似世界 都合の良い現実の無い場所で(いつき 逃げの間 メモリーリーン )480
似世界
都合の良い現実で
いつき 逃げの間 メモリーリーン
クキロ ショウルエ 似ツミウ
三日月存在へメモリーリーンの力。
光線が放たれる。
このまま何事もなければ、当たる。
何事もなければ。
逃げの間は浮かぶようにして見つめる。
いつきはようやく自分の腕を抱く。
ずっと腕を上げていたため、手が振るえる。
メモリーリーンはまだ集中は切らせない。
当たるまでは。
集中は切れない。
切らない。
いつき、逃げの間。
二人がくれた機会だ。
無駄には出来ない。
メモリーリーンは三日月存在を真っ直ぐに見る。
_____
三日月存在は、足を一歩踏み出し急に走りだす。
心は崩れていたはずだった。
空間を守れない、その言葉に心は崩れ動けないはずだった。
三日月存在は崩れても動きだす。
その方向は壊れた空間の亀裂だ。
ようやく、逃げの間の者のおかげで本来の目的を思い出した。
ここへ来た理由。
守りたかった存在。
思い出した。
三日月存在は飛び込んでいく。
空間の亀裂へ手を入れ込むと、更に穴を開けようとする。
_空間、待ってて!壊す!壊すから!
メモリーリーンの力は真っ直ぐに向かい赤の怪物のみを消し去った。
当たらなかった。当たらなかった。
メモリーリーンは地面に倒れる。
いつきはメモリーリーンの体を抱く。
「メモリーリーンさん!」
「いついつ、ごめんね…」
いつきは三日月存在を見る。
三日月存在は空間を更に壊そうとする。
壊そうとしている。
壊そうとしている。
_似ツミウは焦る。
動けない。
このままではいけない。
動けない。
メモリーリーンは倒れ動けない。
逃げの間の者も思いつかない。
誰も何も出来ない。
見ていることしか出来ない。
逃げの間の者はいう。
_イロノルレフ亜様、帰れないかも……すみません
イロノルレフ亜は逃げの間の者を待っていただろう。
待ち続けていただろう。
なのに帰れない。
イロノルレフ亜は悲しむだろう。
逃げの間の者に対してだけは感情のある存在だから。
_イロノルレフ亜様………ごめんなさい……
イロノルレフ亜の力は逃げの間の者のためにあるべきだ。
地面から画びょう柄の力が溢れてくる。
逃げの間の者を包むと。
声がした。
“帰らないことは私が許さないよっ♪”
_イロノルレフ亜様!?
画びょう柄の力は溢れ出していく。
逃げの間の者を包み込む。
_イロノルレフ亜様………。帰ります必ず
消えていない。
帰らなければ。
逃げの間の者は誓うように言葉を出す。
いつきは逃げの間の者を見る。
三日月存在は空間を破壊しようとしてから、顔をクルンと動かす。
向かう方向はメモリーリーンだ。
メモリーリーンへダッと走ると両腕を合わせて上から落とす。
いつきはメモリーリーンを抱きしめる。
守りたいというより、怖くて抱きしめた。
そこへ力が飛び込んだ。
画びょう柄の力だ。
溢れるようにして、魂のような力が飛ばされる。
三日月存在は避けない。
逃げの間の者は力を放つ。
イロノルレフ亜の力は溢れ出すのはやはり思っているからだろう。
帰らせる。
帰ってこさせる。
そのために動いている。
力も溢れる。
いつきは一人動けても力がない。
メモリーリーンを抱きながらいう。
「いいな………強くて」
メモリーリーンはその言葉が聞こえた。
心から誰かの在り方をうらやましく感じる声。
どこか諦めを感じる声にも聞こえた。
メモリーリーンはいつきの胸で何とか顔だけ上げる。
「いついつ、今動かないときっと帰れない。だから、まだ諦めたらだめ」
「でも……メモリーリーンさん動けません……クキロさんもショウルエさん、ツミウさんという方も」
いつきの諦めの理由は。
逃げの間の者が放った力は三日月存在は腕を振り空間の亀裂目がけて飛ばした。
逃げの間の者は
_な、な、!
