似世界 都合の良い現実の無い場所で(いつき 逃げの間 メモリーリーン)461
似世界
いつき メモリリーン
いつきは、桜の模様を持ち、メモリーリーンの目の位置で動きを止める。
手の平に乗っていて、いつきは手が震える。
他に力を使った。
クキロたちを守ろうとしたのだ。
けれど、いつきは立ち続ける。
彼女も力無いといいながら、精神の奥底は負けないという意思がある。
メモリーリーンは集中する。
絶対に外せない。
いつきは倒れそうになりながらここにいる。
なのに、メモリーリーンは必ず当てる。
必ず。
クキロ、ショウルエ、似ツミウの近くを桜の花びらが飛びかう。
動くことは出来ない。
いつきは手を震わせた。
メモリーリーンはいう。
「いついつ、腕、一瞬」
いつきは片方の手を使う。
「腕は大丈夫です。メモリーリーンさん集中してください」
「え。うん!」
いつきは前を向く。
力が無いから他に出来ることがない。
いつきはそれを分かっている。
だからこそ出来ることがあるなら
いつきは前を向いている。
桜は周りを飛びかう。
桜には別れという意味もあるらしい。
けれど別れという意味もあるらしいが誰のことも想った。
桜の力は別れよりも誰かを守ることを選び続けた。
そのことをいつきは知らないが。
桜は選び続けた。
桜という存在が選んだ。
いつきを守ることを桜が選んだ。
いつきだけではなく、周りの誰かを守ることも選んだ。
いつきは桜を手の平に持つようにしているが一つの痛みも無い。
力とは痛み、代償を奪う。
けれど、いつきは何も奪われていない。
奪われていないということは…………
桜の方が何かを奪われている。
いつきは知らない。
メモリーリーンは自分の無くすことは気にしない。
いつきはメモリーリーンの疲れが見える。
それだけは分かる。
だから、いつきはここで膝を着けない。
膝を着けたらメモリーリーンのすることを無駄にする。
メモリーリーンは集中しながら、いつきの姿を見た。
彼女は力が無いということを気にし続けた過去を記憶を通して見えていた。
紹介をしあってはないが。
メモリーリーンはいつきを知っていた。
かいとを通して見ていた。
メモリーを通して最初は知った。
何だか気弱なのか、何もしない子なのかどちらか分からないという印象があった。
いつきという少女のことは詳しくは分からない。
記憶は見ても過去を見ても本人自体は分からない。
やはり関わらないと彼女は分からない。
関わっても彼女のことは分からない。
けれど、彼女は立ち続ける。
分からないが立ち続けるだろう。
ここで下がっても特に彼女の評価を落とす気もない。
彼女は今まで、かいとのような舞台にいない。
けれど、いないから見えた場所もあるだろう。
だから、彼女は彼女の出来ることを何とか下がらずにしているのだろう。
別に逃げても彼女の評価?というものを下げるというようなことをする気はない。
結構メモリーリーンは強引にお願いをした。
けれど、いつきは強引や一方的で簡単に動く方ではない。
意外と動かない方?でもあるようだ。
けれど、ここは逃げ場がない。
何もしなくても、しても。
死ぬ、それしかない。
いつきはあまり気にしてないが
帰ったら会いたい人がいる。
色葉はもちろん。
他にも会いたい相手がいる。
だから、自分のために行動している場合は。
彼女も動く。
流されるように動くのはかなり内心は嫌いのようだ。
強情な所がある。
意外とそういう所があるようだ。
本人は気づいているだろうか。
強情で、譲らない所は彼女もあるらしい。
力が無い一つで他人のいうことなど本当の意味では聞かない。
困った所がある。
メモリーリーンは集中しつつ、笑ってしまう。
いつきは、ん?となる。
「ごめんね。いついつ。見てたら集中出来なくなるなって」
「ええ!私ここにいたらだめ、ということでは?………」
「集中は切れてないよ。ごめんね。でも、いついつの性格、精神じゃないと、やっぱりこんなの出来ないね」
いつきは手の平の桜の模様をメモリーリーンの目の位置で固定しながらいう。
「…………性格、ですか?」
メモリーリーンは邪悪に笑う。
「やっぱり、心は変えられない人だね」
「え…?」
その時だった。
三日月の存在の動きが急にピタリと止まった。
そうして、逃げの間の者の大きな声が響く。
逃げの間の者は三日月の存在から飛びだす。
叫ぶ。
_今だよ!三日月は動けない!!!!
逃げの間は大きな声を出す。
__今っっっだよ!!!!!!!
メモリーリーンの集中は一つも切れていない。
いつきという隣にいたのが馬鹿のように変な所で真面目でけれど、悪の部分も持つからこそ、力は発動する。
桜の模様は闇の色を含ませている。
いつきも、メモリーリーンも闇の色を見ても何かを思いはしない。
巨大な桜の模様は
メモリーリーンはいう。
「いついつ!そこで止めててね!」
いつきは返事を返す。
「はい!!!」
桜の模様は光線のように進んでいく。
三日月の存在へと向かっていく。
このまま、何事もなければ三日月の存在へと当たる。
何事もなければ。
メモリーリーンはすぐに立ち上がる。




