グアム陥落
水陸両用部隊はグアム島への強襲上陸を開始した。『水陸両用部隊』とは強襲揚陸艦大隅級を中心にした、連合艦隊の空母機動部隊に次ぐ戦闘部隊である。部隊は、強襲揚陸艦大隅級2隻・ドック型揚陸艦根室級2隻・イージス巡洋艦金剛級1隻・イージス駆逐艦陽炎級2隻・攻撃型原子力潜水艦親潮級1隻・ミサイル打撃巡洋艦長門級1隻・ミサイル駆逐艦白露級2隻で編成され、連合艦隊は2個水陸両用部隊を運用している。強襲揚陸艦大隅級とドック型揚陸艦根室級の合計4隻により、『海兵両用作戦部隊』を展開させる事が可能である。
強襲揚陸艦大隅級は搭載機がヘリコプターのみとなっている。93式戦闘ヘリコプター・6式大型輸送ヘリコプター・7式汎用ヘリコプターを搭載。イギリスがハリアーを開発した時はアメリカ合衆国と同じく、興味を示して採用を検討した。アメリカ合衆国は改設計により、AV-8B ハリアー IIとして発展改良型を海兵隊に配備した。しかし大日本帝国は詳細に検討した結果、機体能力が低すぎると結論付け採用を見送った。93式戦闘ヘリコプターで航空支援を行い、艦隊自体の打撃力により対地支援も十分に可能と判断された。しかし垂直短距離離着陸機自体には興味を示し、国内企業に開発を要請している。
グアム島への強襲上陸は順調に進展していた。アメリカ合衆国はグアム島のアンダーセン空軍基地に、B-52とB-1を配備していた。大日本帝国に対する空爆を行う為に配備されていたが、空母決戦を優先して待機命令が出された。しかしその待機しているアンダーセン空軍基地に、89式巡航ミサイルが大挙押し寄せた。水陸両用部隊から先行してグアム島に接近していた攻撃型原子力潜水艦親潮級が、水中から奇襲的に89式巡航ミサイルを発射したのであった。突然の巡航ミサイル攻撃にアンダーセン空軍基地は壊滅状態になった。先手を取られたが、グアム島には陸軍と海兵隊の部隊が配備されていた。しかしその部隊にはパラオを離陸した、89式戦闘爆撃機紫電改が空爆を行った。更に追い打ちをかけるように接近してきた水陸両用部隊の水上艦による89式巡航ミサイルが撃ち込まれた。強襲揚陸艦大隅級とドック型揚陸艦根室級は早くも上陸準備を始めていた。揚陸能力は、強襲揚陸艦大隅級がエアクッション艇を3隻と6式大型ヘリコプターと7式汎用ヘリコプターを使用し、ドック型揚陸艦根室級は機動揚陸艇8隻もしくは水陸両用装甲兵員輸送車52輌を搭載しており、非常に高かった。
上陸作戦を受けて守備隊の陸軍と海兵隊は何とか迎え撃つ構えを見せたが、戦車等の戦闘車輌は全て破壊されていた。89式巡航ミサイルと89式戦闘爆撃機紫電改はピンポイントで攻撃しており、グアム島守備隊の戦闘能力を激減させていた。その為に残された小火器を用いて迎撃準備を行っていたが、そこへ93式戦闘ヘリコプターが発艦して攻撃を仕掛けてきた。何とか携帯式地対空ミサイルで迎撃を行おうとした守備隊だが、その前に35ミリ機関砲とロケット弾の斉射により粉砕されていた。その間にも水陸両用部隊の艦艇による攻撃は続いており、遂に大日本帝国海兵隊がグアム島へ上陸を果たした。上陸作戦は続けられ、戦車や歩兵戦闘車・自走砲・榴弾砲等が迅速に揚陸された。エアクッション艇のみならず、機動揚陸艇やヘリコプターも使用され瞬く間に海岸線は大日本帝国海兵隊で溢れかえった。これによりグアム島守備隊の生き残り最高位の海兵隊大尉は、降伏を決意した。戦闘車輌は全滅し、残されたのはM4数丁だけであった。生き残りも100人を切っており、もはや戦える状態では無かった。大尉は自ら軍使として大日本帝国海兵隊に降伏を伝えに行く事にした。既に通信施設や装置は破壊されていたので、現場部隊の独断であった。
白旗を掲げて近付いて来る軍使に、大日本帝国海兵隊の海兵両用作戦部隊は驚いた。軍使は直ぐに海兵両用作戦部隊司令官の大佐に引き合わされた。対面した軍使はグアム島守備隊の全面降伏と、全島の支配権を引き渡す事を伝えた。海兵両用作戦部隊司令官はその全てを受け入れた。そして生き残りの守備隊の武装解除を伝えた。軍使は武装解除を受け入れ、これによりグアム島での戦いは終結した。海兵両用作戦部隊司令官は水陸両用部隊にグアム島占領を伝え、水陸両用部隊は連合艦隊司令部と国家軍事指揮センターにグアム島占領を伝えた。
こうしてグアム島は58年の時を経て再び、大日本帝国が占領する事になったのであった。
これにより連合艦隊の初期作戦は完了しました。