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似世界 ライゾンフィア………あなたのこと381

似世界

明後日 ライゾンフィア


ライゾンフィアに抱かれる明後日。

明後日の体に手で触れる。


憎しみに包まれるライゾンフィアへ想うことは。


「ライゾンフィア………あなたのこと……」


ライゾンフィアは聞こえていない。

明後日は続ける。


「私…………どんなあなたも、好き…………憎しみの姿は何かをいわないとなのに、…………うれしさの方があるの……………」


明後日は涙を落とす。

自分以上に泣いてくれた。

自分はひどいことをしている。

分かっていた。

けれど、そうしないと、そう自分が決めたのだ。


ライゾンフィアが泣いていたから明後日はあまり泣いていない。

ライゾンフィアが自分以上に泣いていた。

その姿に………


____________


明後日は二つの存在を消すことに悲しみもあった。

ライゾンフィアは悪者である彼女へいう。


_私が泣くから、明後日は笑っていて_


明後日はその言葉に顔を振った。


_一緒に泣く方がいいな。私は一緒に笑いたいから…………………笑っちゃだめだと思うけど_


悪者である明後日をライゾンフィアは温かく包んでいた。


悪者なのは明後日なのに。


明後日は悪者だから笑うことは良くなかったのに


ライゾンフィアは明後日が選んだから生まれたようなものでもある。

せめて生み出された自分となら笑ってもいいと。


多分、とにかく。


彼女に笑ってほしかったのかもしれない。


____________


「覚えてる?ライゾンフィア?」


ライゾンフィアに声は聞こえていない。

明後日が怒らないからライゾンフィアが怒っている。


明後日は怒る時はある。

けれどどうしようもないことには口を閉ざす

ライゾンフィアはそれが許せないようだ。


ライゾンフィアの体に触れる。


「あなたは本当に愛しい人…」


ライゾンフィアはようやく、ピクリと反応した。


明後日は話し続ける。


「ライゾンフィア。あなたの名前を呼ぶことも呼ばれることもうれしい………。私は誰かの明後日の幸せを願った…………幸せはみんな違うのに………自己満足な願いを持ち続けた。それをかいと、という存在が私を止めた」


ライゾンフィアは明後日の方をようやく見る。


「ライゾンフィア。私は自分のことばっかりだったの。みんな違うのに」


明後日はライゾンフィアの名前を呼ぶ。


「ライゾンフィア……勝手な幸せを願った私を忘れられるよ。今なら。だから……ここにいたら崩れて壊れるよ?帰らないと」


ライゾンフィアは決めていたような顔をしている。


_崩れて、壊れれば明後日と消えれる。赤の者は消した………ほら、体も崩れてきた…………明後日と消えれる。それが望み


ライゾンフィアの望みは一つ。

この場所へ来る前から決めていた。

目的は最初から。

最初からそのために。

ライゾンフィアは崩れていく。

崩れていく。

明後日の頬に影が触れる。


_最初から、決めていた


明後日はその言葉に。



「最初か、ら…………?最初から…………なの?…こんな、自分のことばっかりな私と消えるために?………それはだ」


ライゾンフィアは言葉を続けさせなかった。


_最初からだよ。最初から。私。あなたのことずっと想ってる。あなたには迷惑な話だと思う……誰かの幸せを願い続けたあなたを愛してる。誰かとは出会ってきた……でも…やっぱり他の何も見れない、考えられなかった


ライゾンフィアは涙を落とす。

明後日はニコリとする。


「出会った誰かを思ってよかったのに」


ライゾンフィアは顔を振る。

しっかりと明後日へと伝える。


_あなた以外なんて、いなかった。あなたがいい。本当だよ。出会ったら尚更あなた一人と思ったの


ライゾンフィアは涙を落とす。

明後日を抱く。


_あなたのいる場所がいい………そうじゃないと、私いられないよ。世界になんか、いられない。耐えたよ………いない世界を。あなたと会い、消えれる時が来るまでは耐えた


崩れて壊れていく。

明後日はその言葉に笑顔で答える。

笑顔を向ける。

明後日も帰ってほしいといいながら

同じ気持ちなのだ。



彼は消された。

けれど、純粋に歪な想いに。

明後日はいう。

涙が。


「あなたがいたから、私もいられたよ。ライゾンフィアがいなかったら、私の方が耐えられなかった。ごめんね。置いていって………」


流れる。

涙が流れる。


「置いていって……ごめんね。ライゾンフィア。私ずっと。あの世界からいなくなってもライゾンフィアのことばかり思ってた。心配だったの…………………本当にあなたのことが心配で心配で……………ずっと」


明後日は自分の望みを口にする。

涙は落ちて、言葉が伝えられる。

少し遠慮がちな言葉だ。


「ライゾンフィア。一緒…に来てくれる?」


ライゾンフィアはすぐに答える。


_一緒に…………一緒にいたい………終わるときも終わっても一緒にいたい…


その遠くでその光景へ踏み出す者がいる。


似ツミウは崩れていくライゾンフィアへ手を伸ばすが。


手だけは伸ばしたが近寄れない。

そして、空間の亀裂にも何も出来ない。


明後日

ライゾンフィア


二つの姿は崩れていく。

その時を待っていたのだろう。

白い影は明後日を包むように、崩れていく。


雷雲は多くが弾けていく。

その雷雲は星のように流れていく。

二人の消失。

星は二人を守り抜くことは出来ていない。

力は明後日を守りきれなかった。

けれど星の降る光景は

あまりにも美しい。

静かな美しさを感じた。


その場にいる者は息を飲んだ。


星が降り、包まれる光景は誰もが目を離すことは出来なかった。



星は振る。

誰かの声が響く。






___私の名前を呼んで。私も呼ぶから



_______明後日。明後日…明後日



_____やっと………。一緒にいられる



______その時まで、永かったよ


________もう、離れないで


_________ただ、いてほしい


















_「やっと…一緒にいられるね。ライゾンフィア」_




_「うん。一緒にいて。ずっと。もう離れない。明後日」_



静かに消えていく。

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