メモリーリーン自体に桜の模様がパアと輝く。
いつきはバチッと桜に弾かれるように、少し下げられる。
「…!!?」
「いついつ!」
「大丈夫、です。すみません」
桜はいつきを弾いた。
桜の力はいつきを包もうとする。
いつきへ力を渡そうとした。
けれど桜の奥の少女はいつきが力を使えば体力や精神を奪う。
「あ、あの………」
いつきも桜の弾いた気持ちが分かる。
桜の存在の気持ちが分かる。
いつきを思って、弾いた。
痛みは感じたからこそ。
いつきは。
メモリーリーンへ近づくことにする。
「私へ桜の力、使えるなら、少しでも……何か出来るなら……その」
桜はいつきを弾く。
桜の少女は顔を振るように弾く。
__遠くで倒れていた。
彼は目が覚める。
「あれ?俺」
かいとだ。
周りを見る。
赤の怪物が爪を持ち飛び込んできた。
「うわ!!!!」
何とか避けれた。
かいとは焦る。
「え、え、なに」
かいとは動けた。
動けた理由は分からない。
その背中を誰かが押す。
「え」
その気配は。
深いパール色の髪を持つ少女。
彼女の気配がする。
「ライフィア」
かいとは走りだす。
「!」
桜の花びらが飛びかい、赤の怪物を消し去る。
かいとは周りを見る。
「何起きてるんだ」
いつきの姿をみて、走りだす。
「いつき!」
いつきは驚く。
「兄さん!」
「何があって」
メモリーリーンは膝を着いている。
かいとの姿に。
「かいかい!えーと、空間に亀裂が入ってね、それを止めるため?にしてて、そうしたら、怪物とあの三日月出てきて、三日月が攻撃してきて」
三日月存在はメモリーリーン向かって来る。
かいとは前へ出る。
三日月存在は腕を振り、かいとは飛ばされる。
メモリーリーンの隣へ倒れる。
「かいかい!」
「大丈夫だ!」
いつきは体が動かない。
次に三日月存在が見たのはいつきである。
「あ………」
かいとはすぐに立ち上がるともう一度向かう。
三日月存在はいつきへ腕を向けた。
上から拳を打とうとする。
かいとはいつきを抱き、飛ばされる。
「に、にいさん!あ、あたまとか、ぶつけ、て」
「頭はぶつけてないぞ!いつきケガないか!」
「ないけど、メモリーリーンさん」
メモリーリーンの近くでいつき、かいとはいる。
メモリーリーンはいう。
「二人とも、二人ともなら!さくさくもいいと思う!一人じゃなくて三人だから!だから、メモメモに触って!」
いつき、かいとはメモリーリーンの手を握る。
桜もそれなら、いいようだ。
桜の模様が浮かぶ。
どんな力かは分からない。
けれど、三人の力だ。
三人なら、誰かに押しつける、ことにならない。
無理させすぎない。
三人なら、いや、違う。
桜の少女が
いる。
桜の力が起きる。
闇色の赤に、巨大な桜の模様が浮かぶ。
メモリーリーンの周りに弓が現れる。
桜の模様が全て飾られた弓状の力。
バッと円状であり三日月存在はこちらへ臆することなく突っ込んでくる。
確実に三日月存在へと向かう。
弓は三日月存在へ刺さるというより内部を突き刺すことで通り抜ける。
弓の力はパリンッと消えてしまう。
三日月存在は「空間………」とだけいい、ゴトリゴトリと砕かれ破片は落ちた。
逃げの間の者はそこへ飛んでいく。
一ついう。
逃げの間の者はその存在の想いを見たからこそいう。
_消えちゃうんだね
三日月存在は崩れても声が聞こえた。
_空間、空間、
三日月存在は消えた。
いつき、かいと、メモリーリーンは力により、座り込む。
そのため、桜の花びらも消えてしまう。
反対にクキロ、ショウルエ、似ツミウは動けるようになる。
似ツミウはすぐに空間へ向かうと亀裂が入っていて。
「…………更に開いていますね」
すぐに空間前にある地面の輝く破片を持つ。
ショウルエはかいとたちの方へ行く。
「あ、動けるようになった」
いつき、かいと、メモリーリーンは倒れる。
顔色が悪い。
ショウルエはけれど、気にすることが出来なくなる。
赤の怪物が爪を振ってくる。
クキロは怪物を蹴り飛ばし、消す。
「ショウルエ、アブナイ」
「あ、ありがとう」
似ツミウの元へも赤の怪物が向かう。
自分で力を現すことで倒しているが。
ショウルエは。
クキロの方を見る。
「私、かいとたちのとこにいたい」
「ナラオレハ」
ショウルエは真っ直ぐにクキロを見る。
「クキロ。ツミウの所に行って」
「ナ、オレハ、ショウルエノチカクニイル」
「三人もクキロ一人で守れる?」
「マモ、………レナイ」
「早く、ツミウの元に」
クキロは似ツミウの元へ向かう。
ショウルエはニコッとする。
「クキロ。私たちは少し離れても一緒」
クキロはその言葉に少し口元を上げると向かう。
ショウルエは時式を話ながらも地面に描いていた。
赤の怪物が近づいてくるが地面から切り裂く力が現れる。
怪物は消えていく。
かいとは起きようとするが力が入らない。
「ショウルエ………」
ショウルエは声を出す。
「ここは私がいる………」
罪でも
ここで何かを守っても
許されないけれど
ショウルエはかいとたちの近くにいる。
許されない
守るという行動さえも何もならない。
許されないその一つ
けれどショウルエは地面に時式を描き力を起こす。
許されない。
守るという行動は何かにならない。
時式から切り裂く力が現れ続ける。




