似世界 都合の良い現実の無い場所で(誰も動けない)446
似世界
都合の良い現実の無い場所で
いつき かいと メモリーリーン
クキロ ショウルエ
逃げの間 似ツミウ
都合の良い現実の無い場所。
クキロ、ショウルエ、似ツミウは動けない。
メモリーリーンも動けない。
遠くでかいとは意識がない。
動けるのはいつき。
強い力を持つ者たちが動けない。
いつきは力が無いからこそ動ける。
メモリーリーンの隣にいる。
メモリーリーンは動けないが三日月頭の怪物を倒すために力を現しているが。
確実に当てることは不可能。
そのため、いつきは当てるための調整役を。
逃げの間の者は動く怪物を止める。
それぞれすることはある。けれど、赤の瞳の怪物が爪を振り上げてくる。
誰も動けない。
誰も動けない。
誰も動けない。
_どうか、あなたの力に!!!
地面に青の幾何学模様が流れるように現れる。
都合の良い現実はない。
青の漂いもないはずなのに。
反応している。
似ツミウがいるからだ。
彼女がいるから。
消えても。
この場所に青の漂いはいないはずた。
だが、小さな青色の光が地面を光らす。
似ツミウがここにいるからだ。
彼女を好む者が大勢いる。
憎む者もいるかもしれない。
けれど、この場所にいる者は似ツミウのすることを見てきた。
失ってからも戦う彼女を見てきた。
彼女の力になりたい。
青色の幾何学模様は起きる。
赤の瞳の怪物は飛び込んでくる。
似ツミウのみを守るため、動く。
青の幾何学模様は地面からざわっと現れ怪物を囲むと消していく。
クキロ、ショウルエは動けないが。
守れない。
守ることが出来ない。
似ツミウは守っても他は守ることはしない。
ショウルエは式を描けない。
描くことが出来ない。
身を守れない。
クキロはメモリーリーンといつきの近くにいる。
いつきはメモリーリーンが攻撃を放つために動かない。
爪を持つ怪物は飛び込もうとしてくる。
けれど、離れるわけにいかない。
いつきは逃げたいと思っている。
切り裂かれるのは嫌だ。
恐ろしい、その気持ちは口に出さない。
けれど逃げない。
逃げる所はない。
いつきはメモリーリーンの隣にいる。
ショウルエを守る者はいない。
クキロは動けない。
だが、足に力を込め続けた。
ショウルエを救いたい、その思いがある。
けれど、動けない。
あの三日月頭の存在がいることで体は動かない。
思いがあっても動けない。
「ウゴキタイウゴケウゴケ!!!!」
いつきはショウルエの方を向く。
「ショウルエさん」
いつきはどうにか出来ないかと考える。
クキロは動きたい。
ショウルエの元へ行きたい気持ちが分かる。
伝わってくる。
いつきはメモリーリーンから離れられない。
だが、相手の心配もしていられない。
まずは自分たちだ。
けど。
桜の模様を手の平に乗せたいつき。
メモリーリーンが動けない。
兄のかいとを守ろうとした彼女を守りたい。
桜の模様は気持ちに反応する。
桜の花びらがバッと空中に浮かぶ。
いつきは驚く。
メモリーリーンも目を開く。
「え、いついつの思いが形になった?」
「え?」
いつきの気持ちは形になる。
強い想いが桜へ伝わった。
桜の花びらがショウルエを狙う怪物へ向かう。
ザスザスっと突き刺さる。
ショウルエは目を大きく開く。
「桜………?」
クキロはその姿に一瞬安堵した顔をする。
いつきは少し安心する顔をしたが、フラッとする。
すぐに頭を抱えるが。
立ち続ける。
メモリーリーンは集中する。
一度集中力が途切れしまった。
いつきはガチッと足を地面にしっかりと着ける。
メモリーリーンの集中していることが分かる。
絶対に倒れてはいけない。
倒れれば倒せなくなる。
いつきは自分に対して自信もないが。
大事な時は分かる。
今は何があっても倒れてはいけない。
頭を抱えつつ、桜の花びらが空中を浮かぶ。
メモリーリーンはいつきの心により現れた力に本当は心配を持った。
けれど、メモリーリーンも集中力を切ってはいけない。
切らない。




