キャラクタークリエイト
サービス開始当日。
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今日はいよいよFLOの正式版開始の日だ。今日からこのゲームをやり込むためだけに課題も全て終わらせたしカップ麺や冷凍食品を買い込んだ。準備万端だ。なぜ食品を買い込んだかというと両親は仕事で海外にいるためもともとは家族で住んでいた3LDKのマンションに一人暮らしなのだ。もちろん仕送りは貰っているし(ちょっと多めに)二つ上の大学生の姉も暇な日は遊びに来てご飯を作ってくれたりするので、苦になることはとくにない。
準備こそ万端だがサービス開始である12時まではまだ2時間あるので公式サイトを見てスキル構成などを考えておく。
このゲームは種族LvとスキルLvがあり、種族Lvによりステータスポイントを割り振り、スキルはメインスキルに10個セットして行う。使わないスキルは控えに回しておけるが、別のスキルを取得するには基本スキルLvを5上げる度にもらえるポイントと交換になる更にはスキルの進化や派生にもポイントが必要となるのでスキルの構成は無駄にならないようにしっかり考える必要がある。
また種族に関してだか基本種族は
<ヒューマン>
<獣人族>
・ウルフ
・キャット
・ラビット
<ドワーフ>
<エルフ>
があり特性としては
<ヒューマン>
能力は平均的だが、スキルレベルが他の種族に比べて上がりやすい。
<獣人族>
選んだ動物により多少の差はあるが基本的にはSTRとAGIが高く。INTとDEXが低い。
<ドワーフ>
STRとDEXが高く、AGIとINTが低い。
<エルフ>
INTとDEXが高く、STRとVITが低い。
また基本種族と別に<ランダム>があり基本種族の他にレア種族やユニーク種族がでることもある。ただこのゲームはキャラの作り直しができない為、ものすごくギャンブル性が高くなっている。
βテストでランダムから出現するレア種族は<竜人族>や<獣人(獅子)>や<獣人(虎)>や<妖精族>や<吸血鬼>や<魔族>などが確認されている。
またレア種族等は基礎ステータス値や種族スキル等の能力が高い変わりに成長率に補正があり種族レベルが少し上がりにくくなっているようだ。
ちなみにステータスだが、簡単に説明すると
STR=物理攻撃力に関する値
VIT=物理防御力に関する値
AGI=敏捷に関する値
DEX=生産成功率や命中率に関する値
INT=魔法攻撃力に関する値
MIN=魔法防御力に関する値
LUK=運に関する値
となっている。
と種族やスキルについて考えてはみたが
種族に関しては男なら<ランダム>一択だろ!!てことで種族がわかってからスキルを選択することにした。ただでさえギャンブル性が高いんだ。そこくらいは守りにはいってもいいだろう。
そんな感じで色々と考えているとあっという間にサービス開始時間になった。
VRギアをかぶってパソコンにつなぎ、ベッドに横になる。時間を確認して...............「ダイブインッ!!」
たんだんと視界が揺らぎ気がつけば真っ白な部屋にいることに気づく。その真っ白な部屋にはテンプレ通り...白衣を着たおっさんが...立っていた。
え?なにこれクソゲー?綺麗で神々しい女性NPCじゃないのか?なぜにおっさんみんなそうなのか?
