赤井14 (終わり)
赤井悠磨は、“呼のもの”を忘れるわけがない。
それは、二前一夢では昔、“呼のもの”が発生した。
悠磨の母。
赤井留実子
彼女は、他前へと向かい、そこへと行き、戦いをして自分ごと封印した。
そのことは誰も知らない。
誰も知らない。
誰かを守ろうとしたのに誰にも伝わらずに終わる。
悠磨は、赤井敬造の息子であり赤井を受け継ぐことは決まっていて、彼も継ぐことは決めていたが。
かなたが桜子とかけらを分けたことにより、桜子が危険かもしれないと上の方と敬造の話を聞いて、彼は桜子を守るのは嫌だ。そう思った。
桜子と“呼のもの”は違うがそれでも。
彼は嫌だったのだ。
桜子が危険となるなら、守る方ではいたくない。
「母は他前の危険なやつのせいで自分ごと封印してその場所を守った。お前らなんか…いなければ」
悠磨は叫ぶ。
笑顔はない。
強い憎しみが感じる。
「お前らみたいなのがいなければ!いなければよかったんだ!」
かいとは何も言えなくなる。
自分の経験したことではないのに勝手なことはいえない。けれど、声をだす。
「桜子とは違う」
「わからないだろう?」
悠磨は暗い目だ。
「俺は、方法を知ってる…桜子は倒させない」
「方法?そんなことどうでもいい」
桜子は地面に膝をついている。
かいとは、無理矢理に体を動かし、前へと出る。
隼斗はその力の強さに手が離れてしまう。
かいとは、桜子の方へと走ると前へと出る。
手を広げ、守るように。
「桜子とそいつは一緒じゃない」
かいとへと隼斗は行こうとする。
ほこは、隼斗の方へと行き、止めようと顔に飛びつく。
「ほこは…弱い…でも、これくらいする!」
いつきは、動けないでいる。
できることなんてない。
弱いやつに何もできない。
でも。
でも。
かいとは、桜子の方へと行く。
桜子が傷ついていることに、歯をがっと噛む。
悠磨は、つながりを手に持つ。
いつきは、それを見る。
いつきは、動けない。
悠磨はつながりを手に持つ。
結界が張っていて壊せない。
でも、力を込める。
つながり。
「壊れろ…」
悠磨は赤の力をつながりへと思いきり向ける。
かいとは走りだす。
つながりに少し、ヒビが入るが、かいとは悠磨へつっこんだ。
それによって。つながりが悠磨の手から離れる。
つながりにヒビが入ったからか、桜子の手の中に一枚の赤い花びらがある。
桜子は気づき、うつむきながら掴む。
つながりが上へと飛んでいき、いつの間にかいつきは体が動く。
走り、転び、でも両腕を上げてつながりを抱きしめる。
うつぶせに転んだが、何とか胸の中にある。
「……は…あ」
悠磨はぶつけられたが、立つ。
その目は鋭く冷たい。
「どうしてだ…かいとくん」
かいとは、その目をまっすぐに見ていう。
「桜子は違う。それに、俺たちだって、誰だって、いつ危険になるかなんてわからないだろ!」
「…そんなの、俺、は!」
悠磨は、かいとへと向かう。
地を蹴り、力がまだあるからか、赤い拳を向けてくる。
「…俺は…」
かいとも同じように赤い力を込めて、拳を作り、向かっていく。
お互いの拳が、顔にめり込む。
お互いにふらりとする。
が、かいとは、足を踏ん張り、立つ。
「あんたはただ桜子を傷つけたかっただけだ!」
悠磨は倒れ、仰向けで天井を見ていた。
「…」
ただ、ぼーっと。
見ていた。
隼斗は顔にほこがくっついていて離れない。
ほこはいう。
「桜子に近づけさせない!」
隼斗は膝をついた。
かいとは悠磨はもう見なく桜子の方へと行く。
地面にある破片を手に持ち自分の手へとぶつけようとする。
桜子は破片を持つ手を掴む。
「かいとくん!やめて!何してるの!?」
桜子は叫ぶ。
かいとは、いう。
「…離せよ…!桜子。俺の血を飲んでくれ!」
「…やだ!絶対に嫌!かいとくん。自由になってほしいのに!何しようとしてるの!?」
桜子は手を掴んで、眉をつり上げる。
「…私は、私のことって言ったでしょ!やめて!それに…私のこと好きでもないのに…そういうことしないでよ!!!!」
桜子は言いたいことを言ったと思う。
かいとは桜子の顔を見る。
そこには涙を我慢した女の子がいた。
「…あ」
「あのね、…私…私…かいとくんのこと本当に好きなの!」
桜子は伝える。
「私は勝手なの!かいとくんといられて…うれしかったの。いつきちゃんと陸くんに迷惑かけてるってわかってたけど…一緒にいられてうれしくて」
桜子はわかっている。
自分は身勝手なことを言っている。
もっと身勝手なことをこれからいう。
少し顔を赤くさせて、でもいう。
