似世界 時恋のいる場所285
似世界
クロリネ 拓前 時恋
拓前は青に包まれる。
真っ直ぐに前を向く。
震えるが進める。
クロリネは拓前の姿にどこか目を細くさせる。
その顔は苛立ちではなく、心からの笑顔だ。
「拓前さん。僕に協力してほしいのです」
「協力し?」
「はい。僕は」
クロリネは氷の結晶を向け、時恋の力を防ぐ。その間にどうしたいのかを拓前へ話す。
拓前は一度静止してからうなずく。
「分かったし。やってみるし」
クロリネは笑う。
「お願いします」
黒緑の刃は氷からバキインと割って飛び込んでくる。
そこを拓前が前を立ち、片足を上げて腰をひねるようにして蹴りを入れる。
黒緑の刃を蹴り飛ばしていく。
クロリネは拓前の姿になぜか笑顔になる。
時恋は二つの力を絡ませたものを発現するために疲れを感じた。
そのため、下がり黒緑の刃を伸ばす。
クロリネはこの機会を失うわけにはいかない。
氷の液体はドロリと流れていく。
パキパキと空中が凍らせられていた。
時恋は自分の力の低下に気づく。
_え、
時恋自身も気づいていなかった。
あまりにも体力を奪われていた。
いや、それだけではない。
青の羽根の力が少しずつ吸収されるように、時恋も力を持つ者として
時恋は黒緑の刃がバキバキと割れ、落ちた。
消えていく。
_あ、?シルベ…………、
時恋は顔を上げる。
たとえ自分自身が消えようとシルベの晴らしたいことを。
_力、全部、全部、時恋、全部!!!!、消せ、!!!!!
己が消えようと。
シルベの晴らしたいを。
叶えたい。
_叶え、る、シルベ、晴らす、!!!!!
無理矢理に黒緑の刃は時恋の背景にビッシリと現れ伸びていく。
拓前は怯えない。
向かってくるのなら。
「俺、一人じゃないみたいだし」
クロリネはニコリとする。
青の羽根の方を見る。
「青の羽根さん。あなたは時恋さんをここで消えてしまっていいのですか?」




