赤井11
桜子の案内されたのは中央に円になるように椅子が上へ上へと積み上がった空間。
「ここは…」
赤井悠磨は、次の者として、この場所は教えられていた。
ここは、桜子の壊れた場合に倒し、ここに桜子は残し、空間を消す。
危険なものは、この世界に残さないためにだ。
他の国はこういう空間があるかは知らない。
悠磨は歩いていき、止まると後ろを向く。
桜子へという。
「さて、まずはこの赤井と桜子のつながりを壊さないとだな」
桜子は声をふるえている。
「つながりを壊されるのは怖い?」
「…いえ」
「これがあったのも君が壊れなかった理由だね」
赤井のつながりは桜子の壊れてこなかった理由の一つだ。
そして、桜子のまわりにいた人達がいたからだ。
隼斗は、かいとを後ろから抱くようにすると首に腕をまわす。
仁はその隣でかいとを見る。
一応のためだ。
悠磨はいう。
「そして、やっぱりかいとくんがいたからかな」
桜子はこくりとうなずく。
「かいとくんだけじゃないです、みんながいたから、私は壊れてこなかったんです」
「でもわからないよね、これまでは運がよかった、これからはわからない」
桜子は何も返せない。
「ごめんね、君を守る役目は絶対にしたくないんだ」
悠磨はかいとの方を見る。
「つながりを壊してほしいんだ。かいとくん」
かいとの前へとつながりを持ってくる。
つながりは赤井と桜子の関係をつないでいる。
これを壊せるとしたら。
“かいと”かもしれない。
だがかいとは、決して動かない。
壊さないためだ。
いつきはというと、一人端にいた。
力なしのいつきは何もできない。
何もできない。
見ていることしかできない。
桜子は悠磨へと悲しそうなさみしそうな顔を向ける。
はっきりとそれでも声を出す。
「つながりを…壊してください」
桜子の言葉に悠磨は笑う。
「…いやー…これ壊れなくてさ…」
かいとへと笑顔が向けられた。
隼斗によって動けないが、はっきりと言う。
「壊すわけないだろ!俺じゃ壊れねーよ!」
「まあ、いいや、じゃあ」
悠磨はもう一度拳をつながりへとぶつける。
何か見えない結界が覆ってるのか。
ヒビもない。
「あー。壊れないな」
桜子は静かにしている。
そこへ、ほこがでてくる。
「桜子!」
悠磨は人のいい顔をする。
「また会えたね」
挨拶をする。
「ほこはほこだよ!桜子に嫌なことをするなら許さないよ!」
「桜子ちゃんが壊してって言ってるよ?」
ほこは聞く。
「…桜子?なんで…」
「私は危険だから…いたらだめなの」
「ほこは桜子にいてほしいよ!桜子がほこを助けてくれた!だから!」
桜子は静かにいう。
「私はいたら…」
かいとはいう。
「いるのはいいだろ!?何がだめだよ!」
「…私は、迷惑だから…」
そこへ、パンッと手を叩く音がした。
「そういうのはいいよ。かいとくん。壊して」
「嫌だっていってんだろ!?」
「…んー。じゃあ、いいや。ねえ桜子ちゃんが頼んでみてよ。きっとかいとくんもそれならしてくれるかも」
桜子はかいとの前へと来る。
「かいとくん。つながりを壊せるのはかいとくんだと思う…だから、壊してほしい」
「壊さないっていってるだろ!」
「私は…」
「桜子までそんなこといって…方法があるのになんで…どうして…なんだよ」
かいとはわからない。
方法を知ることができて可能性があるのに。
どうして、それなのに桜子が嫌がるのか。
押しつけていることをかいとは気づいてない。
桜子にとっていいこととしても。
桜子の気持ちにとってはいいことだと言えないかもしれない。
かいとは全くつながりを壊そうとは動かず、絶対に動かない。
悠磨も相手が何もしないなら…無理にという動きができない。
性格的な問題もあるかもしれない。
悠磨は性格が本当に悪ければよかったし、多分…悠磨は…どこか、彼も悩んでもいたのかもしれない。
隼斗は悠磨の性格の良さに気づいている。
隼斗は自分の手の中に羽を出現させる。
「なら…」
「何する気だ…!?」
かいとは絶対にうなずかない。
なら、隼斗は自分の力を使おうとする。
すっと、首筋に刺す。
痛みはなく、傷跡も残らない。
刺され、かいとは聞く。
「…なんだ、それ」
「少し言うことを聞いてくれるようになるだけです」
「…そんなの、ずるいだろ!?」
かいとは、少し…ピクリとする。
隼斗はささやく。
「つながりを壊してください」
その言葉にかいとは。
つながりへ目を向ける。
だが、
「壊さねぇっていってんだろ!」
隼斗は目を開き驚く。
「…どうして」
隼斗は…悠磨を見てしまう。
悠磨はにこりとすると、桜子の方へと笑顔を向ける。
「まあ、かいとくんは無理そうだし、ねえ桜子ちゃん」
悠磨は桜子へと話しかけた。