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271話 懐かしの村

少し短いです。

「おー、俺がいた時の野営地みたいな村とは違って、かなり立派な村じゃ無いか」


 俺は目の前にある村を見て1人で感嘆の声を上げる。あのボロボロの廃村のようなところから、良くここまで持って行けたなぁ、と。


 目の前にある村は、4年前のブリタリス王国との戦争の際に、盗みや無銭飲食のような軽い犯罪から、情状酌量の余地があると判断された犯罪者や俺のよう黒髪……まあ、いたのは俺とロナだけだった……が、正規軍より前線に立ち、兵士たちの盾となる部隊『死壁隊』を閉じ込めるために使われていた廃村だ。


 戦争が終わった後に、生き残った死壁隊の皆に褒賞としてお金と、この廃村が与えられた。そして、ここに残った皆で建て直したのが、目の前にある村だ。


 俺の記憶の中ではもっと小さかったはずなのだが、かなり広がっていた。それに、建ってある建物もかなり綺麗だ。その村を外からぼーっと見ていると


「兄ちゃん、何やってんだ?」


 と、木の枝を持った茶髪の男の子が話しかけてきた。その後ろには不安そうに男なのか後ろに隠れる金髪の女の子が、男の子の服を掴んで俺を見ていた。


「昔ここに来たことがあってな。その時より大分変わったなぁと思ったんだよ」


「そうなんだ。なぁ、兄ちゃんって剣使えるのか!? 俺に剣を教えてよ!!」


 男の子は俺の話にあまり興味を持たずに、俺の腰にあるシュバルツとイデアを見て目を輝かせていた。


「剣を教えて? 周りは誰もしないのか?」


「この辺りは王都の近くで魔獣が少ないから冒険者とかあまり来ないんだ。父ちゃんとかは剣は持っているけど、習ったこと無いって。それに、俺は子供だからあぶねぇ! て持たせてくれないんだ」


 そう言いながら腕を組んで怒る男の子。それはお父さんが正しいだろう。目の前の男の子はまだ7歳か8歳くらいだ。そんな子供に真剣を持たせるのは危ないだろう。まあ、俺は持っていたが。


「流石に親の許可がないのに剣を教える事は出来ないな。それに、俺はずっと教えられるほどここにいるわけでもないし……って、走って行ってしまった」


 親の許可がないと教えられない、という部分だけ聞いた男の子はそのまま家に向かって走っていってしまった。しかも、妹であろう女の子を置いて。


 女の子は男の子の背中を見ながら手を伸ばすが、男の子は気がつかずに家に向かう。女の子は自分の服をギュッと掴んで、今にも泣きそうだった。全く、妹を置いていくなよ。


 俺は女の子に近づいて、頭を撫でる。女の子は驚いて見上げてくるが、微笑みながら手を差し出すと、おずおずと掴んでくれる。


 俺はそのまま男の子が走った方へと歩く。女の子もゆっくりとだけど付いてきてくれた。


 村の中も中々良くなっていた。ボコボコだった地面もしっかりと整地されており、廃村の中に適当にテントを立てて、劣化がマシな家を直しただけだったのが、しっかりと馬車が通れるように幅があり、ボロボロの家なんて無かった。


 俺の記憶の中にある村と、目の前にある村との差に、少し戸惑う部分もあるが、それほどあいつらは頑張ったのだろう。凄いことだよ本当に。そんな村を眺めながら歩いていると


「……レディウス?」


 と、俺の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。立ち止まり振り返ると、そこには少し老けたガラナの姿があった。


「おぉ、本当にレディウスじゃねえか! 久し振りだなぁ、この野郎!」


 ガラナは俺だって気がつくと、走り寄って来て背中をバシバシと叩く。しかも声がでかい。そんなガラナの声を聞いて、他の村人たちも寄って来る。中には死壁隊にいた連中もおり、全員が俺に寄って来た。


 数年ぶりの再会ではあるが、ここまで歓迎されると嬉しいものだった。

無事に昨日第1巻が発売されました!

良かったらご覧下さい!!

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