赤井6
赤井家 屋敷内 第二部屋
「桜子は、安定している…」
敬造はいう。苦しげに。
「わからないだろ、壊れたら遅い」
「…だが」
「上の方か…が、桜子はこのままにしておけと言っているのか?」
「それもあるが、あの子は…あの子は…かわいい娘だ!」
悠磨は「は?」という。
「私はかけらに近づかないでいた、だけど、あの子が人へと姿を変えて、話をして、気づいた、彼女は…」
「ただの人間と一緒ってかよ」
「赤井家は、知ろうとしなかった…先代の中では彼女と話をした方もいたが……ほとんどは怖がるだけで何もしてこなかった」
「当たり前だろ…あれは危ない」
「知ったからこそ、私は守りたいと思うんだ」
「よく言えるよな、…父さん?」
「もう…いい、悠磨、お前が正しい、でも桜子は壊すな」
悠磨は何も答えない。
赤井家 屋敷内 廊下
かいとは、仁と向かいあい、両手を握りあうように重ね、大股でお互いに同じ姿勢で動き続ける。お互いに手は離さない。
そのため、廊下を進んでいってしまい、陸たちからは離れていく。
仁がこめかみに筋を作りながらいう。
「離せ!お前!」
かいとも負けずにいう。
「お前こそ離せ!」
引かない。
両手をお互いに動かし、お互いの顔に当てようとする。が、首を動かし、よける。
このままでは、どうにもならないので、仁は足を出すが、かいとは体を後ろへと引いて、何とかよけることに仁はいらだつ。
「よけんな!お前!手離せ!」
「蹴ってくんなよ!てか、手、汗かいてるな!」
「ああ!?お前のだろ!?」
それを繰り返す。
が、かいとの方が、よろける。
それによって、仁はかいとの指から手を離す。
体が自由になり、仁は右足を前に出して、先に動く。
仁は拳を作るとかいとへと向ける。
「お前、邪魔だ!」
かいとは、焦るように両膝を曲げて体を下げる。
仁は、かいとが体を下げたことで、地面に飛び込んでしまう。勢いがついていたため、地面に拳がぶつかってしまう。
「いってえ!」
かいとは、立ち上がると仁の方へ行こうとしつつ、廊下の奥を見た。
「桜子…いつき」
といい、かいとは別のことを考えた。仁のことをちゃんと見ていなかった。
だから、仁はすぐに起きて、かいとへ走りだし、自分の右足を曲げ、体をねじるようにして、かいとの横腹へ蹴りを入れた。
かいとは、崩れるように膝をつく。
「っ!!」
「俺のこと見てねーとか、ふざけんなよ!」
かいとは、はっとする。
が、もう遅い。
すでに顔に拳が当てられていた。
かいとは倒れてしまう。
顔に拳を当てたのがかなり効いたようだ。
何より、かいとは隙を見せていた。
気が緩んでいた。
反応も、避けることもできなかったのはそのせいだ。
仁はまだ警戒してたが、かいとを見る。
仰向けに倒れ、…気を失ってるようだ。
仁はなんだかイラッとした。
戦っているのに何かに気を取られていたことは何となく仁もわかったからだ。
「よえーな、こいつ、てか!俺と戦ってんのに…腹立つやろうだ」
と、仁は行ってしまう。