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俺が決める未知  作者: 三木香
5/69

5.部活

初めて評価を頂きました!とっても嬉しいです。

 キンコンカンコン、キンコンカンコン。

 そんなこんなであっという間に放課後になっていた。

「よっしゃぁ。部活だぜ。今日も走るぞ。涼はもう帰るのか」

「いや、僕は図書室に寄ってから帰るよ」

「そうか。んじゃあ、また明日な」

「うん。またね」

 涼は本を片手に教室を出ていった。俺もグラウンドへ急いだ。



「よお、ちぃ。早いな」

「当たり前でしょ。春の大会が近いんだから」

 ストレッチをしながら千夏は答えた。肩まである髪をポニーテールでくくっていた。

「俺も頑張らないとな」

 俺も千夏の隣りでストレッチを始めた。

「調子はどうなのよ」

「まあまあかな」

「とか何とか言って、アッツーけっこう調子いいでしょ」

「あ、わかる? なんでかちぃって先生より俺の調子よくわかってるよなぁ~」

 俺は少し照れながらストレッチを続けた。

「あ、当たり前でしょ。何年一緒にいると思っているのよ? ずっと一緒に走ってるから分かるわよ」

「まあ、そうか」

「そろそろアップに入るからじゃあね」

「おう。俺はもうちょっとストレッチしてから走るわ」

 ちぃはじゃあね、という感じで手を振りながら去って行った。ゆっくりと体を温めるようにトラックを走り始めている。

 さてと、俺もそろそろ体もほぐれてきたし、アップを始めるとするか。

 伸びをしてゆっくり走り始める。タッタッタ、タッタッタ。規則正しいリズムで走る。タッタッタ、タッタッタ。タッタッタ、タッタッタ。そのうち、ちぃに追いついた。

「ちぃ、ハードルはどう? 短距離から変わったじゃん。上手く飛べてるか?」

「うーん。なかなか難しいかな。ただ走るのとは違って飛びながら走るからちょっとね。タイミングとかまだまだ課題が山積みって感じ」

 ちぃは真剣な顔をしている。何事もやるからには本気だ。

「あんま無理すんなよ。けっこう飛ばし過ぎるんだからな、ちぃは」

「分かってるって。けがしない程度に頑張るわ」

「そう言って、いつもけっこう遅くまでやってるだろ。大会近いからってやりすぎんなよ。そろそろ調整の時期だろ」

「そうなんだけどね。まだ、納得いかないとこがあるから……」

「まあ、付き合うぜ。今日は何時までするんだ?」

「……。6時までかな。っていうか、別にアッツー先に帰ってもいいんだからね。私につき合う義理はないんだから」

 そう言うちぃの顔は少し赤くなっている。

「別に、いつものことだろ。俺も練習しながら待つぜ。どうせ帰るとこ同じだし」

「同じじゃないし。隣の家だからね」

「まあ、似たようなもんだろ」

「はぁ。アッツーってそう言うとこ適当よね」

「俺は細かいことは気にしないんだよ。おおざっぱでもいいだろ」

 俺はニカッと笑ってみせた。ちぃはやれやれという顔をしながらリズムよく走る。

「集合!」

 部長の号令がかかり、俺たちは朝礼台の前に集まった。そして、顧問から今日のメニューを指示を受けてそれぞれの種目に分かれ練習を始めた。俺は中距離の練習に移り、後輩と一緒に100mの10本ダッシュ、体幹トレーニングを含む筋トレの後、春期体育大会(略称、春体)の出場種目の800mと1000mのタイムを計った。タイムはそこそこ。調子はいいと思っていたが、自己ベスト更新には至らなかった。ちょっと悔しい。

「あーあ、そう上手くはいかなかぁ。よし! 気持ちを切り替えて…もう一本、お願いします!」

 そう言って俺はまたスタートラインの前に立った。



 俺と千夏は部活の時間が終わっても自主練を続けていた。暫くすると下校10分前のチャイムが鳴る。俺は千夏に声をかけて帰ることにした。

「おーい、ちぃ帰ろうぜ。もうすぐ6時だ」

「うーん。あとちょっとだけ」

「やりすぎもよくないって言ったろ。それに、下校時間よりも残っていると怒られるぞ。ほら、今日はもう終わろうぜ」

「分かったわよ。じゃあ支度してくるから校門でね」

「おう。じゃああとでな」

 それぞれ陸上部の部室に行って着替える。俺はさっさと着替えを済ませていつもの待ち合わせ場所に向かう。辺りはすっかり真っ暗だ。春だといってもまだ日が落ちるのは早い。街灯の明かりが道路を照らし始めている。ぐぅ~。お腹が鳴った。

 ちぃのやつ遅いなぁ。はぁ~、腹減った。今日の晩御飯は何だろ。

 そんなことをぼんやり考えていたところ、ちぃが小走りでやってきた。

「お待たせ」

「おう。帰るか。お腹減ったなぁ。ちぃんちの晩飯何か聞いてるか?」

「ううん。聞いてないなぁ。何だろ。アッツーんちはどうなのよ?」

「俺ん家は御馳走だぜ。何が出るかは聞いてないけど」

 俺と千夏は並んで歩きだした。俺の家では進級祝いに御馳走が出る。母さんが腕によりをかけて俺の好物を作ってくれるのだ。母さんは調理師で、パートで仕事をしている。しかし、俺が帰って来るまでに仕事を終わらせて、夕食を作って待ってくれているのだ。俺の好物は、豚カツにカレー、ラーメンにピザ、寿司に餃子、和洋中なんでもござれだ。というか嫌いなものがほとんどない。どれが一番好きかと聞かれると非常に困る。その時の気分によるし、なんたって母さんの作る料理はどれも美味(うま)いのだ。今日はどんな御馳走が出るか楽しみである。ぐぅ~。再びお腹が鳴った。晩飯のことを考えていると余計お腹が減る。

「アッツー、お腹が鳴ってるわよ」

 千夏はそう言って笑う。

「仕方ないだろ。部活頑張ったし、下校時刻ギリギリまでやってたら普通にお腹減るだろ」

 俺は言い返した。ぐぅ~。再び腹が鳴った。

「アッツーが限界みたいだし、早く帰りましょう」

 千夏が少し早足になった。気を遣ってくれているようだ。俺も早足で追いつく。そのうち競争になって家まで走って帰ったのだった。




千夏の容姿描写を追加しました。

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