三人組。
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「ん……ここはどこ……?」
少女はベットから起き上がり、あたりを見回した。
ふかふかの布団、見たこともない室内、澄んだ空気、そして美味しそうな匂い。
ぐるるるるるるー。少女のお腹がすごい音で鳴った。
「お腹減ったな……この匂はなに?というかここは本当にどこ??」
ふかふかの布団をぽふぽふしながら状況を整理しているようだ。
「おお目覚めたか!どうだ?体調は悪くないか?」
レオの声を聞いた途端少女はベットから跳ねおき、唸り声を上げながらこちらを睨んでいる。
よかった!意識は取り戻したんだな。なんで唸ってんの、なんでそんな怖い顔してんだよ……待てよ……確かに喋る猫何て珍しいのかもしれない。一応説明するか。
「あーそんなに怖い顔すんなって!えっとな俺はレオ。珍しいかもしれないが言葉を話せるんだよ。怪しいやつじゃないぞ!」
「嘘!!あいつらはどこ!お母さんを殺して、村を焼いて、クーの大切なものを奪ったあの人間はどこなの!」
髪の毛を逆立てながら少女はいう。
あいつらー奴隷狩りもやってやがったのかよ……。
「あーちょっと落ち着けって!俺はあいつらじゃないし……あっ!ちょっと待ってろよ!」
【限定探査魔法】エリアサーチ。
あーあいつらまだ俺の縄張りから出てなかったか。よしさっさと捕まえてくるか。
レオは家から飛び出すと5分ほどで先ほどの3人組を捕まえた。
「ひぃーーーお助け下さい!」
「我々が何をしたと!」
「この猫めこんなことしてどうなるか分かってるのか!!」
「おい口の聞き方に気をつけろよ。」
一瞬レオの小さな体からおぞましい殺気が出た。
「「「ひぃー」」」
3人は怯える少女のように抱き合った。
はあーこいつらの小物感が凄いんだが……本当に奴隷狩りしてたのか?そんな根性あるとは思えないが。
「おい!お前らその子に何したんだ?」
「わっちらはなにもしてねぇーすよ!」
「そうですよ!私達はこの子を指定された場所に連れていけって言われただけです!」
「全くあの野郎の言う通りにこの森通って行けば早いなんてあいつ言いやがって……上位モンスターはゴロゴロいやがるし、こんな化け猫までいやがる」
なんだよこいつら運び屋かよ。んじゃあ黒幕はこいつらが行こうとしてた国にいるって訳か……。
「おい!」
「「「はい」」」
「お前らの行こうとしてた国はなんて国だ?」
どうせ奴隷制度が残るクソみたいな小国だろうが一応聞いとくか。
「はいー!それはですね!倭魏国ヤマトでございます!」
ヤマト?あそこは奴隷廃止を500年も前に決めた所だぞ?今では奴隷のみならず、娼婦とかも政令されている法定国家のはずだが……。
「あの子はどこから連れてきたんだ?」
「聖都市レストワのスラムからある男に頼まれたっす。お金がいっぱい貰えるっす!」
レストワのスラムかあの国は階級制度が根強く残ってるからな。ありえない話ではないか。確かにレストワからヤマトに行くならこの森を通った方が直線距離で最短か……。
「ある男って誰だ?お前達はレストワの人間ってことか?」
「はい私達はレストワで神官をしているカイと申します。」
「俺はスラムのドラコニヤっていうグループを束ねてたグレンだ!」
「わっちはドラコニヤでアニキのお付きをやってるハルルトというッス!実家は貴族っす一応。」
あ?こいつら身分全員違うじゃねぇか。まず何で神官と貴族がこんな底辺みたいな仕事してんだ?
