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似世界 都合の良い現実の無い場所(クキロ 似ツミウ)481

似世界

都合の良い現実の無い場所

クキロ 似ツミウ


三日月存在がいなくなったが。

空間は更に亀裂が入る。


「………私だけでは…………クロリネさんたち……どうにかしている気配があるのに」


そこへ赤の怪物は爪を向けてくる。

クキロが上から飛び込んできて怪物へ脚をぶつけることで消す。


「クキロさん」


「ドウダ?クウカン」


「………良くないですね」


「ヨクナイ?」


破片を蒔いても何も戻らない。

三日月存在の力の方が強かったということかもしれない。

似ツミウの元へ逃げの間の者が来る。


_空間、壊れる?戻らない?


「戻らないかも、ですね………」


_私イロノルレフ亜様の元へ帰りたい。待ってる。待ってる


逃げの間の者から画びょう柄の力がポトリと落ちた。


破片へと水滴のように落ちる。


似ツミウは破片を持つ。


「あ、これは………?」


破片は青く光り輝く。

似ツミウは破片を蒔く。


空間の亀裂へ網のように覆っていく

似ツミウは続ける。

逃げの間の者は肩にいる。


_イロノルレフ亜様の力、冷たい……でも強い


力はまだ溢れる。

溢れて溢れる。


似ツミウへ逃げの間の者は顔をすり寄せる。


「イロノルレフ亜さんという方の力。とても強いですね……なぜこんなにも」


_イロノルレフ亜様は強い、その通りだよ。言葉の通り


「強い、ですかね……たしかに覆っていきます…が」


画びょう柄の力は途中で割れる。

バキリッと。


似ツミウは破片を蒔くことを続ける。


「…強すぎるから、割れますね」


_イロノルレフ亜様の力、強いのにどうして


「強すぎると心の想いが消えるのですね」


_どういうこと?


似ツミウは静かにつぶやく。


「強すぎると心が無いということですね」


_心?


似ツミウは破片を蒔くことで画びょう柄の力が消えないようにする。

強すぎる力だ。

似ツミウはいう。


「強すぎる力は何かを無くすことと同じなのですね」


_何を?


「この力の持ち主は何かを無くしていませんかね?」


_え、え、あんまり分かんないかも。でも!イロノルレフ亜様!私たちのこと思ってるし!何より早瀬様のこと思ってる!無くしてても誰かを想う気持ちは残ってる!それだけは無くしてないと思う!


似ツミウは少し目を伏せた。


「………けれど強すぎる力は……良いことを寄せ付けませんから………あ。いえ」


_強すぎるとだめ、なの?


似ツミウは小さく笑う。


「良いことではないと思いますね。思航がそんな感じでしたからね」


逃げの間の者は考えこむ。


_強いっていいと思うけどなー。弱いよりも。あ、イロノルレフ亜様は人ではないんだって


空間の亀裂を画鋲柄の力は直していく。

似ツミウは静かにいう。


「人ではなくてもこの強さということは痛みがあったのでしょうね」


逃げの間の者はそのことに何だかズキリとしつつ、別のことをいう。


_ツミウ。イロノルレフ亜様の力。無駄にしないよーにしてる


クキロは赤の怪物を拳を振り消していく。

消えるのは簡単だ。

減らすのは難しい。

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