いつきやかいとの思うこと
かいとが帰ってきた。
目が覚めて本当によかった…。
いつきは、天井を見つめる。
_私は兄を気持ち悪いと思った
あの時、二人を見て、赤い花を見て…何かを思えるんじゃないかと思った。
はっきりという。
_美しかった_
けど、私は…
_多分何かを思っていない_
きれいだった
兄が誰かを勝手でも思う姿が
きれいだった
美しかった
その心が
_かっこよかった_
でも、…私はもう性根が腐っていると思う。
冷たく、他者に心を開いているふりをして、笑うふりをする。
「…もう、腐ってるんだな、私は」
何も感じられない人よりも悪い。
何かを感じたふりができた。
「女の子を守るかっこいいヒーローになりたかったな」
私は心はもう多分動いてない。
すごいと思った。
だけど、何だろう?
モヤモヤする?だろうか?
もしかしたらうらやましいのかもしれない。
_純粋だから_
_純粋な人はうらやましい_
私はそうじゃない。
いつきは思う。
自分はひどくみにくいなと。
ひどく、ひどく…うらやましい。
私は空だ。
心さえも多分ない。
空っぽだ。
いつきは寝る。
「…私はほんと、何もないな」
布団をかぶる。
暗い方が好きだから。
光はこういう奴でも照らしてくる。
容赦なく。
光は苦手だ。
自分のみにくいのを分からせてくるから。
かいとは起きていて、洗面台の鏡の前で自分の服を半分脱ぐ。
肩に赤い花びらのあとが三つ。
そして、体には赤いツルのような巻きつくようなあとがある。
「………会いたい、か……」
上の方の使いと公園に明日会いにいく。
_上の方の使いか、このこと…なんだろうな
かいとは服を着ると、部屋へと戻った。




