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クロリネの隣にいる少女の話(リアメラの永い失恋/あなたに永く愛を伝える)443

リアメラは永い失恋をする。


クロリネは母体から生まれていない。

ただ、ここにいる。

彼女は最初から今の者であった。

いつも可愛らしい顔で笑っていた。

笑顔と氷の力を持つ。

力を持ち、問題を起こしてばかりいた。

命令以上のことをする。壊しまくる。とにかく聞かない。

それが彼女。

人間ではないため、好きに生きている。

人間は理性とか制御とか出来るようだが、彼女はしない。

クロリネはいつも楽しそうだ。

そのため、一緒に動くリアメラも疲れ切っていた。

けれどリアメラは彼女の側にいることが幸せだ。


クロリネは命令以上のことをするが力は強いため、誰も何もいわない。

が、世界を一つ崩す予定を救った。

それはいくら彼女が力があっても処分する理由にもなった。

クロリネに連れてこられ感謝しているリアメラは自分も目をつけられるというのに、本当は怯えやすいというのに必死に処分は止めて欲しいと続けた。

それ程感謝していたのだ。


クロリネは変わらない。


「処分したいならしてはどうですか?僕。クロリネさんは泣いたり叫んだりしませんよ?」


クロリネの処分の調査のために来たのは文織ふみおりという青年であった。

クロリネは自分勝手にしていく。

リアメラも側にいて、クロリネの判断することは間違いはないと発言する。


文織はクロリネの動きを見ていく。


「クロリネさんは自分のしていることが間違いと思いますか?」


「思いません。命令する方たちの方がわざわざ本当は気にもしないのにガタガタと文句ばかりつけるのはどうかと思います」


クロリネの笑顔の言葉にゾッとする。


「まあでも、話は聞いた方がいいですよ。命令以上をするなんて処分されますし、もう少し長生きしたくないですか?」


「消したいなら消すべきですね。僕はこうしたいからしてるだけですから」


クロリネは命令以上のことをしていく。

処分は早まっていく。


文織はリアメラへも聞く。

ピンクの硬いリボンをしている少女。

ピンクの硬い鎧コートを着ている。

怯えている。


「クロリネさんのすることを続けているとあなたも危ないですよ」


「クーたんのすることは、間違ってないから………うん、間違ってない」


「…………あなたも消されます」


「クーたんが消されるなら私は一緒にいる……」


「クロリネさんは幸せですね。想われて」


「クーたんは、困ってた私を連れて来てくれたから………利用されてもいい」




文織は処分前にあることをしてみた。

クロリネの前でリアメラの首へナイフを向けた。


「あなたがこのまま勝手な行動を続けるなら彼女を先に消します」


クロリネは笑顔でいう。


「その行動で僕を変えようなんて、面白い冗談ですね」


「リアメラさんはあなたを好きなのですよ?あなたの、側にいた。そんな彼女が消されてもいいのですか?」


クロリネはうつむく。

珍しくうつむいた。

悲しんだのだろうか?

リアメラは何も感情のない目をする。


「僕クロリネさんを愛した方ですものね。処分されたら泣いて……………しまうと思えますか?僕が?僕は一人消えた所で泣きませんよ?それにリアメラさんは僕に巻き込まれているだけで処分をするなど、あなたたちの上は世界のためと謳いながらそんな非道を起こすのですか?」


文織はナイフを更にリアメラの首へと当てる。


「今、ここで消されたとしても?」


クロリネは笑う。


「リアメラさんが消えようと僕は変わりませんよ?」


その表情は可愛らしい笑顔だ。

文織は恐怖は感じない。

こういう者は多くいた。

彼女もその一人。


文織はため息をつく。


「………あなたは変わりませんね。伝えておきます。リアメラさんを処分するような非道をあなた方が行うなら幸の国へと行けないですねと」


文織は下がる。

引き下がる。


「貴方のような人材を理由をつけて処分しようと考えた者は見る目がありませんね」


文織が去ると。


リアメラはクロリネを後ろから抱く。


「処分、無しになったね。クーたん」


「喜べませんでしょう?」


「そう、だね。」


リアメラは怯えた瞳が鋭くなる。


「あーあ。クーたんに告白して十万以上振られてるからクーたんが処分されれば永久に私だけのクーたんになったのになあ」


「僕がリアメラさんを好きになることはありませんよ」


「また振られた………何度も振られると悲しいよ」


「そうですか。次の場所へ行きますよ」


リアメラはクロリネの手を握る。

とても冷たい手だ。


「凍りますよ?」


「あなたとなら凍ってもいい、クーたんとなら」


「痛いですよ?」


「戦って痛くて失恋して痛くて痛いばっかりだからこんなの痛くもないよ」


「そうですか」


リアメラは何度も失恋している。

だがクロリネは好きな相手はいるのか?

