。
ミカオは、爪を長くして、手を上から下へと縦に振る。
爪は、当たるが、ガキンッとなる。
固い。
見た目は水のようなのに、固い?
液体は一つのみだ。
陸も茶色かかる腕。
犬の前足のように見えるがその手のひらの部分は爪が長く伸びる。
ミカオも陸も似ているのは。
犬系という部分だ。
ミカオが陸に安心するのは似ているからなのかもしれない。
陸も、爪を向ける。
液体へ当てるが、やはり固い。
「かたい…………?」
手首に傷みがあるが、気にしない。
陸は、それでももう一度爪を当てようとする。
「ぺらぺらぺらぺら」
ミカオは耳をピクピクとする。
「りく!!!!」
陸はミカオに呼ばれる。
ミカオは焦っている表情のため、陸は後ろへと下がる。
液体は陸へ飛び込むように動く。
というか、ここは階段だ。こんなとこで、動いてると、危なすぎる。
陸は地面へとごおんと飛び込んだ間に。
ミカオを抱きかかえると、階段を下りてしまう。
階段からは離れた。これで少しは危なくない。
液体は、地面にぶつかったが、陸たちを追うように来る、が。
ミカオと陸には近づいてこない。
「あれ?」
ミカオは少し近づく。
が、液体は来ない。
というか、もしかして
陸はつぶやく。
「階段でしか動けないのかな…?」
「…そうかも」
が、ここからどうしたら。
あんなのが階段にいたら困る。
考えてると。
「わー!よく育ってるー!」
二人の後ろで声がした。
後ろを見ると、そこには青のベレー帽。
黄色のオーバーオール。
丸いメガネ。
「わー、育ったー」
少年がいた。
身長は小さい。
顔には自分でかいたのか、星の落書き1つ。
自分でかいたのだと思える。
「育ったー」
少年はニコニコと階段へと向かうと、液体は少年に飛び込む。
「ぺらぺらぺら」
「…………わあ!………」
陸はつい、心配してしまう。
「大丈夫ですか!てか、何ですか!?これは」
少年は答える。
「水色の液体を階段にちょっと垂らして、育てたくて…太陽に当たる方が作れるかなって」
「で…なんですかこれは」
「水色の液体」
「…はい?」
ミカオは、飛ばされて倒れる少年の元へ行く。
ミカオはとても冷たく見下ろす。
「作った………?」
「うん?作ったんだよ僕は作るのが好き___………」
ミカオはぐっと少年のベレー帽は取って、頭を拳で思いっきり殴る。
「いったああ!」
「こんなとこで………作る………だめ!」
ミカオは真面目な目をするが。
少年は頭をなでながらニコニコする。
「なんで?だめなの?いーでしょ?」
少年は立ち上がると、ベレー帽はひょいとミカオから軽く取り返す。
液体の元へ行く。
「ぺらぺらぺらぺら」
液体にベレー帽をかぶせると、何かしゃべっている液体は吸い込まれる。
少年はニコッとする。
「僕の勝手だよー?さよならー」
少年は行ってしまう。
反省とかはしない。
ミカオはギュッと拳を握る。
「あれって…」
「また……する」
「反省してもしなくてもまたする人って…たしかに…いますね」
「…………あの子は………何度も……するかも」
陸は階段を見る。
もう、水色の地面ではないが。
あの少年は気になる。