表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/298

41話 話し合い?

 俺とグレッグをニヤニヤしながら囲む男たち。首輪を付けている付けていない関係なしに全員で200程か。残り100人程は様子見ってところか。そしてその中でさっきリーダーと言っていた男が一歩出てくる。


「よお、逃げ足の速いグレッグ。お前がその新人を連れて来たのか?」


「いやいや、俺は偶々あっただけっスよ」


「まあ、どっちでも良いぜ。おい、新人。この中で生きたければ俺たちに頭を下げな。そうすれば残飯くらいはくれてやるよ!」


 そう言いギャハハと笑う男たち。いや、別にここで飯とか食わなくても良いのだけれど。首輪付いていないから、ここを出て少し遠いが王都で食べれば良いだけだし。それよりも


「なんであんたがここのリーダーなんだ?」


 とりあえず気になった事を尋ねてみよう。茶髪の男は怪訝そうな顔をするが


「あぁん? そんなの決まってんじゃねえか。この中で1番強えからだよ」


 と言ってくる。思っていた以上に単純な話だったな。しかし、この隊は訓練なんかはしないのかな? しないんだろうなぁ。


 隊の名前からして、ただの壁役。国としても並ばせておけば良いだろうぐらいにしか思っていないだろう。だから犯罪者を集めた隊になっている。自分たちほ手で下すのをやらなくて済むから。


 だけど、全員が全員死罪になる程の罪を犯したわけではない。となりのグレッグもそうだ。5股はどうかと思うが、死罪になる程ではない。


 他にも首輪をつけていない奴は100人近くいるしな。そいつらは助けてやりたい。まだ、更生できるかもしれないし。


 首輪をつけた奴も、どういう理由で人を殺したかは知らないけど、その中でやり直す気のある奴がいるのならば、助けてやりたい。目の前の男みたいにほとんどが自分から罪を犯した奴だろうが。


 そのためにも


「なるほどね。じゃあ、俺が勝てばここのリーダーでいい訳?」


 俺が挑発するように言うと、リーダーの男はこめかみに青筋を立てる。さっきまで笑っていた男たちも、顔から笑みが消え、剣呑な雰囲気を漂わせている。


「うわ〜、レディウス。言っちゃったっスね。どうなっても知らないっスよ〜」


 となりでヘラヘラと笑うグレッグ。何処と無く楽しそうだな。


「……てめぇ、そこまで言うんだから、覚悟はできてんだろうなぁ? あぁあ?」


 俺は体の筋肉を伸ばしながら


「御託はいいから来いよ、リーダーさん?」


 この言葉が引き金となったのか、リーダーの男は顔を真っ赤にして、周りに俺を取っ捕まえる様、怒鳴り散らす。


「死ねぇ! クソガキ!」


 そして、後ろから殴りかかってくる1人の男。だけど俺はひょいっと避ける。見え見えなんだよ。避ける際に、足をかけるのも忘れずに。男は俺の足に引っかかって顔面からこける。うわぁ〜、痛そう。


 そういえば、全員武器を持ってないな。それなら俺も剣は抜かずに戦おう。一応ミストレアさんから無手での戦い方も習っている。


 ミストレアさん曰く、最強の剣士は剣を持っていなくても強いらしい。実際にミストレアさんも武器を持っていなくても強かったな。何回放り投げられた事か。


「くっ、くそっ! こ、こいつ全然当たらねぇ!」


 全員殺気を放って殴りかかってくるから、気配が丸わかりだな。避けやすい。俺は殴りかかってくる男たちを、躱しては足を引っ掛けてこかして、避けては腕を掴んで体勢を崩してこかす。まだ殴っていない。


「てめぇ、逃げてばかりで勝てると思ってんのかよ? 腰の剣は飾りかぁ?」


 20人程こかした辺りで、リーダーの男がそんな事を言ってくる。俺が全く攻撃してこないから勝てるとでも思っているのだろう。ニヤニヤしている。よし、ここはもっと挑発してやろう。


「いやいや、あんたら程度に剣は必要無いし」


 その言葉に、男たち全員がキレた。


「おらっ!」


 左手で殴りかかってくる男の手を魔闘拳した右手で掴む。男は押しても動かず、引いても動かないので、少しずつ焦ってくる。そこに別の男が殴りかかって来るので、掴んだ男の手を引いて、ガード。掴んでいた男は、別の男に顔面を殴られた。


