奪還作戦
『尖閣諸島沖海底油田プラント奪還作戦。その詳細な作戦内容が公開されたのは、15年後の事であった。テロリストに占拠された油田プラントという、極限状態での作戦実行は海軍特殊部隊に困難な任務であった。だが海軍特殊部隊特務陸戦隊は大日本帝国軍の特殊部隊の中でも、屈指の実力を持つ特殊部隊である。特務陸戦隊は困難な任務にも関わらず、油田プラント奪還作戦を実行した。作戦は隠密行動にて行われた。人質がいる状況で大々的に作戦を行える訳は無い。特務陸戦隊は油田プラントへの接近から、テロリストの思いもしない方法を用いた。新回天である。大東亜戦争で人間魚雷の特攻兵器として開発された回天の、拡大発展型である。1人乗りの特攻兵器であった回天にその構造に着目した海軍が、特殊部隊の奇襲運用専用に再設計し直し完成したのが新回天となる。新回天は全長20メートル、幅4メートル、高さ2.5メートルの小型潜水艇として生まれ変わった。最大16名の特務陸戦隊が搭乗可能で、16名は特務陸戦隊の1個小隊を根拠にしている。
新回天を用いて油田プラントに接近した特務陸戦隊は、テロリストに気付かれる事無く潜入する事に成功した。テロリストはヘリボーンのみを警戒しており、空へのみ注意していた。この時点でテロリストは自らの無能さを曝け出す失態だが、特務陸戦隊が新回天を運用している事はこの時点で公表されていなかった為、その点を指摘するのは酷であろう。テロリストに気付かれる事無く潜入した特務陸戦隊は、人質の解放から作戦を始めた。管理しやすく1ヶ所に集められていた為、そのポイントを特務陸戦隊は急襲。見張りのテロリストは殲滅され、人質は無事に解放された。しかし特務陸戦隊は人質から油田プラントに爆弾が設置されているとの情報を得たのである。これを受け現場指揮官はチームを二分させた。1組は爆弾の捜索と解除、1組はテロリストの殲滅。現在の状況から考えられる最適な決断であった。
二手に別れたチームは順調に作戦を進めた。爆弾の捜索と解除は的確に行われ油田プラントに設置された爆弾は全て解除された。残されたテロリストも次々に射殺され油田プラントからテロリストは掃討された。
作戦開始から2時間後、特務陸戦隊潜入チーム指揮官は作戦終了を報告した。』
広瀬由梨絵著
『連合艦隊史 外伝』より一部抜粋
午後23時
帝都東京首相官邸地下3階危機管理センター
「……以上により無事に油田プラントは奪還された事を報告致します。」
榊原弘明国防大臣はそう言うと席に着いた。大泉麗子総理は一同を見回すと口を開いた。
「現状で戒厳令は無期限での発令にします。帝国はあの敗戦以来の非常事態です。テロ実行の犯人を特定し、逮捕か殺害するまでは生ぬるい対応はしません。I3(帝国情報捜査庁)は全力を挙げて犯人を特定するように。必要とあれば警察と軍に協力を仰ぐように。」
「必ず犯人を特定致します。」
大泉総理の言葉に神崎春馬I3長官は力強く応えた。
「とにかく油田プラントが解放されて一安心です。しかし明日からはテロリスト特定という困難な戦いが始まります。皆さんの力を合わせて帝国を守りましょう。」