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61話 対抗戦の確認

「改めまして。私の名前はヴィクトリア・セプテンバームです。よろしくお願いしますみなさん」


 俺たちに挨拶をするヴィクトリア様。何とかヴィクトリア様にチームに入ってもらう事になった後、みんなと合流して、騎士学科の4年生の教室に集まって来たのだ。


 他の3人は既に戻って来ていて、俺たちが教室に入った瞬間みんなハイタッチをしていた。


「申し訳ありませんヴィクトリア様。無理言って入って頂いて」


「良いんですよティリシア。私も知り合いのあなたがあの男の奴隷になるのは許せませんから」


 そう言って微笑み合うヴィクトリア様とティリシア。なんだ。この2人って知り合い同士だったんだ。まあ、貴族同士の夜会とかであったりするのだろう。


「それじゃあ、メンバーが揃った事だし、対抗戦について話し合おうぜ。それで良いですかヴィクトリア様?」


「ふふ、私に確認を取らなくても良いですよガウェイン。それからチームなのですから私の事はヴィクトリアと呼び捨てください」


 ん〜? この2人も知り合いっぽいな。ガウェインって実は貴族だったりするのか?


「了解。それじゃあ、まずは対抗戦についての確認だ。対抗戦は5人1組でやる勝負だ。これはわかるなレディウス」


 ガウェインが俺に聞いてくるので、俺は頷く。よくよく考えれば、この中で対抗戦について知らないのって俺だけじゃないか。俺のために確認してくれているのか。


「その5人1組の中から1人リーダーを決める。リーダーと言っても指示を出したりするものじゃない。相手から守る的みたいなものだ」


「もしかして、そのリーダーを狙うのが対抗戦か?」


「そうだ。チームのリーダーがやられたらその時点で敗北。最低でも32チーム。それを4チーム毎、計8グループで戦わせるのが1日目だ。

 そして各グループの生き残ったチームを1チーム対1チームのトーナメント式で戦っていくのが2日目だ。この日で準決勝まで終わらせる。

 そして最終日に3位決定戦を行ってから決勝を行う。これが対抗戦の日程だ」


 はぁ〜、中々時間かけてやるんだな。しかもそれが4学年あるのだから中々盛り上がる行事なのだろう。会場は4会場別れてやるらしいが、魔道具で各会場でも見られるようになっているらしい。


「場所は先週使った訓練場があっただろ。あそこ一面を使って戦う。結構な広さになるぜ」


 だから、訓練場の中に観客席があったのか。毎年対抗戦を見に来る人たちのための席か。しかし、訓練場はかなり広かったぞ。観客席の部分を除いても、円形状で直径150メートル程はあったぞ。


「まずはリーダーを誰にするかだな。誰が良いと思う?」


 ガウェインはみんなを見ながらリーダーについて尋ねてくる。う〜ん、誰が良いのだろうか。というよりかどういう状態になったら負けなのか聞いてなかったな。


「ガウェイン。そのリーダーなんだけどさ。どういう状態になったら負けなんだ?」


「ああ。それはな、試合前に先生からバッチが渡されるんだよ。リーダーはそれを左胸のところに付けて対抗戦を行うんだが、それを取られるか、壊されるかしたら負け。最後の1組になるまでそれを続けるってわけ」


「他のメンバーは?」


「他のメンバーも同じだ。バッチを付けていて、それを壊されるか取られるかしたらその試合では戦えない。リーダーだけバッチの色が違うんだよ」


 なるほどな。極端な話、リーダー1人になっても相手のリーダーのバッチさえ壊すか取るかすれば勝ちってわけだな。


「後、バッチには得点が付いていて、普通のバッチには1ポイント、リーダーには5ポイントついていて、時間制限で終わった試合はポイントの多いチームが勝ち抜くから。時間は1時間だ」


 まあ、長々と試合を続けられないから、そのための措置だな。難しいところだな。取られないようにするなら強いやつに付けさせればいいけど、そうなれば敵を攻める人がいなくなる。


 逆の人に付けさせれば、万が一の時に耐えられずに直ぐに取られてしまうか壊されるだろう。うーん、どうしたものか。


「ティリシアが良いんじゃないの? ティリシアは強いからバッチを守れるでしょ?」


 そこにクララがティリシアを推してくる。


「しかし、それなら守りが得意なヴィクトリア様がやるのが相応しいのではないか?」


 だけど、その事をティリシア本人が否定して、ヴィクトリアを推してくる。守りが得意ってどういう事だ?


「ヴィクトリアは、風、水、光が使えて、特に光魔法が得意で、魔法の種類の中で障壁系が得意なんだ。だから守りに関しては学年でも1番だ。ただ、逆に攻撃魔法が苦手だから学年では上位にいないんだ」


 と、ガウェインが説明してくれる。へぇ〜。そんなに凄いんだ。俺が驚きながらヴィクトリアを見ると、ヴィクトリアは照れたような顔をする。可愛い。


「コホンッ!」


 と、ヴィクトリアの照れる顔を見ていたらマリーさんが咳をする。そして俺を睨んでくる。あまり見るなってことか。


「そ、それならヴィクトリアでいいと思うぞ。残りの俺らで相手のバッチを狙えば良いんだろ?」


「ああ」


「それで良いでしょうかヴィクトリア様」


「ティリシアは良いのですか?」


「私は守りがあまり得意ではありません。攻める方が性に合っていますので」


 ティリシアがそう言うと、ヴィクトリアは綺麗な顎に手を添えて少し考える素振りを見せる。そして決まったのか


「わかりましたわ。それなら私がリーダーを引き受けます。みなさん、私を守ってくださいね?」


 と、笑顔でお願いされる。そんな笑顔でお願いされればこっちも頑張るしかないな。俺たちも全員がうなずく。


「よし。チームは出来たし、今日はお開きにしますか。残りの事は明日以降で大丈夫だろう」


 丁度良いところで話が終わったのでガウェインがそう切り出してくる。もう日もだいぶん傾いて来たしな。俺も荷物を持って帰るかね。そう思って準備をしていたら


「レディウス!」


 と教室の外から声がする。その方を見るとそこには


「どうしたんだよ、アレス」


 校舎が違うのにアレスが立っていた。その後ろにはアレスの親友のクリティシアさんが立っていた。何か用だろうか?


「あら? アレスちゃん、レディウスに何か用なのですか?」


 俺がアレスの元に行くと、俺の左側にいつの間にかヴィクトリアが立っていた。なぜ?


「あっ、ヴィクトリアお姉さま! どうしてレディウスといるんですか?」


 どうやら2人も知り合いのようだ。その上


「アレスか。レディウスに何の用だ?」


 俺の右側にティリシアが立っていた。なぜ?


「え? ティリシア様もいたの? どうなっているのこれ?」


「私たちは対抗戦チームを組む事になったのですよ。それでアレスちゃんは何故レディウスに?」


「それは、レディウスにまた纏について教えてもらおうと……」


「纏?」


「はい。レディウスに教えて貰った技なんです」


 アレスが嬉しそうに話す。そしてその事に興味を持つヴィクトリアとティリシア。


「それは興味深いな。レディウス。ぜひ私にも教えてくれ!」


「ええ。どのようなものか興味がありますわ。よろしくお願いします、レディウス」


 そしていつの間にかガウェインとクララにクリティシアも混ざっていた。こうして何故かみんなに纏を教える事になったのだった。

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