現世界 青命屋敷 遂げたシルベ496
現世界
青命屋敷
剣 遂げたシルベ 夢橋結衣
急いで生み出した結界の元へ何か流れてくる。
夢橋結衣は落ち着いた気配を感じた。
白の彼岸花に混ざる花飾り。
「彼岸花と髪飾り、かな?」
それはヒビ壊れていく結界を直していく。
夢橋結衣は結界の能力を持つ。
その能力が溢れていく。
結界は保たれる。
白の彼岸花に混ざる花飾りは光を放つ。
_傷は傷のまま
_傷のおかげで更に光は生まれるよ
_傷ついたから、力になるよ。だから傷ついたことは悲しみだけじゃないと思うから
_だから顔を上げて
遂げたシルベヘも彼岸花と花飾りが髪にフワリと乗る。
シルベはニコリとする。
「恋から愛へと変わった力るてね。……シルベの中にも惹かれ合う航坂を選んだ者がいたるて」
遂げたシルベも航坂にだけは惹かれた。
他の者には惹かれなかった。
あの確実に誰もの普通を選ばなかったのはその思いがあったからだ。
誰でもの普通はシルベには違う。
シルベは誰でもの選ぶは選ばなかった。
だって
惹かれた相手がいるのだから
無理だ
惹かれた相手は一人
遂げたその後。
航坂の封印を続けている。
戦い続けることで側にいる。
別の形の恋愛だ。
シルベも航坂と似ていた。
花を供えながらの日々を送り、けれど。
航坂のように嫌なことがあった。
嫌でどうしようもなく、なぜか分からないほどに嫌なこと。
お互いに何となくそんな気がしていた。
違うけれどそこは同じなのだと。
だから惹かれ合った。
誰が何をいっても惹かれ合うことがある。
共になれなくても惹かれ合う。
遂げたシルベもその感情を持ちながら遂げた。
辛いけれど幸せのようなそんな気持ちの中、遂げた。
互いに戦いつつ、この気持ちは間違っているのではないかという不安さ。
けれど惹かれ合ってしまう心地よさ。
遂げたシルベは白の彼岸花と花飾りに触れる。
「あなたも同じるてね。けど…………いるのに会えない」
遂げたシルベは剣を握る。
赤の瞳の怪物は飛び込んでくる。
ようやく攻撃してくる。
シルベは剣を振る。
怪物を消していく。
「安心して」
安心してと、安心は出来ないと思えるが。
「私が惹かれた相手もこの今も私はこれでいいんだるて」
シルベは思う。
遂げた今を。
惹かれた相手のことも。
これでいいんだと。
遂げたシルベは剣を握り怪物を消すことが出来る。
それを悲しいと思う者もいるようだ。
_「道標というあり方に悲しいと感じてしまう」
「好きになってしまったから、変えられないるて」
_「正直に言葉にする。悲しく気の毒と思える」
遂げたシルベは剣を振る。
でもねとシルベは続ける。
「それが、私。私なんだるて。受け入れられなかった私るて。遂げても受け入れられない。でもこの私がいいるて」
航坂は封印する相手。
けれど、そういう自分に惹かれた相手。
そういう自分を好きになってしまった相手。
「私があの人がいいるて」
彼岸花と花飾りは流れていく。
「あなたも………あ。一方的に思っただけではなく、あなたもあの人が好きなんだるてね。そっか。少し似てるねるて」
赤の瞳の怪物は向かってくる。
斬っていく。
そこへ次は三日月存在が多く現れる。
結衣は結果を保つことを続ける。
シルベヘ三日月存在が向かっていく。
赤の瞳の怪物よりも速い。
拳を体へ打ちつけられ、飛んでいく。
シルベは背中を地面へ打ちつける。
三日月存在は青命屋敷の中へ向かおうとする。
それを止めるため立ち上がると走りだし、縦一線に斬る。
三日月存在をここから離さない。
「私は止めるためにいるんだるて」
三日月存在は一体を斬ったことでシルベ一人へ向かう。




