似世界へ切り替わる 都合の良い現実の無い場所で(クロリネ 拓前 シルベ 時恋)500
似世界
都合の良い現実の無い場所で
クロリネ 拓前
シルベ 時恋
突然空間の亀裂から光線が放たれる。
突然だ。
この場にはクロリネ、拓前。シルベの集合体。時がいる。
時恋へ光線が放たれる。
時恋のみに。
拓前は近くにいるが狙われていない。
時恋は避けずに黒の刃を振るように動かすと光線を飲み込んだ。
「何、なん、だ、?、」
時恋へ向けて光線は放たれる。
拓前へ赤の怪物が狙ってくる。
拓前はここにいる。
けれど、狙われる対象ではない。
空間の亀裂を直しているから。
それが狙われる理由である。
拓前は青を込めると脚を振る。
自分で自分の身を守る。
拓前は守られる、方ではない。
怪物の量の多さと集中すべきことがある。
ここで時恋が動けないと、拓前は空間へ破片を蒔く。
それのみが出来ない。
時恋が狙われる姿に。
クロリネは笑みを作る。
「可愛らしい嫉妬ですね。本当に可愛らしい。………航坂さん。気づいていないのですね」
クロリネは時恋へ向けられる力に笑う。
なぜなら。
時恋は黒の刃を現しつつ、彼女の力の奥深くにには小さなクリスマスベルがつけられている。
クロリネは最初から知っていた。
シルベという存在はどうあっても航坂に惹かれる。
時恋は違う者だ。
けれど、時の中の者。
時が変化させることもある。
違う者に変化させることもある。
例えば、崩れた航坂が時に呑まれれば
気持ちだけが惹かれやはり、出会うなんてこともある。
クロリネはニコリとする。
気づいていないのだなと。
縁のある者が他の者と惹かれることもある。
だが、全てがそうではない。
必ずではない。
運命は、本当の気持ちがあれば変えられる。
これは航坂とシルベの場合の話。
必ずの運命など、ない。
それがあれば運命任せになる。
勘違いをする。
自分を見失う。
運命は、あるとしても。
希望ならば都合良く考えるが
絶望ならば変えようとする。
だから、運命はある。
けれど必ずではない。
シルベが航坂に惹かれる。
それは運命という言葉はたしかに使える。
シルベと航坂は惹かれる。
これは運命だ。
絶望ではない
希望だ
戦い合う相手が好き同士なんて、幸せとしかいいようがない
憎しみ合う同士で戦って何が生まれるのか
憎しみだけだ
けれど好き同士ならまだ希望がある
死ぬときに好きな相手なら苦しみでも
まだ、愛がある
憎しみ同士にそんなものは存在しない
だから航坂もシルベも無意識に好き同士であるから
運命だなんて言葉を使える。
時恋は光線で狙われる。
嫉妬の力だ。
嫉妬。
誰でも嫉妬する。
好きな相手の隣が自分でなければ
自分でありたい
先に会いたかった
先に知りたかった
誰でも本当に好きになれば感じることだ
航坂もそうだ
クロリネは凍る赤の瞳の怪物たちの隣を通りすぎる。
「嫉妬とは吐き気はしませんね。可愛らしく感じます」
クロリネは見ているだけだ。
「にしても恋やら愛とは狂わせるものですね。そんなことをして、狂い何がしたいのでしょうか?」
時恋は光線を黒の刃で何とか斬っていく。
「なに、これ、どこ、から、?、」
拓前を狙う怪物のみをクロリネは凍らせていく。
「拓前さん。空間を直すことに集中をしましょうか………あちらは気にしなくてもいいと思います」
拓前は集中して破片を蒔き始める。
必死だ。




