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情けない10 

かいとは目が覚めると。

白いベッドの上。

どこかの部屋だ。


目の前にいるのは桜子とほこ。

ほこがかいとに抱きつく。


「かいと!ごめんなさい!」


「え、いや!気にしてねーから!ほこ!」


ほこはかいとの胸に顔を埋める。

かいとは、ほこの頭を不器用になでる。


「痛かった!ちょっと怒ってる!でも、気にしてねーから!それより、ここは…?」


「上の方の使いの部屋…みたい。ごめん…かいと」


ほこは下を向いている。


「だから、そんな顔するなって」


かいとは、頭をやはり不器用になでる。


_痛かった、けど…あれはあのこどもがしたことだ。ほこに本気でなんて怒ってない。痛かったからそれは少し怒ってるけど。

というか、俺…………倒れたのか……………


俺は顔を覆う。


「情けない………俺、倒れるとか………かっこわる」


_俺は、情けなさすぎる


桜子が心配そうにかいとを見ている。


「桜子……………その、俺どのくらい寝てた?」


「三十分くらいかな…起きてよかっ…」


_俺は


「かっこ悪すぎだろ俺」


「…だって…ずっと寝てて…」


「俺は俺がしたいなんていって…桜子のこと考えないで………自分勝手で………」


「そんなことない。だって、私は………」


_俺は、勝手だ

桜子に余計なことして。


「優しくすんなよ!!俺は戦えてなかったし…!俺のせいで、回復?ってやつが遅くなってんだろ!!?」


_…あ!大きい声出してしまった………


「余計なこと…してないよ?」


「なんで、そんな俺のこと好きとかいうんだよ!」


「好きだよ」


_なんで

なんで

なんで

わかんないんだよ

誰かに好かれるとか

俺は守られたし!

俺の勝手で

しかも倒れるし

本当に勝手だし!


「好きだよ。かいとくん」


「………………俺は、好きとかわかんないんだ!」


「なら、私が好きにさせるよ。かいとくんが私だけ見るように」


「なんで………」


「わからないよ、好きだから好きなの。離したくない。誰にも渡したくない」


_好きってなんだよ………

今だって、倒れたからって一人で勝手に怒ってるし…


「俺…」


桜子はかいとを抱きしめる。


「私、人になってね、かいとくんにふれたり、抱きしめたりできるの………うれしいの…かいとくんて温かいんだよね」


桜子は笑う。

かいとはいう。


「…一人で勝手に俺…怒ってるのに」


桜子はかいとの目を見る。

桜子は少し頬をふくらます。


「かいとくん。怒るのはだめ。私怒るのあんまり好きじゃない」


頬を伸ばされる。


「あと、好きっていってるのにわからないとか私も怒るよ?それ以上いうと」


頬を伸ばされる。


_桜子は怒ってるといっても………抱きしめられたら怒られてるって気しない!


「俺を甘やかさないでくれ!ちゃんと怒ってくれ…お前は情けないとか!お前はだめな奴とか!桜子は………優しすぎる!」


ほこがいう。


「かいとは………そういう趣味?」


「は!?何の趣味だ!そうじゃなくて!俺………甘えちゃうんだよ!俺なんて……奴は」


桜子は抱きしめてくる。


「じゃあ、甘やかさなければいいんだね…私…その、うまくできるかわかんないけど」


「…え」


「かいとくんは、情けない!あと!だめだめ!あと………えっと、勝手!」


「……………………!!」


「これでいいのかな…?」


かいとは顔が赤くなる。


「え…え…桜子は……」


ほこがいう。


「桜子は相手を甘やかせて相手をだめにするタイプかも…桜子!よくないよ!厳しくしないと」


「き、厳しく…」


__…っ俺は


「……………俺………その……」


桜子は優しすぎるようだ。

性格が。

どうして。

こんなに。

優しすぎるなんて。

だまされそう。

誰かに。

心配だ。

心配だ。

本当に。


かいとは、桜子に抱きしめられていて、自分も桜子の背中に手を回そうとして……。


そこへ、


「起きましたか?かいと様」


二人が抱きしめあっていて。


上の方の使いは空気を読む。


「あ…すみません。私のことは気にせずに」


上の方の使いはどこかへ行く。


桜子から離れようとする。

が、桜子が離さない。


「かいとくん。もう少しこのまま」


「離れ…うん、離れよう桜子、ほこ!」


ほこへと声をかける。

ほこはいう。


「ほこは桜子の邪魔はしないの」


ほこが消える。


かいとは、このままでも。

でも。

あ、でも。


このままでも。


「やっぱりここではだめです」


上の方の使いがくる。


何とか………うん。

桜子も離れてくれたし。


かいとたちは帰る。


上の方の使いはいう。


「あなたたちを見たものは、とりあえずはいいだろうとのことです」


桜子は


「よかった…ですか?」


「それでもよく思わない方もいますが、上の方も強いので」


桜子は頭を下げる。

かいとも頭を下げる。


「では…失礼します……あと、その、お二人は恋人同士ですか?」


桜子がはっきりという。


「私は好きですが、かいとくんは私に興味ないんです」


「え、あんなに近かったのにですか?最低ですね。かいと様」


上の方の使いは俺へどうしようもないものを見る目をする。


「えっと、あ…」


「最低ですね」



かいとはだらんと体を下げる。

桜子はいう。


「甘やかしちゃだめなのよね!」


「………いや、俺…女性にだらしないやつと思われてるけど」


_厳しいをまちがってる………


上の方の使いはいう。


「最低ですね」


_グサッ!!!


_心に突き刺さる!


かいとは、アパートへと帰る。

いつきがいる。


「あ、兄さん。おかえり」


「俺は………俺は、最低だ!」


「え、今ごろ?」


いつきはそういった。


「兄さん。私野菜切るからいためてー」


「今日夜のごはんて」


「野菜いため!なので!野菜はまあ…切るくらいは私だってできるけど……………いためるのはうまくできないから…………兄さん。お願い」


「…わかった」


かいとは帰ってから野菜いためをいつきと作った。


かいとは、野菜いためを食べる。


「うまい…」


いつきもにこーっとする。


「うまーい」


「にしても母さん寝てるな」


いつきとかいとの母、はなのはテーブルの近くで寝ている。

布団はかけられている。

いつきがかけたのだと思う。


「ねー。寝てるねー」


それから、二人はすることはして、寝てしまう。


かいとは部屋で思う。

桜子のことを考える。


_…でも余計なことしたよな…俺…


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