 俺はその間に、男たちの中へと入っていく。狙うはリーダーの男。ここの中で1番強いのなら、こいつを黙らせれば周りも黙るだろう。


「ちっ!」


 俺が目の前に来たので、焦るリーダーの男は、勢いだけで殴ってくる。そんな腕を振るだけの攻撃が当たるかよ。俺はしゃがんで避けて、腹を軽く殴る。リーダーの男は体をくの字に曲げ悶える。しかし、睨んでくるのは変わらない。


 再び殴りかかってくるのを受け止め、服を掴んで、背に抱えるように引っ張り上げる。男はそのまま俺に背負われるような形になり、地面に叩きつける。


 背から打ち付けた事により、肺の空気が抜けたのだろう。苦しそうに咳き込む。その気持ちわかるよ。俺も何千とミストレアさんにやられたから。


 男は咳き込みながらも立とうとするが、俺は追い込むように男を蹴る。軽く蹴ったので男は3メートルほど転がる。そこに俺は、男を踏みつける様に足を下す。思いっきり。


 男が避けられるスピードで足を下ろしたので、男は慌てて避ける。俺が地面に足を下すと、ズドン! と大きな音がしたので、男は顔を青ざめさせて俺を見てくる。周りの男たちも今は観客モードだ。


「どうした、リーダーさん。逃げてばかりだと勝てないんだろ? 来いよ?」


「くっ、くそぉ!」


 男はただ右手で殴りかかってくるのだけだった。なんでこんなのがリーダーなのかわからん。腕っ節だけで全員に勝ったのだろうか? だけど、まあいいや。これからは関係無いし。


 リーダーの男が右手で殴ってくるのを左手で受け止めて、右手でリーダーの男の顎を打ち抜く。男はそれだけで、目を白くさせて、膝から崩れ落ちる。周りがシーンとしている中で俺は


「はい、今日から俺がここのリーダーな?」


 少しぐらい訓練はさせないとな。俺も王都の図書館とかで、調べよ。


「グゥ」


 ご苦労だったみたいな風に足をぽむぽむするんじゃない!


 ◇◇◇


「失礼しま〜す〜」


 俺は、扉を開けて中へ入る。中には椅子に座る男性、この国の軍のトップであるレイブン将軍。他にも部下が2人と、おっ、これは珍しいっスね。


 銀翼騎士団の団長さんがいらっしゃるなんて。命令を受けてどっかに行っていたからその報告かな?


「貴様! 返事もしていないのに勝手に入るとはどいう事だ!」


 将軍の部下の内の1人がガミガミと怒鳴ってくる。ああ、うるさいうるさい。俺は無視してレイブン将軍に報告する。


「レイブン将軍。例の隊の報告に来たっス」


「ああ、頼むよ。リーネも聞いてくれ」


 俺が報告するからか、出ようとするミストリーネ騎士団長を、レイブン将軍は止める。まあ、将軍がいいならいいっスけど。


 ……ミストリーネ騎士団長の仕草に顔を赤らめる、先ほど怒鳴って来た部下1。男の赤らめる顔はキモいっスね。まあ、いいや。続けよう。


「今日、死壁隊に新しい奴が入って来たんっスけど、それが面白い奴が入って来たんっスよ」


「面白い奴?」


「ええ。黒髪の少年で、相棒に黒い兎を連れてたんっスよ」


「ほぅ」


「えっ!?」


 俺の言葉に2つの声がする。1つは落ち着いた雰囲気だけど、どこか面白そうな雰囲気のあるレイブン将軍の声。もう1つは、予想もしていなかったと思わせる様な驚きの声を上げるミストリーネ騎士団長。


「それはもしかして左目に傷を負った少年ですか?」


 どうやらミストリーネ騎士団長は知り合いらしいっスね。俺は頷くと、ミストリーネ騎士団長は


「将軍。直ぐに彼を近衛兵に加えるべきです。彼をそんな場所へ置いておく人材ではありません」


 必死に将軍を説得しようとするミストリーネ騎士団長。まあ、知り合いが死ぬとわかっている様なところには置いておきたくは無いっスよね。


「いや、そのままにしておこう。その方が面白そうだ。それにあの方の弟子ならそう簡単に死にはしまい」


 おや? どうやらレイブン将軍も知っている様っスね。ミストリーネ騎士団長は首を横に振ってため息を吐く。こう言ったらもう変わらないっスかね。


「わかった。それでは引き続き監視を頼む、グレッグ(・・・)。危なくなったら逃げていいからな」


「了解っス」


 まあ、もう少し見ててもいいっスね。あの少年は何かやってくれそうっス。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