「ようこそ。Fantasy Life On「あっ間違えました。すみません。失礼しました。」%○☆#の世界へって待って!!間違えてないから待ってくれ!!」
思わず喋るおっさんを遮って早口で喋っていた。ふぅー危ない冷静さを欠いてしまった。
「改めまして。よこうそ、FLOへ。僕はキャラクリエイトに関して、みなさまのサポートをすることになってるアデルと言います。今後イベントなんかでもあったりするかもだからおぼえておいてください。では早速だけどキャラクリエイトをしていくから名前を教えてください。」
おっさんはなにごとも無かったかのように、キャラクリエイトにはいっていく。
よかった。みんなおっさんだったんだな。
冷静になった俺もそれに合わせてでてきた半透明のキーボードをたたきこのゲームで使う名前を入力する。
自分の名前から
『カナデ』と入力した。
【すでにこの名前は登録されています。もう一度入力をお願いします】
ちっ!心の中で一つ舌打ちした。早いなありきたりだとは思ったがこうも早く使われているのか...少し残念な気もしながらも今度は名字からとり
『カグヤ』と入力する。
【カグヤで登録いたします。よろしいですか?Y/N】
画面が切り替わりY/Nの画面がでてきたのですぐにYを押す。
【カグヤで登録いたしました。】
名前の入力が終了すると、またアデル…いや…おっさんが喋りだす。
「ありがとうございます。カグヤさん。それでは次にあなたのの種族をおしえてください?」
おっさんがそう言うと今度は種族の一覧が表示される。俺は迷わずに<ランダム>を選択しキャラの作り直し等はできませんがよろしいですか?といった内容の注意文がでてくるがこれも迷わずにYesを選択する。しばらく間があくと画面が切り替わり登録した名前と種族と基礎ステータスが表示される。
名前…カグヤ
種族…吸血鬼族(真祖)
HP…300
MP…350
STR…20
VIT…15
AGI…20
DEX…15
INT….20
MIN….15
LUK…10
あっキタコレ。驚きのあまり少し固まってしまっていた。
確か<吸血鬼族>はβテストの情報では、
・通常ステータスは<ヒューマン>より若干上程度
・日光に弱い(フード付きのローブなどを着ておけばステータスダウン無し、着ていない場合はステータスダウン)
・銀製の武器による攻撃に弱い(相手の持つ銀製武器のAtkが1.3倍になる)
等のデメリットはあるが、メリットは
種族スキル
・高速再生
部位欠損の任意回復
HPの高速回復
(両スキルともにMP使用)
・夜の強者
夜間のHP、MP以外の基礎ステータスアップ(1.5倍)
があったはず。デメリットもたいしたデメリットにはなっておらず、なによりメリットがでかい。高速再生が便利すぎる。MPこそ使用するがたいした量では無いらしいのだ。
あとは吸血鬼といえば吸血というスキルがあってもおかしくないのだろうが、βテスト初期の頃に倫理感的な問題で…削除されたらしい。そこらへんはやはりゲームだな。あーあとはその際に代わりに日光や高速回復のMP使用量が緩和されたようだ、まあそのまま吸血スキルを消去するだけだと吸血鬼のヤツらから不満もでるだろうしバランス調整ってやつだな。
あとはステータスだが確かヒューマンのステータスがオール10程ということなので、このステータスは物凄く高いはずだ。
内心動揺しながらも今度は<吸血鬼族(真祖)>をタップする。
<吸血鬼族(真祖)>
FLOの世界に新たに新たに生み出された吸血鬼族の真祖であり、日光や銀など弱点を克服した吸血鬼の王たる存在である。戦闘特化の為、生産関連が苦手。(ユニーク種)
種族スキル
・高速回復
・闇の支配者
うん、通常の吸血鬼より強そうなのはわかった。種族スキルもほぼかわり無いし、変わっている闇の支配者についてもなんとなくはわかる。一応確認してみよう。
・闇の支配者
夜間フィールドでのHP、MP以外の基礎ステータス2倍
やばいなこれ、最強目指せるんじゃないだろうか。他にもユニーク種族はありそうだし、βテストで発見されている竜人なんかも強かったはずだからなんとも言えないが、間違いなくこれは当たりだ。生産関連が苦手とのことなので、そのへんは勿体無い気もするが。完全に自分の世界にはいっているとおっさんが喋りだす。
「はい、それでは次にスキルを10個選んでください。」
スキルか…生産関連が苦手とのことなので戦闘に関するスキルからめぼしい物を選んでいく。
5分ほどで決め終わった。とったスキルが表示され選んだスキル10個と【これでよろしいですか?Y/N】
俺はYesを選択する。
ちなみに選んだスキルは、
【刀術】
【格闘術】
【回避】
【危機察知】
【気配察知】
【MP増加】
【闇魔法】
【雷魔法】
【詠唱短縮】
を取得した。定番である鑑定は?と思う人もいるだろうが、このゲームでは鑑定スキルは無くても全てのプレイヤーが使用できるようになっている。
「ありがとうございます。それでは最後にあなたのこの世界で使用するアバターを作成していただきます。種族特性などにより変更できない点がある場合があります、また性別の変更やあまりに大きな身体の変更はできませんのでご了承願います。」
おっさんがそう言うと目の前に自分の分身の様なものがでてくる。種族特性なのか元は黒い髪が銀色に、これまた黒い瞳が赤色にかわっている。
髪と瞳に関しては元から変えるつもりでいたので瞳に関してはまあいいが髪が銀色というのはいささか中二病くさいな。
「髪の色を黒に変更して欲しいのだが可能か?」
「可能です。変更しますか?」
「よろしく頼む。」
「畏まりました。」
おっさんの了承の言葉と共に目の前のアバターの髪の色が黒に変わっていく。
「ありがとう。これで問題ないよ。」
「かしこまりました。それではキャラクタークリエイトを終了し、始まりの街へ転送いたします。」
〜それではあなたに幸があらんことを〜
俺の視界は再び白に染まった。