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似世界 かいと 現ツミウ292

似世界

かいと 現ツミウ


かいとは手を向ける。


「ツミウ。帰ろうぜ」


現ツミウは……地面に手を置く。


「早く、ツミウも」


かいとは無視をされる。


「無視かよ!?」


「私はすることがありますね。邪魔しないでくださいね」


「ツミウは、その、どうする気なんだ?」


「私とツミウを捧げますね」


「捧げなくても」


「思航は弟ですね。私がどうにかするのですね」


かいとは座ることにする。


「なるほどな。弟想いなんだな」


地面が急にボコボコと何か生える。

ツミウは囲まれる。


かいとはあわて、自分も飛びこむ。


「な、何してるのですかね」


「俺も俺は、捧げるっていうのいやだ」


「だからと…」


かいとはツミウと目を合わせた。

意地悪に笑う。


「俺がいたら捧げられないだろ?」


「……………!」


ツミウはかいとを押す。


「どこか行ってくださいね!」


「行かねーよ!押すな押すな」


「邪魔ですね」


かいとはツミウから離れない。

捧げさせたくない。

嫌なんだ。

捧げるなんて。

どうしてか嫌とかいとは感じた。


「捧げたら、弟嫌がるんじゃないのか」


「私は…………捧げても」


「捧げると、世界壊れるんだろ、なら止める」


かいと、現ツミウは包まれていった。

そこへ赤い色が広がりボコボコとした生えるものは弾け消された。


「あ…………」


「これは何ですかね」


「分からないけど、ツミウ。こっから出るぞ。一緒に帰る。世界はきっとまだ壊れてない。だから、帰ろうぜ」


「どうして帰ろうなんて………」


かいとは言葉を続ける。


「色んないっぱいの誰かが今どこかにいる。なら、壊れてない。捧げさせない」


現ツミウの手を握る。


「ここで捧げさせることなんてさせねーぞ!」


現ツミウは薄塗りの青色は溢れるように中央で水ではなく硬い四角形が縦横に並ぶものを出現させ、かいとの頬を通り過ぎた。


「ツミウ」


「私は止まりませんね」


かいとはなぜか苛立つ。


「どうして、止まれな……………」


彼女には彼女のことがある。

言葉は止める。

かいとは自分の感情に従う。

止める、と。


彼女のすることを自分は壊しに来た。

壊しに来たんだ。

何としてでも連れて帰る。

かいとはうなずく。


「ツミウ、俺は止める」


現ツミウから放たれた力をかいとは赤の力を込める拳を向ける。

現ツミウの力を。

彼女の想いを。望みを壊す。


「そのために、ここまで来たんだ!!!!!」


他者の望みを壊して

他者の想いを壊して、

世界を救う?

そんなことのためにじゃない!!


もう、これは救うじゃない


「壊すために来たんだ!!」


現ツミウは力を出現させる。

かいとは赤の拳で力を破壊する。

救うためにではない。

壊すために来た。

壊すために来たのだ。

壊すために来たんだ。

現ツミウの願いを

望みを

壊すために来たんだ。

壊すためにきたんだ。

かいとは現ツミウの力を破壊する。


「捧げさせない!」


「あなた邪魔ですね!!」


現ツミウを囲もうとする地面は何かの力で変化出来ていない。

かいと、という存在がいるからと現ツミウは何とかしてでも追い出そうとする。


「ここから出ていってくださいね!」


現ツミウは薄塗りの青色は溢れるように中央で水ではなく硬い四角形が縦横に並ぶものを出現させ、かいとへ向けた。

避けることは出来ず、赤の拳で受けていき、割れたものもあれば、割れずにその場で止まってもしまう。

押されるが片足を後ろへと下げ、自分の体を支える。


「く…………!出ていかないぞ!ツミウ!」


ツミウはガチッと歯を噛む。


「世界を守るためになんて、良いことをしている英雄気分ですかね!自分が正しい位置にいる」


かいとはその言葉に答える。


「世界を守るとか、英雄とか……たしかに良い気分になれることをしている、かも」


かいとは嘘をつけない。


現ツミウはそこを突くことにする。


「私は弟、青の漂いさんを救うために来ましたね。あなたは、自分が英雄気分となるために来たのですかね?」


現ツミウはニタリとする。

かいとは、嫌みな言葉を向けられたが。

ニッとする。


「何いわれようが、俺は絶対に捧げさせない、英雄気分?英雄じゃねーし、俺はツミウの望みを壊す。壊すんだから」


かいとは続ける。


「破壊者だ。俺はただの破壊。英雄?そんなわけない。俺は破壊する、ツミウの望みを」


強い瞳を向けられても現ツミウは笑う。


「破壊者………ですかね。破壊。最悪ですね!」


薄塗りの青色は溢れるように中央で水ではなく硬い四角形が縦横に並ぶものを出現させ、向ける。

赤の拳で受ける。


「俺は、壊しにきたんだ。英雄じゃない」


「破壊しに来るなんて、世界を守るなんていえないのですね」


その様子を何かは静かに見つめた。

それはハサミの姿をしている。

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