赤井2
赤井家 屋敷内 広い和室
その部屋は四角形の大きなテーブルが置かれ、椅子ではなく、座布団がある。
悠磨たちは座布団に正座をしていた。
桜子は敬造を呼びにいっている。
悠磨は立ち上がると、久しぶりの部屋を見つめる。
「…なつかしいにおい」
そこへ、敬造が来る。
敬造は、どこか急ぎ足だ。
「悠磨…帰ってきてたって!?顔も出さないで上の方に迷惑かけて…」
「はい、帰ってきてました。というか、上の方に呼ばれたんです…あ。二人は俺のいた場所の五前で出会ったんだ」
敬造は座ると頭を下げる。
「はじめまして。赤井敬造です」
「はじめまして。中先隼斗です。俺たちまでお邪魔してしまいすみません」
隼斗は丁寧に答えると頭を下げる。
隼斗は仁の頭にそっと手を乗せ、頭を下げさせる。
仁はいう。
「なっ…」
隼斗は真面目にいう。
「挨拶の時はちゃんとしなよ。仁」
「…はじめましてだな」
隼斗は眉をぴくりとする。
仁は気づくが、不器用にいう。
「お、俺は、仁ていうんだ、はじめまして…だな」
敬造はにこりとする。
「丁寧に…ありがとう。悠磨は一人かもしれないと思っていたから君たちがいてくれてよかった…ありがとう」
その笑顔に、隼斗は何も反応しないが仁の方がうつむく。
敬造は、涙がにじんでいる。
が、手をわたわたと動かしてはいる。
「父さん」
悠磨は、父の方へと自分から行く。
「父さん、ごめん、家を出ていって…」
「…いいんだ」
桜子は二人の再会に目を細めた。