似世界 青羽根が水を差した309
似世界
クロリネ シルベ 拓前
クロリネはピクリと気配を感じた。
それはシルベの気配。
今共に空間を直す崩壊のシルベではなく、青羽根のシルベがビリビリと音を立て、青羽根は現れた。
時恋を強く抱いている。
_時恋。力…戻ってきたるて
時恋は青の羽根を引き離すことで遠くに位置する。
青羽根の優しさではない。
戻ってきたことにより、青羽根は戦うべき相手がいる。
相手がいる。
青羽根は一度攻撃対象を変えた。
青羽根は勝手に攻撃対象を変えた。
勝手なことをした。
自分たちの戦いに自分たちが水を差した。
それでも
_時恋がいたるて……………時恋を切り捨てるは出来ないるて
そこへ冷たい言葉が一つ。
クロリネだ。
氷を使い、空間を更に直す。
「自分の戦いに自分で壊すなんてその程度ですか?」
クロリネはクスリとしたが、空間を直す崩壊のシルベヘと話しかける。
「シルベさん。ここは拓前さんと私にお任せください。私は青羽根さんが何を選ぼうがいいのです。あなたも何も怒っていませんよね?」
崩壊のシルベは破片を握る。
「怒り一つもないるて」
青羽根は時恋を優先させた。
崩壊のシルベは自分を相手にしないはずだ。
シルベは拓前を見る。
「ここで戦い、破片をまいてほしいるて。お願いするるて」
拓前はゴクリと息を飲んだが。
青の力が拓前をうなずかせた。
「どうにかするし」
崩壊のシルベは拓前へ近付くと
時を直すための空間の欠片が狙う。
拓前は青の込める足を曲げ、振ると欠片を倒す。
「倒せるし?」
「倒せるるて」
シルベは拓前の目を見た。
剣武器を振り空間の破片を斬る。
「量が多いるて。クロリネ。協力頼むるて」
クロリネは氷の力を込めながら笑顔は消えた。
真剣な表情をする。
「分かりました。このクロリネさん。出来ることは全てします」
真剣な表情だ。
崩壊のシルベは青羽根の元へ向かう。
拓前の後ろから空間の欠片が狙う。
クロリネは空間に氷を流しながら同時に地面から氷柱を発生させる。
必ず協力する。
クロリネは決めている。
協力する。
拓前を何があっても支える。
クロリネは笑顔に戻る。
拓前は欠片を足を振ることで消すと欠片を握る。
が、欠片を握れず、通り過ぎてしまう。
が、すぐに欠片を握る。
まく。
この繰りかえしの苦しさに気づく。
同じことの繰りかえし。
そして、握ることの正確の難しさ。
拓前は崩壊のシルベのしていたことの難しさに気づいた。
けれど拓前もここまで生きてきた者。
必死に続ける。
クロリネはそこへ冷たい氷を拓前の腕へと一瞬ピトリとくっ付くと離れる。
「力を入れすぎですよ。軽く、流れるようにです」
クロリネの方が多くの力を使用しているが一つも崩れない。
拓前は欠片を握るとまく。
クロリネは笑顔で続ける。
「続けていれば必ず出来ます」
拓前は続けた。