「おい!グレンだったか?」
「はい。」
「お前がリーダーみたいだが何でこんなことしてんだ?神官とか元貴族とかいるみたいだが。」
「はい。元々カイは神官やってたんだが魔法活性剤の密売バレてスラムの協会に飛ばされたんだ。その協会を管轄してたのが俺達ドラコニヤだったんだ。」
「ふふふ。私もお金が必要でしてね。若気の至りであります。グレンさんには協会へのイタズラなどを防止してもらっていたのです。」
「そしてハルルトは都市で他グループに集られてたから俺が助けてやったら懐いちまって……家出みたいなもんだよ。」
なるほど。こいつらにもそれぞれ問題あんだな。でもよそれがあの子を囮にして自分達が逃げる理由にはならんよな。
「おい。お前ら。お前らがやった事の重大さは分かってるな?」
少し威圧気味にレオは睨んだ。
「しょ……しょうがなかったんだよ!俺の妹が病気なんだ!治すには大魔法師の魔法が必要で……とんでもねぇ金がかかんだよ!!」
「私も回復魔法使えますが……そこまでのレベルまではいっていません……。」
「わっちも家から金を持ってこようと思ったっすけど親にスラム街のものにやる金はないって突っぱねられちまったっす。」
「俺にはもうこれしか無かったんだよ!確かに奴隷商売はムカつくだけど……だけどよ……妹と他人の人生……どっちをとるかって言われちまったらそうするしかねぇだろ!!」
「あのよ。妹ちゃんは兄貴が自分のために他人を不幸にしてるって知って、それで治ったと知って本当に喜ぶのか?」
三人は黙る。
きっといい妹ちゃんなんだろうな。さてどうするか……こいつら連れてきて、話聞いてクソ野郎だったら死より恐ろしいことさせようと思ってたんだけどなんかそんな気もしなくなってきたな。
俺には妹や弟はいないがもしいたら同じことをしてたかもしれない。だけど1人の少女を見殺しにしようとしたことは許せないしな。さてどうするか。
「おい。二択で選ばせてやるよ。」
「妹ちゃんは助けてやるが一生お前らは俺とあの少女の奴隷になるか。お前らの妹はどうなっても知らんが逃がしてやるよ。あの少女にはモンスターに食われてたとでも言っとくよ。さあどっちだ?」
これで自分達の自由を優先するならば即こいつらは殺そう。少女に合わせるまでもないクソ野郎としてな。
「猫の旦那!その話はマジですかい!」
は?
「俺の服従で妹が助かるんですかい!というか妹を治せるんですか!!」
「おっおう俺にかかれば朝飯前だ……てかちけーよ離れろ!」
なんだこいつシスコンかよ。まあその清々しさ嫌いじゃないが。
「他の二人はどうだ?」
「うっ……こいつらは関係ねぇんだ。ただ俺を助けたくれただけなんだよ……こいつらは許してやってくれねぇか……。頼む!」
あー意外とこいつ熱い男なんだな。
「兄貴!わっちは兄貴について行くって決めてるっす!もちろん死ぬ時だって一緒っす!」
「ハルルト……おめぇ……」
「グレンさん。私も今まで色んな悪さをしてきましたが妹に対するあなたの気持ち……感銘を受けたのです。私も残りの人生少しは人の役にたつように使うとしますよ。あなたに惚れてますしねワタシ♥」
「カイ……なんかきめぇぞ」
「ひどい!」
うーん。まさか即決とわな……ハルルトは兄貴思いのいい子だな……カイはなんか違う気持ち入ってるがまあいいか。
「よし。それじゃお前ら3人は今日から俺の奴隷だ。こき使ってやるから覚悟しろよ!」
「お……おうそれで旦那妹は……妹はいつ治してもらえるんで?」
「それはお前らの誠意が見えてからだな。」
「なっなにをすればいいっす?!なんだもするっす!」
「よしそれじゃ!まずはあの少女に謝れ!」
こいつらが許して貰えるかはわからんがていうか殺されるかもしれんが……まぁ合わせてみるか。なんかノリでこいつら奴隷にしちまったが……これからどうしよう。家事手伝いでもさせっかな。
黒猫レオは奴隷を手に入れた。(3人)
グレン・オルット(25)
聖都市レストワ・スラム出身。
チームドラコニヤの元リーダー
妹が何より大事(超シスコン)
魔法適性は高い。
攻撃系の魔法を使う。
スラムのリーダーになるくらいなので戦闘能力は高い。
カイ・プレシア(26)
聖護境プレシア出身。
プレシア教の神官。(在レストワ・スラム協会)
オネエ傾向あり。(グレンに気がある?)
聖属性の魔法(回復、浄化魔法など)をプレシアの修行である程度使える。
神の名前を入れていいのは修行を完了したものだけであるため実力はある。
ハルルト・キングダム(16)
聖都市レストワ・都市出身。
家出少年。
グレンの兄貴が大好き。
キングダム家はレストワ理事会の大貴族。
魔法適性は低い。
父親が高性能の魔法道具の収集が趣味であり、その中からいくつかぬす……借りている。
なかなか癖の強い3人組です。
正直出すか迷いましたがこれからの事を考えると出しといた方がいいのでお許しください。
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