いつきと色葉1
いつきは、かいとが眠ってるが、あまり赤井に行かない。
あまり会いたくないのかもしれない。
学校へと行くが、桜子の危険が少なくなり、見守という役目はなくなる。
桜子は、いつきと陸へ守られてきたことへの感謝と同時に大切な時間を奪ったことを深く深く頭まで下げられてしまった。
いつきとしては、桜子のことを姉のように慕っているので一緒にいることがなくなったことはさみしさがある。
といっても一生を考えると続くことではなかったかもしれないと…よく考えてみると、そう思ってしまう。
…そこへ、色葉が来る。
「いつき!おはよう。かいと先輩かぜ引いたって本当!?」
かいとは、葉無トンネルを色葉と共に行くことあるため、すでにそういう風に伝えられてる。
後々、伝えないと困るのだ。
「うん、今日休みだよ」
何があったのかは話さない。
「な!そうなの!?」
「だけど、来たらだめ」
色葉は家に行こうと考えていたと思うが。
いつきは、だめとすぐにいう。
「えー、なんで!」
_来てもいないし…
「うーん、だめだよ」
_私がいてもつまらないと思うし…
「…そっかーわかった。桜子先輩もいないの?」
「うん…」
桜子は起きるまでそばにいるとのこと。
いつきは思う。
_後悔するなっていったけど…止めれば…よかったかもしれない…
いつきは、一人アパートに着く。
誰もいない部屋は、広く感じる。
_うーん、一人か…料理とか…できない…
とりあえず、みそ汁だ。
みそ汁は、元と野菜を入れて、煮るとできあが………。
そこへ、ノックがした。
いつきは扉の前で聞く。
「誰ですか?」
「いつき!私、色葉」
扉を開けると色葉がいた。
色葉は制服姿だ。
「色葉?どうしたの?」
「かいと先輩に会いに来た!」
「あー…いないよ…その、うん」
色葉はわかりやすくがっくりと肩を落とす。
「そっかー」
でも、すぐににこっとする。
「でもいつきがいてよかった。あのね、泊めてほしいの」
いつきは、「え?うん」うなずいてしまう。
部屋へ入ってもらうが特に隠すものはない。
…はず。
すぐに色葉は本棚に気づく。
「本だ!読んでもいい?」
本…
「うん、読んで読んで」
色葉は本を読んでいく。
静かだ。
色葉がいう。
「一人の男の子と女の子たちの恋愛だね」
「あっ…兄さんのだね!」
「なるほど…かいと先輩の好きな女の子のタイプ…なるほど」
色葉は読む。
「…」
色葉は読み終わるという。
「男の子に一途な女の子なのに!どうして主人公は女の子たちに好きと言わないの!」
色葉はそこが気になったらしい。
いつきが答える。
「何でだろうねー、恥ずかしいとか?」
「特に幼なじみに対してどうしてこんなにも好きって言われてるのに!」
いつきは答える。
「幼なじみの黒髪の女の子だよね!ねー!かわいいよね!一筋でずーっと好きで好きでそこがいいよね!」
「うー!だからこそなんかモヤモヤする!」
いつきは思う。
_兄さんのまわり?に似ている!?まあ、いいとして…色葉夢中になってる?
色葉はまだいう。
「うー!せめて全員に大好きっていってほしい!」
「そうだよね!女の子にこんなに好かれてるの本当にうらやましいよ!私だって好きっていわれたい!……………………はっ…!?」
いつきははっとする。
色葉はにこにこしてる。
いつきは自分の顔を手で覆う。
「あ、えっと!その………あの…………」
色葉に引かれてしまう。
「色葉……そ、その………私………その………」
色葉に気持ち悪がられる。
きっと。
まずい。
いつきは焦る。
が
色葉は笑顔だ。
「いつきは本当に本が好きなんだねーいいなー、好きなものがあってうらやましいな」
とだけいわれる。
「色葉の好きなものは!?」
何とか話を変えつつ聞く。
「私?うーん………………甘いものかな」
「甘いものかあ、あーなんか食べたくなってくる」
いつきは目を閉じて甘いものを想像する。
どうやら色葉はいつきの好きなものについて特に何も思わないようだ。
小説を読み続けて、色葉はいう。
「…うん、主人公……まだ選べないみたいだねー。んー。早く好きっていってほしいー」
色葉は本気で読んでいるようだ。
いつきはうれしくなる。
うれしくなると同時に心の中でかいとへと思う。
_早く起きてよ…兄さん、兄さんのことが、みんなが好きだから…悔しいけど……………………起きないと許さないから_