「…………私は!かいとくんのことが好きすぎて……!かいとくんは私に話しかけてくれて、そばにいてくれて…うれしくて…うれしくて…私はこんなこと思ったらいけないのに!」
かいとは、抱きしめる。
「思ってなんでだめなんだ?思ったっていいに決まってる」
かいとは続ける。困った顔をする。
「俺は…桜子を好きなのかわからない…ごめん。でも、俺が桜子をここにいてほしいから俺がそうしたいんだ!」
桜子はかいとの胸板を思いきり押す。
桜子は立ち上がる。
赤い花びらがばっと桜子のまわりに現れる。
「…この赤い花、危ないの…来ないで!」
かいとには当たらない。
とにかく、かいとから離れる。
桜子は自分が危ない。
だから離れる。
かいとは近づいてくる。
「来ないで」
「…桜子」
「私のこと好きじゃないのにやめてよ!」
かいとは、それでも近づく。
「来ないでよ!」
かいとは、桜子を抱きしめる
桜子は離れようとする。
でも離さない。
赤い花びらたちはかいとを狙うように浮かんでいる。
かいとは、気にしない。
いつきはつながりを抱きしめる。
その光景を静かにみつめる。
桜子は赤い花びらを上へと飛ばしなんとか、力が暴走しないようにするが。
いっそと考える。
赤い花びらは上から落ちてきて、かいとと桜子の付近に突き刺さる。
「私、今かいとくんに当てようとしたの!だから、私は危ないの!だから!離れて!」
桜子は…大きな声でいう。
かいとは当てられていない。
なら、桜子は自分でそうしなかった。
だから、かいとはぎゅうと強く、抱きしめる。
「桜子。ここにいてくれ」
「…だめ。だって…私…ここにいたらいけない…わかってた…でも」
桜子は泣かない。
「みんなといたかったから…私は本当にひどいよね…早く自分で自分壊せばよかったのに…」
「いたいと思って何が悪いんだ…桜子は自分で自分をどうにかした。だから暴走してない。なのに、何か言う奴いるなら俺が許さない!俺が倒す……………」
かいとは上を向く。が。
「なんて言ったけど…俺…弱すぎだ!桜子は自分で戦ってるし…」
桜子ははっきりという。
「私のことだから。私が自分でしないとだから」
だけど、次の言葉は桜子は小さく、弱々しくいう。
うつむく。
「…………私…いて、いいの………?」
桜子は本当はそう思っていた。
ずっと昔から。
かけらのときから。
生まれたときから。
かいとはいうだろう。
かいとだからいうんだ。
「桜子はいないとだ。ここにいて、幸せにならないとなんだ。だから、いてくれ。桜子」
桜子はぽたりとひとしずく涙が落ちた。
ふらりとして、かいとへと倒れかかりかいとは支える。
いつきはかいとの所へと行く。
「どう、するの?」
かいとは、桜子に自分の血を渡す。
そして、桜子の血を飲んだ。
その瞬間、赤い花びらが二人を抱きしめるように包み込む。
そして、突然赤い花びらが、弾け、上からひらひらと落ちてくる。
かいとは、突如痛みに襲われる。
「………う………っ!!…………!」
倒れる。
陸は、かいとへとかけよる。
いつきは近寄れなかった。
いつきは正直思ってしまった。
思ってはいけないことを。
_兄さんは気持ちが悪い_
誰かのために何かをするのはすばらしいことだ。でも…それは、兄は自分に痛みがくることを知っていても彼女のために動いた。
_こわい
_やはり兄は苦手だ
_誰かのために何かができない私は…
_兄のことは多分苦手としかいえない
陸はかいとへ触れようとするが痛がっていて、さわっていいかわからない。
「かいと!かいと!!」
隼斗からほこは離れる。
隼斗は気づく。
仁が倒れているため、かいとよりも仁の方へと行く。
陸はかいとが気を失い、近づく。
「…かいと!かいと!」
そっと肩に触れる。
悠磨は起き上がるとかいとと桜子の方へ行く。
悠磨はいう。
「…かいとくんを上の方の使いのとこへ連れていく!」
陸はかいとを後ろに背負う。
悠磨は桜子を抱き抱える。
陸が鋭い目でいう。
「桜子さんに…」
悠磨は陸が言う前に答える。
「今は壊さないよ…」
ほこも来る。
「桜子にさわるな!」
「…壊さないから、君も行こう」
悠磨の瞳はまっすぐのためか、ほこは何か言いたげだが。
「…桜子をお願い」
みんなが行ってしまう。
陸はかいとを後ろに背負い、いつきに声をかける。
「いつきさんも…行こう」
「先…行っててください」
「わかりました」
みんな行ってしまった。
いつきは残る。
何もできなかった。
「私…何もしようとしなかった…気持ち悪いとか思って…私は………どうしてこんなに使えないやつなの…」
いつきはヒビの入ったつながりを抱きしめた。
赤い花びらは、地面に落ちている。
その美しさをいつきは見ていた。