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現世界 青命屋敷内 (青標食 海画)368

現世界

青命屋敷内

青標食 海画


青標と青食の融合した姿。

巨大な針金の絡まる存在。


海画の姿にポツリと青標食はいう


_誰かを失った?


「分かるんだ」


_そう、大事にできる人をなくしたんだ


「そうだよ」


海画は笑えない。

青標食は体を回転させていく。


_でも、私たち。優しくしない


「いいんだ。その方がいい。だって…………俺」


海画は少しだけ耐えてきた。

自分の子どもではないが、預けられた。

青の先祖たちが通った道を彼も通る。

自分の血に近い子どもを任される。

昔は更に多かった。


彼も同じ道を通った。

同じ道を。

彼も通ることになる。

理由は分からない。

もう、そうなるんだ

それしかいえない。

けれど面倒の見方は分からないまま、同じ青の子どもがいる人たちに教えられた。

子どもの面倒は海画だけでなく、全員が見ていたと思う。


海画は耐えてきた。

子どものことをみる。

本当はそういう人間ではないというのに。

だから、本能が起きている。

彼は。

青標食の強さに心が。

反応している。


「…………耐えなくて、いいかな」


海画は自分の片目を手で覆う。


耐えていた。

我慢していた。

彼は本能的に大事に出来ない。

けれど拓前、転を見ることになった。


だから耐えた


戦うことが生きている実感がする

年齢を重ねれば誰かを大事にしたくなると、思われてもいた

海画は思ってもいなかったけれど

海画にとって、心地良いのは戦う時


誰か一人との時間ではなかった

彼も変わるかなと思ってもいた

周りも変わると思っていた



変わらないこともある


彼は、我慢して我慢して我慢した


もう、耐えられない


ようやく戦える


青標食は回転して、海画を狙う。

海画は直撃される。

壁に当たる。


転はというと、焦る。


「海画さん!!」


海画は立ち上がる。


「………………」


青標食はいう。


_体、鈍った?


海画は何もいわない。



_海画は青の者には向いていた


向いていない

向いていない


何も向いていない


戦いに向いてない


向き不向きの問題ではない


海画は何も向いていない


海画は青の者に向いていた、かもしれない


蒼画は大事にする努力が向いていた



青の者としては向いているとしても


海画は戦うことは向いていないと感じている


だが。

向いていなくても。

とにかく、自分は戦いたい

戦いたいのは

自分へ攻撃する者

自分を敵対しない者には興味ない

攻撃する理由が無い

攻撃された


海画は歩き出す


青標食はまだ動かない

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