ユズの異名と決闘
昨日は仕事が忙しく更新できませんでした。今日、明日は大丈夫そうなので更新していきます。
また、昨日今日と日間のVRゲームのランキング2位でした。みなさまありがとうございます。
一旦ログアウトした後は、カップ麺を1つ食べ、すぐにログインした。
視界が白く染まった後、先ほどログアウトした宿のベッドの上で目を覚ます。ゲーム内での時間を確認すると2時半ほどだった。ログインしたとユズにメッセージを送る。確認するとユウから先の装備のことについて連絡がきていたが、もう新調したとこととお礼の言葉を添えて返信をした。
17時のPvPまで時間ある為、それまで何をしようかと考えているとユズからメッセージが届いた。どうやらユズも一旦ログアウトしていたようだ。
同じ宿に部屋をかりていた為、宿の前で合流すると、17時まで多少時間がある為、露店で帰還石を購入し、まだ行っていない北のフィールドへ向かうことになった。
北のフィールドは東の森と同程度の適性レベルだそうだが、蜂や蟻といった虫型のモンスターがいたり、他のフィールドにはない採掘スポットがあることにはあるが、鉄または石ころ程度しか採掘できない為、あまり好んで入るプレイヤーはいないらしい。
北のフィールドへ入りしらばく進むと、蟻のモンスター 《ジャイアントアント》に遭遇した。動きも遅く単体では、ただの雑魚だろう。しかし数が多い。
殲滅スピードが遅いと徐々に取り囲みながら攻撃してくるらしく、多くの初心者にトラウマを植え付けるようだ。
俺たちは、レベルが適性より大分高いことから問題は無いが、やはり虫がうじゃうじゃといるのは気持ちが悪いな...などと考えているとユズの火魔法によって蟻達は全滅したようだ。
その後、蜂型モンスターには出会わなかったが、蜘蛛型モンスターである 《ジャイアントスパイダー》に遭遇した。何匹か相手をし、正直もううんざりだったので、少し早めだが帰還石を使わずに歩いて帰れば丁度いいくらいの時間になるだろうと街へと戻り始めた。
道中、何故ユズの武器は、これだけの威力の魔法があるのにも関わらず、INT補正のある杖では無く短剣なのかと理由を聞いてみた所、
1つ目は種族の特徴としてAGIとINTが高くなっている為両方を生かせる戦闘スタイルにしたこと。
そして2つ目にソロで行動する事も多かったようでオールラウンドに戦えるようにする為。との事だった。
そして最後に今まで知ってはいたものの何故か聞いていなかった質問をしてみた。
ーなぜ獄炎と呼ばれているのか?ー
理由としては、狐獣人は火魔法が得意という特性があり火魔法のスキルLvが上がりやすい為、βテスターで1番最初に【火魔法上級】へスキル進化した事とパーティ勧誘という名のナンパをされた時に、揉めてしまい決闘になり、大勢がいる前で火魔法上級で使える魔法 地獄の業火を使用したことから、<獄炎>と呼ばれるようになったそうだ。
そんな話をしながらゆっくり歩いていると、街へ到着した。できればユウのー残念勇者ーについても聞きたかったが、これに関しては大体の予想はつくし、また今度でもいいだろう。
◆◇
街の露店を抜け、広場へ着くと結構な人数のプレイヤーが集まっていた。
大方掲示板で今日のPvPの事でも聞きつけたのであろう。
ユズを連れてその方へ向かうと観客のプレイヤーの間に道ができる。
ーリア充爆ぜろー
ーイケメン消えろー
ーユズちゃぁぁぁんー
といったヤジが聞こえるが今は無視をする。人だかりが終わるとそこには、昨日PvPを申し込んできたプレイヤーが待っていた。昨日の初期装備とは違い、頭以外を金属系装備と腰には片手盾と片手剣が掛けてある。だが重厚な感じという訳ではなく、むしろ身軽そうに見えることから、ライトアーマー系の動きをあまり阻害しないタイプの物だということが伺える。また腰にかけてある片手剣はそこまで良い品ではないように見えるが、片手盾については、色こそ銀色だが、金色の細工がしてある。
そのプレイヤーはじっと俺の方を見ていたが、ある程度の距離まで行くと軽く会釈をした後に話しかけてきた。
「初日でテンションが上がってしまっていた...ここまで大事になるとは、思わなかった。すまない。」
詫びの言葉を言ってきたので俺は正直に言葉を返す。
「そうだな。正直物凄く迷惑だ。俺はあんたが最初ケンカを売ってきた時には、まるっきりの初心者だった。ユズやユウがいなかったらあんたどうするつもりだったんだ?まぁでもこうなってしまったのは仕様が無い。だからこれで勝とうが負けようが次からは、もう少し気をつけるんだな。まぁ負けるつもりはないが。」
俺がそう言うと、俯いて俺の言葉を聞いていた男が喋り出す。
「そうだな...。本当にすまなかった。
だが俺もこうなってしまったからと言って手加減する気も負けるつもりもない。お互い全力で戦おう。」
男が喋り終えるとすぐにPvPの申し込みがきた。周りでは観客たちが円になって広がっていき小さい闘技場が出来上がる。
『 ジェスタよりPvPの申し込みがありました』
ルールは
勝敗条件...HPの全損または、降参。
ルール
・アイテム使用禁止
・デスペナルティ無し
となっていた。あのプレイヤーはジェスタと言うらしい。
お互いに適度な距離をとると俺は承諾を押す。
すると俺たちの丁度相半ば程に青く半透明の板状のものが出現し、30秒からカウントダウンをはじめた。
さてどう攻めるか。
作戦が決まったころには、カウントは10秒をきっていた。俺は刀の柄に手をかけ腰を落とす。
3...2...1...0!!
