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125話 魔武器

「……魔剣」


 魔剣か。俺も本でしか見た事があるだけだが、確か魔力を込めると能力が発動する剣の事だよな。


 魔剣も魔道具の1つになるらしい。街中にある魔力でつく街灯や魔力を込めると水が出たり温めたりする事の出来るお風呂など、魔力を込める事により何らかの能力が発動する道具が魔道具。


 魔剣も含む魔力を込める事により能力が発動する武器を、魔武器と呼ばれるんだっけな。魔剣の他には魔力の矢を放つ弓や何らかの能力が発動する魔槍、魔斧などがあるらしい。


 ちなみに俺の黒剣も魔剣だとヴィクトリアから教えてもらった。俺の黒剣は魔力を込める事により、剣の強度が増すものだ。


「あの剣はもう魔剣としては壊れてはいたが、見ていた兵士たちの話からして、あの剣には魔獣の力が宿っていたのだろう」


「魔獣の力……ですか?」


 ロンドルの言葉にヴィクトリアが首を傾げる。そういえば、ロンドルもずっと魔獣だって言っていたな。確かベオウルフトニトルスだったか。


「どうやっているのかは壊れた今じゃわからないらしいが」


「うっ……悪い」


 俺が思いっきり黒剣を突き刺したせいだな。確かに今冷静に考えれば発動しなければあの状態にはならなかったのだ。それを俺は焦って破壊してしまった。


「あっ、いや、レディウスのせいじゃねえ。それにさっきも言ったがレディウスたちがいてくれたおかげで止める事が出来たんだ。最悪俺たちの誰かが死んでもおかしくなかった。だから気にするな」


「そうですよ、レディウス。私たちもレディウスが守って下さったから助かったのですから」


 2人の言葉にみんなが頷いてくれる。なんかみんなに気を遣わせてしまったな。


「それより、アルフレッドってあの剣は前から持っていたのか?」


「いいえ、アルフレッドは突然あの剣を持って来たのですよ。あれは確か……オークの調査の後でしたわよね?」


「ああ。そういえば誰かに貰ったって言っていたな」


 誰かに貰ったか。それがわかれば問いただす事が出来るのだが、とロンドルは悔しそうに言う。後はアルフレッドが目を覚ますのを待つだけのようだ。


 ロンドルはその後、軍にいる父親のところに行くからと食堂を出た。


 食堂に残った俺たちはこの後どうするか相談するのだが、特にする事が思い浮かばない。外は雨が降っているから出る気にはなれないし、かといって惰眠を貪るのもどうかと思ってしまう。


「ガウェイン様! ガウェイン様のお話を色々と聞かせてくださいまし!」


「わ、わかったから! わかったからそんな近づくなよ! 色々と当たってるんだよ!」


 俺たちの目の前では、シャルンがガウェインに猛アタックをしていた。そして、それに巻き込まれるティリシアとクララ。2人はガウェインと4年間同じクラスだったからな。ある程度の事は話せるのだろう。


 ヴィクトリアは合同学科だし、俺は1年しかいなかったから出会ってからしか知らないし。


 ビーンズはやはり苦笑いで見ているだけで、メイリーンに至っては寝ていた。自由過ぎるだろ、こいつら。でもまあ、こんな風にだれる日もあっても良いか。


 ◇◇◇


「ケインズ! どうなっている! 負けたではないか!」


 私は何度も自分の机を叩いて、私の右腕である男を怒鳴り散らす。こやつの言う通りに大金をはたいて魔武器を購入して、あの小僧にタダでくれてやったのに、まさか、負けるとは!


「まさか、アルフレッド氏が負けるとは思いませんでしたな。あのリストニック兄弟でも手を焼いたというのに。あのレディウスという少年は中々の手練れですな」


「何を呑気な事を言っているのだ! このままでは……」


「ええ、アルフレッド氏が目を覚ませばあの剣が誰から手に入ったかバレてしまうでしょう。そうなればあなたは終わりですね」


「なっ!」


 わ、私が終わりだと……。下っ端から始めて、ようやく国でも1.2を争う大商会になり、もう少しで国専属の商会に昇り詰めようとしていたのに。こ、こんなところで!


「ど、どうにかする事は出来んのか、ケインズ!」


 私はこんなところでは終わりたくはない! そう思いケインズの方を見ると


「……わかりました。手を考えましょう」


「おおっ! さすがはケインズだ! それでどうするのだ?」


「もちろん、口封じのためにアルフレッド氏を殺せば良いのですよ」

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