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新世紀日米戦争  作者: 007
第4章 崩壊
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講和会議

『2002年12月1日ニューヨーク国連本部にて講和会議が開催された。大日本帝国大泉総理は約束通り国連本部で講和会議を行ったのである。講和会議には大泉総理が直接行く事を決めた。そしてそれを発表した事により、各国も首脳が直接出席する事となった。その為に連合艦隊空母機動部隊はニューヨーク近郊のロウアーニューヨーク湾に展開し、ニューヨーク国連本部周辺の警備を行う事になり艦載機を発艦させ上空警戒を行った。空軍も78式早期警戒管制機が展開し、目を光らせていた。更には空軍輸送機を動員し、陸軍をニューヨークに空輸させて地上警備も行わせた。全てはニューヨークを大日本帝国が完全に破壊し尽くした為に原因があった。ニューヨークは国連本部を除いて廃墟になっており、かつての摩天楼や綺羅びやかな街並みは失われていた。道路も寸断されており、近隣の空港に降り立った各国首脳は大日本帝国が用意したヘリコプターで国連本部に向かった。

国連本部での国際連合総会は毎年9月の第3火曜日から『通常会期』が開かれる。会期開始日はその60日以上前に事務総長から各加盟国に通達され、会期は毎年の慣例として2クールに分けられて、前半はクリスマス前までで、後半は年明けで開催されている。だが今年の国際連合総会は会期開始前に新世紀日米戦争が勃発し、9月にアメリカ合衆国本土上陸作戦が開始された為に事務総長は無期延期を表明していた。それを大泉総理は把握していた為に、講和会議を国連本部で行うと言ったのだ。その為に全世界の代表者が参加する歴史上最大規模の講和会議となった。そしてそれこそが全世界が証人となる、という大泉総理の目的でもあったのである。講和会議は国連本部総会議場ビルで行われた。議場は超満員であった。各国首脳が出席し、世界中からマスコミが取材の為に参加していた。この歴史的な講和会議は各国マスコミによる生中継が行われており、世界中でその模様が映し出されていた。』

広瀬由梨絵著

『新世紀日米戦争』より一部抜粋



歴史的な講和会議に先立ち、大泉総理による演説が行われた。


「世界の皆様、大日本帝国内閣総理大臣大泉麗子と申します。世界の行く末を決定付ける歴史的な講和会議に於いて、冒頭の挨拶という重責を担わせていただきます事に誠に光栄であります。我が大日本帝国と亜細亜条約機構加盟国はつい先日まで、アメリカ合衆国と熾烈な戦争を行っていました。戦争を終わらせる為の戦争と言われた第一次世界大戦、人類史上最大の戦争と言われた第二次世界大戦、此等の戦争を遥かに凌ぐ犠牲者を生じました。かつて1945年8月9日の長崎での核兵器実戦使用が最後と思われていました。ですが今回の新世紀日米戦争は大量の核兵器が実戦使用されてしまいました。戦争の犠牲者は約8500万人、その95パーセントが核兵器によるものです。これを悲劇と言わずして、何が悲劇でしょうか。

そもそも何故戦争は続くのでしょうか。民族・宗教・文化・信念、あらゆる物の価値観が違うのは致し方ない事であります。その価値観の相違を受け入れるか否かが、戦争と平和の分岐点であると確信しております。人類は生存競争と相互扶助という相反する行動が可能な唯一の生物であります。その為に人類は戦争を行い他国を滅ぼしたり破壊行為を行っても、その後は復興事業や財政援助等を通じて助け合って来たのです。

戦争が技術革新を促し、文明の進歩に寄与しているのは紛れも無い事実です。今私達が当たり前の様に使用している物も、軍事技術を民生用に転用して活用されています。勿論民生用技術を軍事転用している物もあります。そして技術革新は今回の大惨事を生み出してしまいました。人は過ちを繰り返すとも言います。その過ちを乗り越えて、人類は進歩していくのです。今回の過ちは大きなものでありました。ですが、だからこそ新たなる一歩を踏み出すのが大事なのです。そしてその新たなる一歩をこの講和会議で、世界各国の皆様と踏み出せる事を期待しております。ありがとうございました。」



大泉総理の演説に総会議場は万雷の拍手に包まれた。その後に始まった講和会議は、概ね大日本帝国が提示した条件を承認するだけとなった。特にアメリカ合衆国大統領が演説に於いて「無条件降伏を受諾したからには、全ての要求を我が国は受け入れる」と宣言し、事実その後は大統領以下代表団は一切喋る事なく調印まで行った。その為に講和会議は大日本帝国の独壇場となった。全ての提案、というより大日本帝国の一方的な要求は全て実現した。その要求通りに講和条約は作成され、大日本帝国とアメリカ合衆国を筆頭に亜細亜条約機構加盟国全てが調印した。その講和条約をその他の世界各国が見守る中での調印である為に、アメリカ合衆国の講和条約の内容を履行するまで監視する事になった。

こうして新世紀日米戦争は、国際的にも正式に終結したのである。




『ニューヨーク講和条約

第1条 アメリカ合衆国はハワイ諸島・ミッドウェー諸島・ウェーク島・ジョンストン環礁・キングマン環礁・パルミラ環礁・ジャービス島・ベーカー島・ハウランド島・ナヴァッサ島・バホヌエボ礁 ・セラニャ礁・マリアナ諸島・ネバダ州・アリゾナ州・ユタ州・アイダホ州・オレゴン州・ワシントン州・アラスカ州・カリフォルニア州の権利、権限及び請求権を放棄する。

第2条 ハワイ諸島・ミッドウェー諸島・ウェーク島・ジョンストン環礁・マリアナ諸島は大日本帝国に割譲する。

第3条 キングマン環礁・パルミラ環礁・ジャービス島・ベーカー島・ハウランド島はキリバス共和国に割譲する。

第4条 ナヴァッサ島はハイチ共和国に割譲する。

第5条 バホヌエボ礁はコロンビア共和国に割譲する。

第6条 セラニャ礁はホンジュラス共和国に割譲する。

第7条 ネバダ州・アリゾナ州・ユタ州・アイダホ州・オレゴン州・ワシントン州・アラスカ州・カリフォルニア州はアメリカ西岸連邦としてアメリカ合衆国から分離独立する。

第8条 アメリカ合衆国は賠償金として大日本帝国・ロシア連邦・中華連邦・インド共和国・タイ王国・大韓民国・インドネシア共和国・フィリピン共和国・ベトナム社会主義共和国・ブルネイダルサラーム国・カンボジア王国・ラオス人民民主共和国・マレーシア・ミャンマー連邦・シンガポール共和国・パプアニューギニア独立国・東ティモール民主共和国・バングラデシュ人民共和国・スリランカ民主社会主義共和国・モンゴル国・パラオ共和国・カザフスタン共和国・キルギス共和国・タジキスタン共和国・ウズベキスタン共和国・イランイスラム共和国・アフガニスタンイスラム首長国・パキスタンイスラム共和国・ブータン王国・ネパール王国・モルディブ共和国・トルクメニスタンそれぞれに、100億ドルを支払う。

第9条 アメリカ合衆国は国際連合安全保障理事会常任理事国から除名される。非常任理事国への立候補も永久にこれを禁止する。』

講和会議は終わりました。これで想定していた物語は終わりです。


しかしヨーロッパ諸国、ヨーロッパ連合の野望も描きたいので、続編を投稿します。

まだ構想中なので投稿する日は、2024年9月8日を予定しています。タイトルは『新世紀最終戦争』の予定です。

暫くお待ち下さい。

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