上の方
ある場所に“上の方”と呼ばれている女性がいる。
女性は黒く長い髪をツインテールにしていて、三つ編みに二つ結っている。
赤のキャミソール。黒色の半ズボン姿。
女性とはいったが、見た目はかわいらしい容姿のため、少女の方が正しいと思えるが、女性なのだ。
彼女は、まわりにいる怪物と呼ばれるものを倒していく。
怪物は、形はそれぞれで彼女へと近づいてくる。
彼女は、三つ編みを激しく揺らし、三つの三角系が重なる武器を手に持ち、怪物を切り裂いていく。
倒しても倒しても出てくる。
「…多いなあ」
多くても彼女は自分の役目をする。
そこへと、一つ四角い枠が彼女へと近づく。
「なに?誰だ?」
彼女は、枠を見て誰か分かったのか、イラッとしながらいう。
怪物は倒すのはやめない。
四角い枠から声がする。
“「赤井桜子を悠磨たちは倒さなかったらしいな」”
「お前か。私はそうさせる気なかったし」
“「危険になるものは消せといってるのに」”
「桜子は使える。なら、壊すのはもったいないだろ?」
“「そんなことをいって…」”
彼女は誰かの声をさえぎる。
「お前。勝手なことをするなといってるだろ?」
“「勝手なこと…か。まあ、勝手だったな」”
「謝れ」
“「それはしないな」”
「謝れ」
“「今回は方法が運良く見つかったからよかっただけだ」”
たしかにそうだなと彼女は思う。
「運は結構大事なことだと思うぞ。まあ、今まで桜子が自分で努力して、お前たちもいたから今があるのかもな。それはありがとうと伝える」
“「本当に、そんな風にずっと素直でいてほしいな。出来れば」”
彼女はくすくすと笑い、誰かへという。
「私が素直?だと?素直でまっすぐで生きていける奴なんていない。それなりに歪じゃないとこの世界でなんて生きられるわけがない」
誰かは、答える。
“「…そうだな、たしかに。それじゃあ…悠磨たちは元気か?」”
「元気だと思うぞ。会ってないから分からないが」
“「そうか。またな」”
「またな」
彼女は会話をしながらも怪物を倒し続ける。
彼女のすることだから。
汗を流しつつ、息を吐き、続ける。