似世界 都合の良い現実の無い世界で370
似世界
都合の良い現実の無い世界で
ライゾンフィア
いつき かいと 逃げの間の者
クキロ ショウルエ 似ツミウ
ライゾンフィアは白い雷雲を現し、空間全体へ力を飛ばしていく。
ショウルエもクキロも避けられない。
地面に時守の時の式を描いてもライゾンフィアの方が強さも耐力もあり、守り続けることは出来ない。
ショウルエは唇を噛む。
「………………………っ」
クキロがオトリになっても白い雷雲は防げない。
守り続けられない。
いつきは逃げの間を抱きしめる。
せめて抱きしめる。
「…………………」
逃げの間の者はハッとする。
_は!起きた!!よく寝たーふあー
いつきは驚く。
_おっはーだね!いつき!何、何が起きてるの?
いつきは逃げの間の者を離す。
_なんだなんだー。んー?いつき、あの白いのは?
「ライゾンフィアさんです」
_攻撃してくるの?
「はい………」
ショウルエとクキロの姿も見つつ、地面の式を見る。
逃げの間の者はイロノルレフ亜から学んだのはいつでも想定外のことが起こるということ。
そして、どんな状況でも。
___「私頭良くないけどっ♪いつでもずるさも必要っ♪それだけは持ってないとだめだよっ♪いざという時はねっ♪」___
イロノルレフ亜は逃げの間を名前で呼ばない。
理由は逃げの間自体が名前を覚えていない。
それと、名前を呼ばれたくないというのもあるようだ。
イロノルレフ亜は気づかいでしてない。
そう思うならそうしないだけ。
逃げの間の者はある意味のずるさ?をしてみる。
ショウルエの時守の力が弱まっていき割られる所まできている。
なので、逃げの間の者は式へと入り込んでしまう。
「式に…」
逃げの間の者は式に入り込む。
時の守りの式の中はバチバチと線が繋がるようにしてあり互いに離れないようにしているが、千切れそうになっている。
が、そこに逃げの間の者が自分が覆うことで繋がる。
それにより、時守の力は持続する。
ショウルエは逃げの間の者の力のみを頼ろうとはせず、時の自分の力も流していく。
逃げの間の者は起きた。
かいとは?
目が覚めていない。
クキロは協力は出来ない。
時の力は持っていない。
かいと、いつきを抱く。
どちらも地面には置くわけにいかない。
狙われているのはかいと。
だが、他に対しても遠慮なく攻撃している。
ライゾンフィアは怒りが収まらない。
収まるものでない。
ライゾンフィアは更に雷雲を現すが、似ツミウにも攻撃しているため、オトリになりきれていない。
ライゾンフィアは元の世界へ戻る気がない。
かいとを。
奴を。
あいつを。
消さないと。
その気持ちしかない。
白色の雷雲はかいとへ向けるが。
防がれる。
なら。
防がれない方法を使えばいい。
白い影は何をする気なのか。
クキロは肩を震わせた。
ショウルエも背中に冷たさが走る。
ライゾンフィアはかいとを狙っているのだ。
相当の憎しみを持っている。
その憎しみは
_明後日。私、明後日がいないと…………!!!!!
白の雷雲は集まると巨大な形を作る。
かいと目がけて雷雲は飛んでいく。
クキロ、いつきのことさえも無視だ。
クキロは狙われたため、いつきをショウルエの元に置いていく。
「あ…兄さ………」
クキロはかいとを連れてショウルエの守りの式から飛びだす。
かいとを狙っているため、飛びこんでくるはずの白の雷雲はショウルエの向けられた方向から曲がる。
他にも雷雲が来るためショウルエは動けない。
「クキロ!!!もど…………」
戻れとはいえない。
後ろにいつきがいる。
彼女を危険に巻き込んでいる。
先ほどの巨大な力が来れば、防げなかった。
いつきは不安そうにしている。
ショウルエはクキロへ声をかけるのを止めることにする。
いつきへと言葉をかける。
不安は消えなくても声はかけられる。
ショウルエは強い瞳を向ける。
「私はここを守る。不安だと思う。けど」
先ほどの攻撃から守ることは出来なかった。
少し嘘をつく。
「ここは守り抜くから」
「ショウルエさん…………」
いつきはクキロの方を見る。
自分の心配は大きい。
けれど、兄のことも考えていた。




