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現世界 青標建物 青の奥間315

青標建物 

青の奥間


シルベの思い出す過去に。


道標のない日々だ。

彼女は歩き出しても道の先に何かあるとは思わなかった。

人と人の戦いが起こる時代に生まれた。

そのため更に先を見ることはできなかった。

名前もなく消えた全部の恨みと憎しみは残り続けた。

それは、生き残った者に噛みつくように足を引っ張るようにこの場所に残る。

忘れて進めばその怒りに触れる。

忘れてはいけない。

シルベという名前の少女は気付いた。

自分のことをシルベと呼ぶ。

多くの埋まる全てに対して思う。



忘れると良くない。

知らないふりをすると怒りが起こる。

シルベは覚えていることを決めた。

シルベも名前はどこにも残らず時代に翻弄された一人。

シルベと名乗るのは自分でつけたからだ。

逃げるのみしかない時代は生きることも上手く出来ずシルベはただ、逃げるしかなかった。

また時代は逃げても逃げても一つも何かのない時代。

シルベは残らないからこそ、一人ずつ花を供えたいなと思った。

名前は分からないけれど。

必ず一人一人戦ってきたと思える。

その人の人生は語られなくても。

シルベは自然に気づかぬ間に命をなくしていた。

それは青の力を持つ人々の近くにいた。

彼女は青の力によってこの場所に残り自由に行き来も出来る。

そのことに気づいてから。


シルベは多くの場所を巡る。

平地も山も入り、川も海にも行き、何も残らなかった人々を探す。

とにかく地面も落ちているものも見て探す。

それほどの時間が彼女には与えられた。

なら、全員へ花を供えたい。

数え切れなくても。


「あなたも何かと戦ってきたんだねるて」


いつもこの言葉が出ていた。


埋まる全て、消えた全てへ向けた言葉であった。


その時の自分は。

本当に気づいてなかった。


この言葉はもしかしたら。


別世界の全ての自分にも向けた言葉ではないかなと思った。


_「あなたも何かと戦ってきたんだねるて」_


多くの道を行ったり行かなかったりしたシルベがいたから今があるということ。

何だか、不思議な感じがした。

とにかく不思議であった。

別の自分もどこかで在るということ。


青標の地でとにかく続けたこと。

強いてきたこと。

何だかやはり申し訳なさの方がある。


けれど、それを選ぶことを続けた世界。


選ぶことを続けたからシルベは航坂と向き合っている。

__________________

青標建物

青の奥間

航坂 シルベ


シルベは航坂と向かい合う。

剣武器を握る。

覆う都合の良い現実の力がピタリと止まる。


シルベは航坂の周りを飛びかう青の羽根へ向かう。

助走をつけ地面を蹴ることで、空中へ飛ぶと剣武器を上へと真っ直ぐに掲げると振る。

青の羽根は斬られる。

航坂はぐ…となる。


_シルベ、けど……私は封じられたいと思ってない


「どうせ封じられる、るて」


シルベは青の羽根を斬っていく。

ようやく斬ること出来る。


斬る度にカチリッと音が鳴る。


航坂の心へ自動的に何かが流れる。

航坂は苦しみ出す。


_っ!!!!!!


声は上げない。


けれど苦しむ。

シルベは言葉に優しさは無い。


「私は誰かに我慢を強いて世界を続ける」


シルベは青羽根をようやく斬っていく。


が、都合の良い現実は覆い出し動きだす。

航坂は暴走を始めるように光沢のある飾りを飛ばす。

シルベは青の羽根を斬っていたため、距離が近い。


直撃。

幾つもぶつかるように打ち込まれ、また遠くへ飛ばされる。


「…!………っ」


シルベは飛ばされる。

地面にぶつかり、倒れる。

けれど。

シルベはこれまでしてきたことがある。

強いてばかりだ。

強いてここにいる。

シルベはうつむいて、言葉に出す。



「私は強いてきた。強いることばっかりでここにいるるて。だから、立たなければいけないるて」


そこへ更に光沢のある飾りは向けられた。


その光景に青命思航はそちらを向いた。

都合の良い現実は一瞬止まった。

一瞬だ。

青命思航は青の力をシルベを狙う光沢のある飾りへ向けた。

その一瞬に当てた。

だが守れるわけじゃない。

けれど、青命思航は冷静な顔をした。


作の方も都合の良い現実現象が一瞬止まったがまた動き出す。


離れた所で戦う二人もシルベを直接ではないが、守るという行動をしていた。


シルベは二人の行動無ければ。

航坂と対することは出来なかった。


シルベは顔を上げる。

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