似世界 続いた世界は想像出来ない場所へ辿り着いた289
似世界
青の羽根は怒りを生んだ。
別の意味で怒りを生んだ。
怒りは生まれてもすぐに消えるようにしてきた。
だが、いつの間にか自分のことしか考えなくなった。
自分の怒りのためにしか動かなくなった。
そのはずのシルベは別の感情で怒りを生んだ。
時恋が無意識に青の羽根のシルベを思ったこと。
それが心に怒りを生んだ。
怒りという感情を生んだ。
青の羽根は驚いていた。
怒りが生まれたのだ。
シルベに晴らす以外の怒りが。
怒りはあった。
けれど、時恋という存在を想い怒りが生まれるとは思っていなかった。
_怒り、るて?私に私以外を思う、怒りるて?
怒りは自分のためにしか使わなかった。
怒りは自分だけのために生まれた。
他者のために怒りを生んだことはない。
元々冷たいのだ。
……………
「違います。シルベ様はみんなを思うからこそ誰も本当の意味で思ってないのです」
「だからこそ、あなたは無理をして、壊れていったのです」
そんな声が聞こえたが。
シルベは顔を振る。
_違うるて、いつの間にか自分の憎しみだけしか考えなかったるて。自分の恨みを晴らすため、それしかなかったるて
時恋は更に弱まる。
二人は繋がることはなかったはずだった。
違う二人は繋がれない世界で繋がった。
繋がった。
更に空間を壊して、繋がるのは。
そこには。
多くの海草がある。
尖る物体と円錐爪が接着されたような存在がいる。
他にいつき、似ツミウ逃げの間の者がいる。
繋がらなかったはずの二人のように。
繫げられない場所は
怒りが生まれたことで
繫げられた。
いつきはいう。
「な、何が起きて」
似ツミウもいう。
「シルベ………さん?」




