死すら覚悟!!!本気の死闘-序章編-
悠里の目の前で、理緒が倒れた。再び立ち上がろうとするがそれすらも許されない。
それを見て悠里は今自分が何処にいるかを改めて実感してしまった。
思わず足が動いて助けに行こうとしてしまう。しかし、今の自分では逆に足手まといになってしまう。道は開くことが出来る。けれどもそのあとが問題だ。今の自分の眼力では見極めることなど出来ない・・・。
それに今、自分に課せられて指名がある今、ここを動くことすら許されない。
だから・・・だから今の自分に出来るのは、自分の使命を全うし、自らの妹、理緒を信じることだけだった。
そもそもの始まりは、今朝の一撃から始まったことだった。
それは早朝の五時に遡る。
悠里はそのとき、暖かい毛布の中でぬくぬくと睡眠をとっていた。
悠里はその日の遅くまでひたすらパソコンの中で戦っていた。
何と。とは言わないが必死に戦っていた。それからの睡眠だったため、有利の睡眠は浅かった。
だから、今起こされると非常に本日に差し支える。
そこに、理緒の本気のドロップキックが高速で飛んできたとき、避けられずベッドから、暖かい聖地からの追放を受けたのだった。
悠里は寝ぼけた眼で今まで自分が幸せに浸っていた場所に立っている妹をにらんだ。
「あに?」
昨日妹が拾ってきた鶏はまだ鳴いていないのを確認し自分を蹴落とし堂々とベッドに立つ妹に再度尋ねた。
「一体何事で?」
寝ぼけ眼で聞いてくる哀れな兄に向かって妹はカレンダーを指差した。
「これをみたまえぃ!!!今日が何の日か覚えてないとぬかすかぁ!?」
寝起きの頭にそれほど複雑なことを言われても困る・・・。妹の誕生日でもなんでもない。
何がなにやら悠里には全く分からない。
その思考中の顔を見て、迷わずラリアットが来るので枕で防ぐ。
避けられるほど目が覚めてもいない。
「こんのたわけぇぇぇ~!!!」
枕で防がれた理緒はすかさず反対の手で後頭部を狙う。
それを防いだ悠里はさらに体を反転させ回し蹴り【寝起き威力半減版】を繰り出し、それを受け止めた理緒が足を持って腹部に拳を叩き込んで・・・・・。
そんなこんなな寝起きで早速銭湯というハイな目覚めで朝を迎えた悠里はカレンダーに歩み寄り先ほど利緒が指差した日付、今日の場所を見た。
『マカデミアデパート新神町秋物20~40%OFF』
とご丁寧に赤などの色ペンを使い女の子らしく強調された文字が悠里のカレンダーに記されていた。
これからおそらく大量の荷物もちであるだろうという事が予想がついてしまう。
大きく息を吐き出してから悠里はいまだベッドで仁王立ちを続ける理緒に向かって
「大体分かったから支度して来い」
と告げた。
結局朝の五時に起こされたというのに家を出たのは七時半となってしまった。
朝のあの無駄な目覚ましがなければあと一時間は確実にぬくぬくとでいたというのに。
悠里と理緒は死闘の渦に巻き込まれ始めていた。