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いつきと色葉3

それから、布団を…とりあえず床に置く。

布団をとりあえず二つ敷く。


いつきはドキドキしてる。


_色葉が隣で寝る…

 

いつきは布団へと入る。


「じゃあ、色葉。おやすみ…」


「布団使わせてくれてありがとう!おやすみ!いつき」


では、電気を消す。


いつきは、横を向く。

静か。


と、思っていたら。

後ろから急に抱きしめられる。


_え!え!お!え!?なに


いつきは固まる。が聞く。


「どうしたの?」


抱きしめてくる相手は色葉しかいない。


「一人だと寒くて」


_ふあああ!やわらかい!じゃなくって!


「このままでいさせて。いつき」


いつきは固まり、ドキドキする。

心臓の鼓動という奴が早くなる。

色葉が後ろにいる。


耳元で色葉はいう。


「いつき。聞きたいことがあるの」


「え?」


いつきは不思議そうに声が出る。


「あなたは…その…“いつき”?ごめんね。いつきなら…その、本当にごめん」






いつきは思い出す。

彼女と話したこと。

彼女はこどもだったけど大人っぽかった。



「お願いがあるの」


彼女はそういった。


「私のお願い聞いてほしいの」


彼女は、そう、いった。


だから何かは聞いてみた。


_お願い?って?


「私は、役立たず、だから」


彼女はまっすぐにいう。


「私は自分でいたくない」


_そんなこと、いわれても…


何かは困るが聞いてみる。


_どうして自分でいたくないの?


「弱いのは嫌なの、だから」


彼女はやはりまっすぐにいう。


「私になってほしい」


彼女は何かに自分を渡した。

何かは彼女となった。






いつきは思い出す。

風のように流れるだけに生きていた自分を。

いつきは、色葉に伝える。


「私は…からっぽな風だったの。“いつき”と出会って、“いつき”は…自分を捨てちゃった」


「風…?」


「うん、兄さんたちは気づいたけど私のこと妹っていってくれたの」


_まあ、いつか“いつき”を見つけたら怒るって言ってたけど…


捨てたから命をなくしたわけじゃない。

“いつき”はどこかにいる。


色葉はにこっと笑う。


「そっか!よかったー。ずっと、聞こうと思ってたけど聞けないもん!そっかー、そっか!あのさ、昔かいと先輩のことお兄ちゃんていってたのに兄さんていってるし…他にもなんかなーって!今安心した!」


色葉は安心したようだ。

でも、色葉はいつきの頬をぎゅうとつまむ。

結構痛い。


「いた…いたいって!」


色葉は容赦ない。


「そっか。いつきは…どこに?」


「どこかにいるらしいけど…わからなくて」


「絶対殴る…」


「それがいいと思う」


「まずは、いつきだけどね!」


いつきは頬を両方伸ばされる。


_いたい、いたたっ!

怒るよね

それは


「何でいわないの!」


「聞かれないから…」


「…もう!」


まだ、伸ばされると、手が離れ抱きしめられる。


「なーんか、ほっとした」


「…そっか。私のこと…気持ち悪くない?“いつき”じゃないし」


「それはない!一緒にいたし」


いつきは顔が赤くなる。


「そうなんだ、どうして抱きしめるの?」


「あったかいのが好きだから!冷たいの苦手なの…いつきこそ嫌でしょ?抱きしめられるの」



「………色葉ならうれしい」


「そうなの!?私ならいいの」


「いや、正直女の子なら誰でもうれしいよ?私は…でもやっぱり…色葉がいいな」


いつきは、唇をわなわなさせる。

思いきろうと思う。


「私…好きとかよくわかんないけど…でも。色葉のこと…す…………………すき…」


思いきった?

色葉は?


__ぐっすり寝ていた__


「え。寝た?」


寝ていた。

寝ていた。 

聞かれてない。

聞いてない。

顔が赤くなる。


顔を覆う。

とりあえず抱きしめられてるので離れようとする。が、うん。

力強い。

色葉。力。強い。

離れない。


いつきは、困った顔はするが。


「…………………うん、好きな人に抱きしめられている。よろこぼう。うん、でも心臓が早い…心臓落ちついて…おちついて…」


いつきは落ち着かないが、思う。


_“いつき”どうしてるのかな…まあ、私もまた会えたら殴ろうかなって考えてるし、うん。


「あったかいな…」


温かい誰かの体温に抱きしめられて、いつきはふわふわとした笑顔で眠った。



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