似世界 心愛510
似世界
桜逃の間
いつき 心愛 逃げの間の者
心愛は白系の服装を着ている。
「こんにちわ。私は心愛。いつきさんだね。きっと、別の私も迷惑だったよね…………」
「心愛さん………あ!!え!何で」
「呼ばれて……それより!血が………」
いつきは立てない。
心愛はすぐに走ってくるといつきの隣に座る。
「このために私はここに来たのね……」
心愛はいつきの背中を抱く。
「私は……あなたを治したい」
いつきは気になる。
「あの、心愛さんなのですか?」
「あ…………すみません。別世界の心愛なの」
「別の世界の………私がいた場所の心愛さんたちは……やっぱり消えたのですか?」
「うん。でも、幸せみたい。それはそうだよね」
「………幸せなら良かったです」
心愛はいつきの手を握る。
「ごめんね。恋愛ゲームの心愛ではないんだ」
「えっと、なら?」
心愛は笑う。
「旅のゲームの心愛だよ」
「旅のゲームですか」
「旅の心愛。そして、私には一つ力が備わっているの。だからここへ呼ばれたんだね」
「…………力?」
心愛は背中を抱きしめ手を握る。
「傷治しの心愛。そう、呼ばれている人物なの」
「別の世界では傷治しなんですね。かっこいいですね」
「ううん。物語を作るあの人は闇と希望のテーマだからどちらかといえば悲しい物語なの」
「でも………治ってきました!痛みが」
「良かった………私を呼んだのは桜の女の子なの。あなたのことを助けたかったんだね」
「…………そうだったんですね……………ありがとうございます」
いつきは手を握り返す。
逃げの間の者はいつきの肩に乗る。
_ありがとう!
「うん。………その。危ないことしたらだめだよ……?て、危ないこと多いよね。私の物語もそうだもんね」
心愛は小さく手を振る。
彼女の背景には桜吹雪がある。
「別の世界の私たちと出会ってくれてありがとう」
「わ、私こそありがとうございます」
いつきと逃げの間の者は姿を消してしまう。
桜吹雪が残る。
心愛はいう。
「あなたは彼女のことを大事に思ってるんだね」
その後ろには桜の少女がいる。
「はい。大事と思ってます」
「別の世界の私の所へ来るのは相当に躰に負担では………少し休んだ方が」
「負担なんていってられません。その時にしか守れませんから」
「あなたも帰るんだね。…………無理、してるね」
「その時じゃないと、命をなくす時もありますから」
心愛は桜の少女の手を握る。
「私は旅の心愛。どうか、少しはあなたの力が戻りますように」
桜の少女はけれど、負担は大きすぎたようだ。
二人も姿を消していく。
心愛はいう。
「……また、どこかで」
桜の少女も答える。
「はい。ありがとうございます。あ…。また、どこかで……会えるといいな」
繋がりは生まれてどうやら消えることなく続くようだ。
たとえ違う日々としても。
繋がりは消えない。
本当に消えないようだ。




