明日のための前夜再活動報告書
今回はとある少年のお誕生日企画によって出来上がった物語なのだ。
放置していてすみませんですなのだ。
深夜の本部に、亮祐はいた。
手にはある紙が握られていた。
背後にいる仲間たちに振り返らずに語りかける。
「俺はこれから、買出しにいってくる。頼んだぜ。明日のために」
そう言うと紙とカード片手に本部の扉が少しずつ開かれて、閉じた。
背後にいた一人は
「これから飾り付けだな。よし、りゅーたやれ」
今では違法のサバイバルナイフを片手に持ち、竜太の首に当てた八迫はひざかっくんをして告げた。
「ふぶぅぅ・・・」
その際、少し竜太の皮膚をめくったらしい。
「ホラ、あんたが働きなさいよ。あんた人の下で働くの好きなんでしょ」
今では知っている人すら少ないメリケンサックをはめて竜太のこめかみをへこました。
「にゅうううううぅ」
「すいません」
亮祐は店に来ていた。こんな夜中にやっている店に。
「はいよ。何をお求めですかね」
人差し指を顎につけて首をかしげて二、三秒後、亮祐は答えた。
「ここから、ここまでかな」
さすがにお坊ちゃまは買い物の心得というものを知らない。
店長はたなごと買い占める客にびっくり、口を開いてバーコードを読んでいた。
そんなこんなで二人によるS行動により、作業はまったく持って進んでいなかった。
まったく持って進んでいなかった。
ドメスティックバイオレンス以外は。略称DVのそれ以外は。
「ただいまぁ」
彼が帰ってきて吃驚した事はと訊ねられれば、こう答えるだろう。
半裸の少年R君が鎖で上から下から縛られて涎垂らしながら揺れていた所です。と絶対に。
けれど少年、亮祐は答えられなかった。
扉を開け、声が聞こえたとたん外から放送された箱の山がなだれ込んできたからだ。
その一番下で亮祐は遭難していた。
単純に言えば、遭難してた。ってこと。
箱の下で。
亮祐が帰ってきたおかげで纏まりが取れた四人は早速明日のために働いていた。
作業中、八迫は亮祐に聞いた。
「買ってきたのか?」
亮祐は作業着を羽織ながら答えた。
「うん。って言うか見たでしょ、最初に来たときに」
「遭難してたな~。おもしろそうだった」
「じゃぁ、今度やってみろよぉ」
言った亮祐は八迫の顔を見た。
【うっわ~。すんげー嫌そうな顔してる!】
「お前、遭難してたなと聞かれたら答えはひとつだろうよ・・・。」
【はふ?】
お坊ちゃまには答えが見当たらない。
首を傾げる亮祐に八迫が親切に角材で突き飛ばして言う。
「そこは《遭難です》だろうよぉ」
【心なしかそんな事で八迫は泣いてないか?】
部屋の隅に固めておいてある箱の山を見て亮祐は思わず、微笑んでしまう。
「おい、お前のかおすんげぇきもちわりぃ~マスクしろ。口だけ切り落としてもいいから」
八迫がマスクとメスを手のひらで渡した。
「選べ!」
にっこり笑っている。
如何しようかと亮祐が悩んでいるその隅っこで、
「はふ、竜太。もっとへやのデコレィションを完成させなさい」
デコレィションはなんだか英語風に言う理緒が格下奴隷竜太君に命令しました。
全員が一度、亮祐を見る。
「それでは各自、明日の朝までに準備を完成させよう!」
そういい終わるか否や、全員-一の姿はこの部屋から飛び出していった。
もちろん-一は格下奴隷竜太君だ。
果たして明日の朝、一体何があるのか。
結構時間がたってから、中央ホール内にて、
「おわったにょろぺへー?」
何か言葉がおかしい。壊れているようだ亮祐八迫。
亮祐が理緒と八迫の前に物体Xを突き出す。
「途中でこれ拾った。」
縄で引きずられても平気で寝ているなぜか全裸の竜太君でした。
八迫と理緒が顔を見合わせてとってもエグイ顔で笑った。
声をそろえて確かめ合う。
「塗り固めて首から下コンクリ。」
明日の朝は、すてきなテーブルになっているもよう。
【こちらの作法でモザイクは掛けたのですが、縄を巻くとき邪魔だったようで外されてしまいました】
このお話は、授業用記録自家製造本に書かれていたお話で、三部作構成となっております。
次回予告
ある少年のお誕生日を祝うため、三人+一個は動く!
あの日の活動報告記録【仮】
少年に、今まで出一番良い思い出を。