現世界 青命屋敷内544
現世界
青命屋敷内
青標食
ミスハサ
海画 転
青標食は弱まっている。
壁にぶつかり、倒れたままだ。
起きあがる。
現ツミウの方を見る。
雷雲の雫があることで戦えている。
その姿を確認してからミスハサを見る。
時の式を破壊されることを止めようとする。
邪魔者だ。
ミスハサのみを狙う。
青標食は弱まる体のまま、ミスハサへ突進することを選ぶ。
ミスハサはその場を動けない。
血を吐き出しつつ力を込めている。
ミスハサはニッとする。
避けられない。
ミスハサは避けない。
地面に触れ、指を滑らせたが。
そこへ。
飛び込んできたのは。
転だ。
青結びも使えないというのに。
ミスハサは急いで地面に指を滑らせると。
時の力を持つ盾を現す。
青標食は激突する。
破壊はされない。
ならばと。
青標食は自分の針金腕を取り外すと放り投げる。
絡まる力は時式へと向かう。
ミスハサは更に体を傷む。
「うわ…………」
転はあわてている。
「ミスハサさん、えっと、体……」
「気にしないで」
「でも」
海画と転はそこにいる。
海画は静かにいう。
「痛む?ミスハサさん」
ミスハサは答える。
「痛むね。でも、当然の痛みだから」
「そう」
海画は落ち着いて後ろを向く。
三日月の存在が現れているのだ。
「転くん。俺たちはあの存在を相手にしようか」
「あ…………でも。力が」
海画は静かに笑顔を作る。
「力は無理矢理起こせばいいんだよ」
「むりやり…………ですか」
「力に頼りきり?力任せ?力があるんだから使わないとね」
ミスハサは時式を集中する。
「あなたたちはツミウさんたちを止めたいんだよね」
転が答える。
「はい!ツミウさんは敵ではないんです!」
ミスハサは時式が壊れていく気配を感じる。
「そうなんだ。あ。この部屋の時の力使ってよ。もう使ってるみたいだけど」
海画と転は三日月存在が向かってくる。
海画は笑う。
「使うよ」
転はうなずく。
どうしたらいいか分かってはいない。
だが力の感じる壁に触れる。
ミスハサは青標食を相手にする。
ミスハサは倒れて動けなかった。
時の力は時式に引っかかる彼岸花と花飾りにより、体力が回復された。
青標食は時式へ絡まる力を向けつつ盾を破壊する。
ミスハサは前を向く。
「そっちにもそっちの目的がある。俺もある」
ミスハサは血を握るようにして、自分の胸元掴む。
そうすると時という力が更に自分から溢れる。
青標食は体を回して針金腕を飛ばす。
同時に絡まる力も青標食の近くから現れる。
ミスハサは。
笑うしかない。
「同時に来たら無理………なんて、無理なんてないよ」
ミスハサは地面の時式が自分を直そうとしているが。
その力を吸い取ってしまう。
彼岸花と花飾りの力があるからだ。
「少しくらい力使えるよね?というか。時もどうにかできるよね?」
時式の緊張を感じた。
ミスハサは地面に触れると更に奥へと腕を押し込む。
花飾りを握る。
ミスハサはその力へいう。
「その力も使わせてもらうよ」
時の力も花飾りの力も使う。
使えるものは何でも使う。
イロノルレフ亜、ミスハサはそこは似ている。
ミスハサは花飾りの力を腕に込められる。
絡まる力。
針金腕が迫る。
ミスハサは花飾りの暖かな力を時を込めることで黒く染める。
闇を感じさせる力として花と時が混ざる。
絡まる力を避けるではなく、消すことを選ぶ。
消せるのか?
いや。
ミスハサの場合は消すことを選ぶ。
一つでも消したい。
ミスハサは黒色の花飾りを前へと出すと。
時の模様が現れる。
闇が模様を包む。
絡まる力はミスハサへ迫る。
まず針金腕部分は避けるではなく、絡まる力に吸い込まれた。
そのために同時に向かわせたようだ。
ミスハサは絡まる力を模様に受ける。
自分自身に受けるではなく、力に受けさせているように思うが。
力とは本人に傷をつける。
力は本人でもあるため、絡まる力が当たることでミスハサは痛みを受ける。
立ち続ける。
絡まる力を消すことで時式を破壊させないように。
そのために。
青標食は弱まるとしても体は動けるのだから。
下がらない。体を地面に着けることもしない。
ミスハサは逆に地面に膝を着けてでも避ける気はない。
絡まる力を受け、消す気だ。
力を消す。
一つでも消せるかも分からない力。
それがいくつも発生している。
全てをどうにか出来るとは思わない。
出来ないとしてもやる。
消す。
ミスハサは花飾りへささやく。
「強くならないと何でも守れなかったよね」
花飾りが力を起こせる言葉をいう。
「俺は罰人だけど。俺に力を貸してほしい」
花飾りは反応する。
絡まる力を内部で渦を巻くように攻撃する。
青標食はその反応を感じたが。
ミスハサの気持ちも花飾りの気持ちも強い。
けれど。
雷雲の雫が現れる。
この力の持ち主だった者も強さがある。
雷雲の雫は絡まる力へと向かう。
本当にどちらも。
最初から想いから生まれている。
想いの強さは比べるはないと思う。
誰もがどうしても、どうしても
強くなろうとした。
強くなりたかった。
力が欲しいそんな誰かたちがこの場にいる。
世界を救うとか
壊れるとか
何だか壮大だとかなるが
これは壮大な話ではなく。
お互いに何を大事に想ったか
そのために何をするのか
そんな誰かたちの話




