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新世紀日米戦争  作者: 007
第4章 崩壊
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連合艦隊パナマ運河通過

パナマ運河を通行した大日本帝国海軍連合艦隊空母機動部隊は、一路アメリカ合衆国南にあるメキシコ湾を目指した。6個空母機動部隊全てがメキシコ湾に進出したのは、連合艦隊史上初の事であった。かつて第一次世界大戦に於いて『第二特務艦隊』が地中海に派遣されたが、メキシコ湾では作戦経験は無かった。連合艦隊にとっては未知の海域での作戦となった。

そのメキシコ湾に連合艦隊空母機動部隊は、パナマ運河を利用して進出した。2002年9月21日にサンディエゴ海軍基地に入港し補給と整備を行った連合艦隊空母機動部隊は、陸軍がロッキー山脈越えを開始した2002年10月1日にサンディエゴ海軍基地を出港。約5300キロ離れたパナマ運河を目指した。約4日の航海でパナマ運河に到達した連合艦隊空母機動部隊は、パナマ運河庁に対して利用料金を倍で支払う為に運河通行を優先させてくれるように要請した。要請を受けたパナマ運河庁はパナマ政府と協議した。大日本帝国がアメリカ合衆国と戦争をしているのは当然ながら承知していた為に、連合艦隊空母機動部隊を最優先で無料で通過させる事を伝えた。

連合艦隊空母機動部隊にとっては予想外の返答であった。国際運河であり数多くの国が利用する為に、通行の順番待ちがある程である。それを承知していた為に連合艦隊空母機動部隊は無理強いはせずに、倍の利用料金を支払い優先させてくれるように要請したのだ。それが最優先で無料で通過させてくれると返答された。6個空母機動部隊の最先任指揮官である、大和空母機動部隊司令官はパナマ政府とパナマ運河庁に感謝の言葉を述べた。そして世界各国のタンカーや客船・コンテナ船が順番を譲り応援する意味の汽笛が鳴り響く中、連合艦隊空母機動部隊はパナマ運河を通行した。

パナマ政府が大日本帝国海軍連合艦隊空母機動部隊に対して、無料通過を決定したのは2つの理由があった。かつてパナマ運河はアメリカ合衆国が永久租借するという、圧倒的な不平等関係を押し付けられていた。しかし第二次世界大戦後に民族主義が高まり、パナマ運河の返還運動が行われた。そして1968年の軍事クーデターによって軍が政権を握ると、国粋主義的な方針を取り運河の完全返還を強く主張するようになった。これを契機にアメリカ合衆国と返還をめぐる協議が始まり1977年、アメリカ合衆国とパナマは新パナマ運河条約を締結した。新条約では、恒久的に中立無差別な通航が保証される国際運河であることの再確認と引き換えに、まず1979年に主権をパナマに返還し、アメリカ合衆国の海外領土としての運河地帯を法的に消滅させた。その時点から20年間は運河の管理を両国共同で行うこととされ、1999年12月31日にアメリカ合衆国は全ての施設を返還、アメリカ軍は完全に撤退した。現在のパナマ運河は、パナマが管轄している。

そして以上の事から理由の1つ目は、アメリカ合衆国への報復の為であった。かつての恨みを自力では成し遂げられない為に、大日本帝国に加担して成し遂げてもらおうとしたのだ。

2つ目の理由は、かつて大日本帝国が資金を出してパナマ運河の拡張工事を行ってくれた事へのお礼でもあった。その2つの理由によりパナマ政府は連合艦隊空母機動部隊の無料通過を決定したのだ。そしてパナマ運河庁は連合艦隊空母機動部隊を最優先で通過させる為に、順番待ちの各国船舶に対して事情を説明した。批判を覚悟して連絡を行ったが、各国船舶はすんなりと賛同した。理不尽極まりない理由で戦争に巻き込まれ、世界で唯一3度目の核攻撃を受けた大日本帝国に各国船舶は同情していた。その為に異例な対応であるにも関わらず、連合艦隊空母機動部隊の最優先通過が実現したのだ。

そしてパナマ運河を通過した連合艦隊空母機動部隊は、メキシコ湾に向けて直進。途中メキシコ政府が大日本帝国に対して戦争協力を申し出た為に、メキシコ南東のカンクンにて燃料補給を行った。そして陸軍がロッキー山脈を越えたのとタイミングを合わせて、2002年10月11日にメキシコ湾に展開した。連合艦隊空母機動部隊の目前には、アメリカ合衆国の柔らかい下腹部が広がっていた。アメリカ合衆国にとっては完全に想定外の事態であった。東進してくる陸軍の対応で精一杯なのに、連合艦隊空母機動部隊のメキシコ湾進出である。もはや迎撃を行える海軍は存在せず、空軍では全く太刀打ち出来なかった。国防総省でその報告を受けた国防長官は、再び大至急でホワイトハウスに舞い戻った。報告を聞いた大統領は頭を抱えた。アメリカ合衆国海軍空母戦闘群が壊滅した以上、世界最強の連合艦隊空母機動部隊を防げる手段は無かった。しかし何もしない訳にもいかなかった。大統領は国防長官に対して、空軍の総力をあげて迎撃するように命令した。攻撃では無く迎撃だというのが、アメリカ合衆国の斜陽をあらわしていた。

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