似世界 空間の壊れた場所で(クロリネ 拓前 時恋)552
似世界
空間の壊れた場所で
クロリネ 拓前 時恋
氷かかる地面。
凍った赤の瞳の怪物たち。
その中央付近をクロリネは歩き出す。
拓前は必死だ。
空間の壊れた亀裂へ破片を蒔く。
必死に蒔いていく。
クロリネと時恋。
二人のすることは。
赤の瞳の怪物を拓前に近付けさせない。
時恋はゾクッとした。
それは。
何かが空中を流れてくる。
絡まる力という球体。
雷雲の雫
時の力
イロノルレフ亜の力
そこに…更に強い力。
遂げたシルベの力が増やされた。
時恋はゾクリとした。
赤の瞳の怪物も、絡まる力には近付かずに爪を向けてくる。
時恋の反応に。
クロリネはニコリとする。
「怖いのですか?」
時恋はハッとする。
「こ、わく、ない」
クロリネは絡まる力へ近付く。
手を向けようとしたが。
「これは………力が吸い取られてしまいますね」
クロリネは自分の口元に指を当てると。
笑う。
「なら」
クロリネは思いきり絡まる力へ自分の手を入れる。
消されるなど、恐れはないのか。
クロリネは内部から氷の力を現しあえて力を吸わせていく。
絡まる力は吸い取る力も持つようだが。
それを利用して、氷の能力を吸い取っていく。
力を持ちすぎた力は膨れ上がり弾け消えた。
クロリネとは怖がらない。
それが彼女なのだが。
絡まる力は流れてくる。
時恋はあまり黒の刃でも近付きたくないようだ。
だが。
絡まる力は空間にぶつかると亀裂を開けて壊そうとする。
絡まる力に寒気が感じる。
時恋はどうするのか。
恐怖に体が動かない。
怖い、怖いのだ。
時恋は怖い。
近付けない。
言葉だけ出す。
「こわ……………、く……………、ない………、」
体が震えている。