カウントが0になると同時に、距離を詰める。ジェスタは迎えうつつもりのようで盾を構えていた。俺が刀で斬りかかるとジェスタは盾で受けるが俺は構わず連続で斬り込み、息つく暇もなく攻撃する。だが流石はβテスターの中でもそこそこ名前が売れているプレイヤーだ。流石にこのスピードで攻撃されては盾のスキル、片手剣のスキル共に発動させる事は出来ずにいるものの、上手く盾で弾き、間に合わない時には剣で上手く捌いている、ジェスタのレベルは分からないが仮に俺のレベルと同程度だとしても種族の差がある。それを考えると間違いなくPSで対応しているというこどだろう。
だが、決定打はないとは言えジェスタのHPは少しずつではあるが減少していて、しばらくその攻防が続いた後にはHPは4割を切っていた。ジェスタもこのままではまずいと思ったのであろう。一度距離をとるべく、刀を剣で受けると盾のスキルを発動させてきた。そのスキルは衝撃だ。盾が体に触れた途端俺は吹き飛ばされる、飛ばされながらHPを確認する。ダメージこそほとんどないが一応高速回復を発動させ回復する。衝撃を足を地につけて殺す。勢いが収まり顔を上げる。ここで俺は考えていた作戦を実行する。距離を詰めながら魔法を発動させる為詠唱を行なう。発動させる魔法は初級雷魔法サンダー、雷撃を飛ばす魔法だ。同じ雷魔法で今使える魔法では、サンダーボールの方が威力が強いが、サンダーの方が敵への到達速度がはやい。スキル詠唱短縮により、手早く魔法を発動させる。だが短縮くされるとはいえ全く詠唱が必要ない訳ではないので、相手がそれに気付かないはずもなく、ジェスタはとっさ腰を落としに盾を構える。
詠唱が終わりサンダーが発動する。
放たれた電撃は真っ直ぐにジェスタの首元の辺りへ向かう、ジェスタはそれを盾ガードする体制にはいる。
よしっ!予定通りだ。俺は、咄嗟のガードにより盾で視界が隠れた相手を確認すると、心の中で一つガッツポーズをする。
一気にトップスピードでジェスタとの距離を詰める、サンダーをガードをし終え盾を一瞬下ろしたジェスタの顔が見える、それと同時に抜刀から横一文字に刀を振るう。苦虫を噛み潰したような表情で何かを呟いた。その瞬間ジェスタの盾が光る...アーツの光だ。おそらく今のレベル帯を考えると弾きであろう。だがこれも想定内…いや予想通りだ。
俺が振るった刀が空を切る。
するとジェスタの盾の光が収まった。パリィの失敗だ。盾のアーツの1つである弾きは成功すれば、相手の隙を作り出すことができ、更には通常のアーツで生じるようなアーツ後の硬直がない。だがしかし、失敗すれば硬直が発動し僅かながらも隙が出来てしまう。
ジェスタの方を見ると案の定スキルは失敗し前のめりにバランスを崩している。
俺はそのままの勢いで、回転しながらジェスタの首元へ回転斬りを放った。
クリティカルのエフェクトと同時に、ジェスタのHPが全損、決闘終了の効果音がなり、先ほどの青く半透明なボードにwinner‼︎ カグヤという文字が表示された。