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新世紀日米戦争  作者: 007
第3章 終わりの始まり
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核戦力無力化

国防長官の提案によりアメリカ合衆国大統領は全世界に向けての演説を行った。


『アメリカ合衆国国民の皆さん、全世界の皆さん、今回の大日本帝国への核攻撃に対して説明致します。大日本帝国による降伏要求を覆す為に、我々は72時間の猶予の間に大日本帝国への本土空襲を実行しました。その為に我々は空軍が保有する戦略爆撃機を全て投入しました。B-1・B-2・B-52は空軍基地を離陸し、大日本帝国を目指しました。我々は大日本帝国を核攻撃する事は目標にしておらず、通常兵器による空襲のみを計画していました。ですが我が軍の指揮系統に重大な欠陥があり、現場部隊は水素爆弾をB-2に搭載してしまいました。しかも搭載していたのは出撃したB-2全機であり、最悪の場合は大日本帝国中に水素爆弾が投下される事態でありました。しかし大日本帝国の迎撃によりB-2は撃墜され、唯一生き残った1機が北海道釧路市に水素爆弾を投下したのです。現在憲兵隊のみならず、FBIやCIAあらゆる組織を投入してこの不祥事の原因を捜査しております。そして大日本帝国に要請します。我が国は核戦力の無力化を実行します。これにより核の報復は是非とも、中止するように要請します。具体的な核戦力無力化を説明しますと、ICBMを配備しているサイロから人員を引き上げます。そして戦略型原子力潜水艦を全て浮上させて帰国させます。戦略爆撃機が全滅した今となっては、残された核運用手段を全て無力化させます。これにより我が国は核攻撃の手段を放棄し、今後は通常兵器による戦争を続けると宣言します。全ての核戦力無力化工程は全面的に公開し、世界各国の皆様を証人とします。我が国は決して核戦争を行う意図はありません。その点は大日本帝国だけで無く、ロシア連邦・中華連邦・インドにも表面し報復攻撃は中止するように要請します。大日本帝国の賢明な判断を求める次第です。皆様に神のご加護を。』


そう言うと大統領は演説を終えた。


アメリカ合衆国大統領の演説は世界各国に生中継されていた。しかしその演説に猛烈な非難が寄せられた。核攻撃を行っておきながら、一切謝罪を行っていないのである。軍の指揮系統に重大な欠陥があり現場部隊が搭載してしまった、と言ったのも世界各国に衝撃を与えた。国家安全保障にとって重要な核兵器の運用に、欠陥があるのである。それは有り得ない事であり、苦しい言い訳と受け取られていた。更に核戦力無力化の発表も、疑わしい行動であった。ICBMはアメリカ合衆国国内にある為に無力化は公開すれば分かりやすいが、戦略型原子力潜水艦を浮上させて帰国させるのは信用し難い行動だった。アメリカ合衆国海軍は戦略型原子力潜水艦オハイオ級を18隻保有しているとされていた。しかしアメリカ合衆国はSTART IIで核弾頭数が制限された関係から、2001年にオハイオ級の1番艦から4番艦までを戦略任務から外し、巡航ミサイル潜水艦に改造することを決定した。その為に実際に稼働出来る戦略型原子力潜水艦は14隻となる。しかしそれを全て浮上させて帰国させたとしても、本当に全ての配備を解除したのかの証明にはなりようが無かった。確かな証拠を大日本帝国をはじめ、世界各国に示せないからである。

そんな一方的な弁明を受けて、大日本帝国は核攻撃準備についての対策会議を行った。3度目の核攻撃である。『二度と核攻撃を受けない為に』が大日本帝国の核開発時の合言葉であった。しかし現実には3度目の核攻撃を受けてしまった。会議は断固として報復攻撃を行うべし、との意見にまとまりかけた。しかし大泉総理だけはその意見に反対した。大泉総理は報復攻撃としての核攻撃に反対すると言ったのである。そして大泉総理はアメリカ合衆国本土への上陸作戦に於いて核攻撃を行うべきだ、と言い切った。驚く出席者達に、大泉総理は更に続けた。私はアメリカをぶっ壊すと宣言し、それは今回の核攻撃により絶対に成すべき使命だと確信した、と語った。これにより対策会議はアメリカ合衆国との戦争継続だけで無く、全面攻撃による上陸作戦も行う事になった。それはもはや大日本帝国の面子にも関わる問題であり、世界的には傍若無人な国家の存在を許さないという意思表示でもあった。

アメリカ合衆国大統領の核戦力無力化宣言への対応は官房長官による記者会見で明かされた。官房長官は記者会見で、核戦力無力化が確実に履行されるまでは核攻撃準備は解除しないと言い切った。既にアメリカ合衆国への全面攻撃は決定しているので、時間稼ぎの茶番でしか無かった。これを受けてアメリカ合衆国は核戦力無力化を即時に実行すると発表し、ICBMサイロにはテレビクルーを招いて人員の引き上げを開始。戦略型原子力潜水艦は全てを浮上させて、24時間その位置に停泊させると発表した。その間に世界各国が偵察衛星や航空機により戦略型原子力潜水艦を確認するように求めた。これにより世界は核戦争の危機が表面上は回避出来たと判断した。

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