ある彼の話3
それでも、異世界に行きたい。
男子高校生は走る。
行きたいから。
そこへと。
行く方法を探す。
「探すか…」
その頃かいとは路地裏にいた。
「シャンディさん」
「なに?かいと」
シャンディと呼ばれた青色のローブの女性はほほえむ。
「今回は何を売ってるんだ…」
「異世界へと行けるボタンだあ」
服についているようなボタンを手に持ち上へとかかげている。しかも色は青色。
「異世界に行けるのか?」
「行けるんだあ!」
「どうやってそんなの…」
「秘密だあ!」
「シャンディさん俺より年上だよな」
かいとの目の前に、本当に目の前で人差し指がぴたりと止まった。
「かいと?女性の年齢に関してはふれてこないように?」
かいとは顔を青くしてこくりとうなずく。
人差し指が離れてかいとは胸に手を当てて後ろを向き、震える。と、もう一度シャンディの方を向く。
「シャンディさん、それであの、“赤色”のボタンは渡してねーか?」
「赤色は知らない」
「そう、か…」
シャンディは質問する。
「赤がどうしたの?」
「それが、赤色の異世界に行けるボタンを渡してるやつがいるらしくて、そういう変なの渡してるのってシャンディさんと思って」
「変なのは失礼だな…?」
また人差し指がきそうで、すぐに謝る。
「す、すみません…!」
「でも私じゃないなあ」
「そう、ですか」
「うたがってたあ?」
かいとは素直だ。
「あっ、はい」
シャンディはかいとらしいなと思いいう。
「素直だなあ、かいとは」
「そうですか?」
「好かれるだろ?」
「好かれないな」
「またまたー」
「いや別に」
「そこは素直に好かれてるといいなってー」
かいとはいう。
「俺を好きとかありえないんで」
「そう、つまんないなー」
かいとは頭を下げる。
「話を聞いてくれてありがとうな、シャンディさん、それじゃあ俺失礼します」
「おうーまたな、かいと」
「はい、また」
かいとが行くとシャンディは手を振り、つぶやく。
「赤いボタン、かあ」