かいと 桜子 ほこ7
大きな姿になった黒猫がたくさんの足を上へと軽々持ち上げると、だあんと、かいとの方へ足を落とそうとした。
が、かいとは、何とかよける。
「………あぶね………というか!何なんだよ……!これ…」
少女はクスクスする。
「ふふっ。たおしちゃえたおしちゃえー」
「お前、何なんだよ!」
「そんなこといってられるのー?」
また、足が向けられる。
かいとの服すれすれで、服が少し破れる。
「ふく!ちょっ!服とか切られると困る!」
「あははー、ねーこちゃん、あっちには何もしないねー」
かいとには向かってくるが桜子の方には行かない。
かいとは、ほこに攻撃なんてできない。
ほこは足を器用にカタカタと動かして、かいとの方へ突っ込んでいこうとする。
かいとを狙うほこの前に桜子が立つ。
その目は鋭い。
ほこは、スピードは速い。が、桜子の姿はわかるのか、桜子の体ギリギリで前足を地面に押し込んで、体を止める。
ほこは、息を吐く。
桜子はほこではなく、少女の方を見る。
「ほこに何したの?」
「ん?すこーし、ちからあげちゃっただけ」
「どうすれば戻る?」
「どうすればいいと思うー?」
桜子は底から冷えこむ声を出す。
「どうすればいいか教えて」
「わっ、こわーい。んとね、足だよ、足を攻撃すると、戻るよ」
桜子は赤の玉を足へと向けようとした。
「あー、でもね、間違えるとねーこちゃん痛いよー?」
桜子は手のひらを向けた手を下げる。
「…」
かいとも動けない。
ほこも動かない。
少女は不思議そうな顔をする。
「ねーこちゃんどうしたのー?」
ほこは動かない。
「ねーこちゃん?ちからあげたのに」
桜子に攻撃をしない。
と、思ったが、黒猫は足を上げると、桜子の体は踏まないが、乗るように覆う。
だが、桜子にたいして攻撃はしない。
仰向けに倒れる桜子はほこの足にふれる。
「いいよ…。私を何度も踏みつけても、私はほこに攻撃なんてしない」
少女はささやく。
「右手を踏んで、早く、ねーこちゃん」
ほこは足を抑えようとするが、桜子の右手に乗る。が、力を入れないようにしてる。
かいとは、そこへと行こうとする。
少女はかいとの隣に現れる。
「あなたは、あれだね。ふーん、でも。精神が強いなー、やめとこと」
「お前!」
「あなたは、こどもに攻撃できる?ほら、見てなよ。あの二人。あなたと桜子はまあいいかもね、でも、あとはほこちゃん」
「お前…」
_なんなんだ、このこども………!?