けれどこれも失恋だ。

相手は一生自分を本当の意味で見ないのだから。

失恋の痛みを知った。

知り続けている。

痛くて痛くて、他のことをしていても思いだす。

失恋は痛い。

痛くてズキズキする。


失恋など知りたくもなかった。

失恋など知る時は無いと思っていた。

失恋は痛い。

なぜかジクジクする。

この恋心は持ち続ける。


クロリネへと伝える。

叶わないと分かりながら伝える。


「愛していると思うの。クーたんのこと」


「僕は愛など寒気がします」


「ずーっと伝える。クーたん。好き」


ただ、好きと感じるのだ。

側にいるのも痛いと思える。

側にいれば尚更辛くもなるだろう。

でも……………いたいのだ。

側に。

クロリネに好きな相手がいるなら。

付き合う誰かがいたとしたら離れると決めている。

だが、クロリネにその気配がない。

クロリネは誰かを好きにはならないと明言している。

そこは嘘でも恋人がいるといえばいいのに。

彼女はそういうことはしない。


「クーたんにまた振られた」


「好きなど吊り橋効果、勘違い、思い込み。繁殖、焦り。そういうものですよ」


「でも!好きと思ってしまったから………それにクーたんに対してそういう気持ちないよ!でも好きってことはこれは本当に好きなんだ」


氷のような手をリアメラが握る。

クロリネは一度自分の力を好奇心で使いリアメラごと凍らせた。死にはしなかったが。


リアメラは一つも恨み言無い。


「あのまま、クーたんに抱きしめられたかった」


「抱きしめてませんよ?」


「クーたんの氷で命をなくせるなら幸せとしかいえないよ、うん。それは幸せ。叶わない恋愛はとてもいいんだよね」


「君は………何もいいません」


リアメラは恋は叶わない。

叶わない恋をしている。

相手は受け入れない気持ち。

側にいても痛いだけだろう。


けれど


側にいるのだと思う。


「クーたんの側にいたいんだ」


叶わない恋なら叶う恋をすればいいのに、と。

クロリネはいうがリアメラは。


「叶わない恋だからいいんだよ?」


叶わない恋の何がいいのか?クロリネは聞こうとした。

だが前にも聞いた。

答えはというと。

叶う恋愛は手に入れるまでは心が焦るけど

手に入ると大事にしなくなる。

大事にするなんて嘘だ

なんて話していた


次は何て答えるだろう


「叶う恋の方が幸せではないですか?」


リアメラはんーっとする。

即答。


「叶わない恋愛って…辛いからこそ幸せを…感じられるよ」


また違う言葉が返る。

叶わない恋愛の何が幸せなののだろうか。

クロリネはニコリとする。


「なら……僕に好きな相手がいたら?」


「クーたん。好きな相手いないって自分でいってるし、本当にいないじゃん……」


クロリネに好きな相手はいない。

いないのだ。


「好きな相手いないよね?私はお付き合いしている方には生涯近寄らないよ。近寄りたくないし…クーたんに好きな相手いても付き合ってないならオーケーだよ」


リアメラはクロリネを後ろから抱きしめる。


「…くっつかないでください。じゃあ、好きな相手います」


「クーたん………好きな誰か、いるの?」


クロリネはそこだけは嘘がつけない。

本当にいないのだ。

リアメラはニッとする。


「私は中途半端な恋愛嫌い。だから、私はハッキリしてたい。クーたんが好き。私はそういうのを中途半端にする奴は人でも人以外でも気に入らない」


リアメラは冷たく鋭い瞳をする。

それから、にぱーっとする。


「なので!私はクーたんを抱きしめる」


「………………そうですか」


リアメラはクーたん、ではなく、彼女の名前を呼び、抱きしめる。


「大好き………クロリネ」


クロリネは抱きしめられながら、リアメラの手や体に残る凍傷には胸が痛んだ。


リアメラは恋は叶わないが。

クロリネへ一生の心の傷を植え込むことが出来ていた。

リアメラは気づいた瞬間、笑みが生まれていた。

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