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103話 トルネス王国

「ここがトルネス王国か」


 俺は馬車の中から見える景色に声を上げる。アルバスト王国の建物は焦げ茶色を中心とした建物が多いが、この国の建物は白の壁に水色の屋根と爽やかな建物が多い。


 俺たちは2週間の旅を終えてようやくトルネス王国に辿り着いた。途中は特に問題もなく予定していた行程を進めたようで、兵士の人たちも安心していたな。


 今日から2週間、このトルネス王国の王都に滞在する事になる。親善戦は丁度中頃の7日目に行われるらしい。


 俺は付き添いの先生から聞かされた今後の予定の話を、思い出しながら外を見ていると、馬車は真っ直ぐと王宮へと進む。そういえば、親善戦に出る俺たちは、王宮の近くにある離宮で過ごすんだっけ。そのほかにもトルネス国王陛下にも謁見するとか。


「そういえば、ヴィクトリアはトルネス国王陛下にもあった事があったんだっけ?」


「ええ、ありますよ。あれは、ウィリアム王子のお姉様で、アルバスト王国第1王女だった、フローゼ・アルバストお姉様が、トルネス王国第1王子、レグナント・トルネス王子と結婚するときに。学園卒業と同時に結婚をしたので、あれは確かあれは6年前でしたね」


 って事は、18歳の時に結婚したって事か。話を聞けば、フローゼ王太子妃には子供が2人いるらしい。男の子の兄と、女の子の妹がいるとか。


 俺はそのフローゼ王太子妃について何も知らないので、ヴィクトリアに尋ねてみると、中々勝気な人だったらしい。


 アルバスト王国はフローゼ王太子妃が長女、その下に次女と三女がいて、一番下にウィリアム王子がいるらしい。フローゼ王太子妃が今年25歳。次女が23歳。三女20歳。ウィリアム王子が19歳になる。みんな王妃が1人で産んだそうだ。国王陛下も頑張ったんだな。


 フローゼ王太子妃はともかく、他の2人の王女を見た事がない理由は、次女が北にある国、ゲルテリウス王国との国境の砦の将軍をしており、三女が前のブリタリス王国との戦争で勝ち取った土地の管理の為に行っているからだそうだ。ウィリアム王子より、中々ワイルドだな。


「次女のメレアーナお姉様は、北の公爵家バルスタン家の長男と婚約をしており、もう直ぐしたら結婚するはずです。三女のパトリシアお姉様は、リストニック侯爵家のランバルクだったはずです。まだ、確定ではありませんが」


 へぇ〜、そうなんだ。公爵家の一員だからか、そういう貴族社会には物凄く詳しいんだな。尊敬してしまう。


 それから、色々と話を聞いていると、ようやく王宮へ辿り着いた。俺たち参加組は国王陛下の後について行くんだっけな。しかも、俺たち4年生組が先頭で。ヴィクトリア、ティリシア、クララ、ガウェイン、俺の順で降りる。


 そして、俺が降りた瞬間、王宮の前で待っている侍女や兵士たちが騒つく。おおぅ、この感じ久し振りだなぁ〜。アルバスト王国では、対抗戦が終えてからは、俺の髪を見ても変な視線を向けてくる人が少なくなったからな。なんだか新鮮。


「レディウス。気にすんなよ」


「はは、大丈夫だよ」


 それから国王陛下を先頭に王宮の中を進んで行く。中の感じは何処と無くアルバストの王宮にも似たようなところがある気がする。どこの王宮もこんな感じなのだろうか?


 そして、ようやく辿り着いたのは、玉座の間というところらしい。アルバスト王国でいう謁見の間と同じと言う。扉の前に国王陛下が立つと、両端に立つ兵士が扉を開ける。国王陛下は堂々と進んで行くのを、ヴィクトリアが先頭でついて行く。


 中へ入ると、アルバスト王国のように両端に貴族や将軍が立ち並び、その奥の中心には1人の金髪の男性が立っていた。年齢的には国王陛下よりも、少し年上ぐらいか。この人がトルネス国王陛下か。


「よくぞ、いらしてくれた、アルバスト陛下」


「お久しぶりですな、トルネス陛下」


 2人は近づくと握手を交わす。何だか、仲は良さそうだな。そして、簡単な挨拶を終えると、早速親善戦に出る参加者たちの紹介が始まった。王様同士で話す事があるんじゃないのか? と思ったが、これから2週間はみっちりと話すので、毎回こんな感じらしい。


 紹介は各国の付き添いの先生が行う。一年生から順番に〜家の〜といった風に、貴族なら家名を言ってから、名前になる。平民は名前だけ。そして名前を呼ばれた人は一歩前に出て頭だけ下げ、後ろに下がる。これで紹介は終わりらしい。


「それでは4年生の組は、まずはアルノード男爵家当主、レディウス・アルノード男爵」


 おっ、俺はそんな風に紹介されるのか。俺は一歩前に出て頭を下げる。ここでもやはり周りが騒つく聞こえるのは黒髪が貴族だと、とか、黒髪なのに親善戦に出てるとかだな。


 それから、ヴィクトリアまでに挨拶が終えると、トルネス陛下が質問してきた。


「おや、今年はリストニック兄弟はおらんのか?」


 と。その事に対して、アルバスト陛下が返していたら、トルネス陛下は少し残念そうな表情を浮かべていた。そういえば、あいつらは毎年出ていたんだっけ。多分トルネス陛下も楽しみにしていたのだろう。


 そして、次はトルネス王国側の挨拶が始まる。こちらも同じで1年生から始まり、順番に流れて行く。そして、4年生の順番になった。


 4年生は男が3人、女が2人の計5人のチームだ。金髪のガタイの良い金髪の男が、ロンドル・デガッチャマン。デガッチャマン子爵家の長男らしい。そのロンドルとは真反対の女の子みたいな顔をした茶髪の男が、ビリーンズ。平民のようだ。


 女の方は、金髪の螺旋型のツインテールをした子が、シャルン・マクシリア。マクシリア侯爵家の長女だとか。次に茶髪でぼーとした風の女の子がメイクリーン。平民のようだ。


 そして最後が、金髪のサラサラヘアに、物凄く爽やかな笑顔。歯を見せてキランッと光らせて微笑んでいる少年。名前はアルフレッド・メクリアーノ。メクリアーノ男爵家の長男らしい。


 それぞれの挨拶が終えると、軽く国王陛下たちが話を済ませて解散となった。国王陛下と数名だけが残り、俺たちは離宮に案内される。夜には歓迎会のパーティーがあるらしいので、それには参加しなければならない。


 担当の侍女、案内の下、俺たちは離宮に案内され部屋に荷物を置く。離宮では男が1階、女が2階となった。部屋は当然のように1人一部屋になる。


 それからは、トルネス王国兵がいる範囲ではそれぞれ自由に過ごしても良いというので、俺は庭に出る事にした。


 庭は離宮、王宮どちらともつながっており広々としている。周りは花壇が出来ており、中心部分は運動が出来るように程々に固められた土で出来ていた。


 俺が庭に来た理由は、黒剣を少しでも慣れさせたかったからだ。俺は上機嫌に庭に出ると、そこには先客がいた。


 その先客は侍女服を着た茶髪の女性と、物凄く綺麗なドレスを着た、可愛らしい金髪の小さな女の子だった。

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