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新世紀日米戦争  作者: 007
第3章 終わりの始まり
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反撃開始

対艦ミサイルを迎撃した連合艦隊空母機動部隊は、F/A-18E/F隊に向けて85式対空ミサイルを発射した。1機に対して2発の割り当てを行い、800発のミサイルが再び凄まじい勢いで発射された。85式対空ミサイルは近接信管を搭載し、低高度目標への対処能力が極めて高い。セミアクティブレーダーホーミング方式とアクティブレーダーホーミング方式の両方に対応したデュアルシーカーを搭載。誘導性能に於いても極めて高い能力を示していた。特筆すべきはその速度でマッハ4にも達する。

対艦ミサイル飽和攻撃が迎撃された衝撃が大きく、F/A-18E/F隊は回避が遅れた。その為に一瞬の隙を突かれた訳だが、マッハ4の対空ミサイル相手には致命的な隙となった。瞬時に100機以上のF/A-18E/Fが撃墜され、他の機体はフレアを放出した。撃墜されるF/A-18E/Fと大量に放出されるフレアは、テレビクルーが飛行甲板から完璧に捉えていた。対艦ミサイルの迎撃とはまた違った光景は、生中継される映像に迫力を与えていた。連合艦隊空母機動部隊は艦載機の発艦を開始し、その間にも85式対空ミサイルによる迎撃は続いた。フレアを放出しても回避出来なかったF/A-18E/Fが更に100機撃墜された。あまりにも多数の機体が飛び回り熱源が大量にある事から、フレアを放出しても別の85式対空ミサイルに食い付かれた結果撃墜されていた。一気に半数が撃墜されたF/A-18E/F隊は、撤退を始めた。

しかしその背後から、発艦した85式艦上戦闘攻撃機烈風が襲いかかった。格闘戦に持ち込まれたF/A-18E/F隊は必死に回避機動を行ったが、ただでさえ格闘戦能力が高く推力偏向ノズルを装備する烈風に、次々と撃墜されていった。連合艦隊空母機動部隊の6隻の空母は全力で蒸気カタパルトを使い、烈風を発艦させ続けた。そして連合艦隊空母機動部隊は遂に、アメリカ合衆国海軍空母戦闘群に対して89式巡航ミサイル攻撃を開始した。ミサイル打撃巡洋艦長門級・ミサイル駆逐艦白露級・イージス巡洋艦金剛級・イージス駆逐艦陽炎級が89式巡航ミサイルを発射した。89式巡航ミサイルは対地対艦攻撃兼用であり、射程3300キロで530キロの弾頭を有し、マッハ1.1で飛翔する。烈風のカタパルト発艦と89式巡航ミサイルの発射は、テレビクルーが全てを撮影した。83式艦上攻撃機流星改も発艦を開始し、空中に於ける日米航空機の比率は大日本帝国有利となっていった。


アメリカ合衆国海軍空母戦闘群はパニック状態になっていた。頼みの綱の対艦ミサイル飽和攻撃が完璧に迎撃され、F/A-18E/F隊も半数以上が撃墜されたのである。しかも撤退を始めたF/A-18E/F隊からは連合艦隊による、巡航ミサイル攻撃が始まったと連絡が入った。恐るべき事態であった。しかも烈風による追撃を受けており、次々とF/A-18E/Fは撃墜されていた。流星改も発艦を行っており、艦隊に向かっていた。空母戦闘群は急遽迎撃態勢に入った。

その間にも空戦は続いており、F/A-18E/Fの撃墜は続いた。空母戦闘群始まって以来の大損害である。既に撃墜数は300機に達しており、壊滅的打撃であった。それに追い打ちをかけるように、89式巡航ミサイルが殺到して来た。イージス巡洋艦タイコンデロガが防空任務における空母戦闘群の臨時旗艦となり、迎撃の指揮を採ったが、空母戦闘群の迎撃体制は連合艦隊空母機動部隊より劣っていた。特に迎撃体制に於ける密度が悪かった。唯一イージス巡洋艦タイコンデロガ級が127ミリ砲2基装備だが、127ミリ砲や76ミリ砲を各艦1基しか装備していないのが問題であった。あまりにもVLSに頼り過ぎた結果だが、その代償は大きかった。

連合艦隊空母機動部隊が全力で発射した89式巡航ミサイルは、1000発を超えていた。湾岸戦争に於いても同じ数が発射されており、連合艦隊空母機動部隊の打撃力の高さを示していた。アメリカ合衆国海軍空母戦闘群はかつて感じた心強い味方の攻撃を、自らの身をもって経験する事になってしまった。悲壮感漂う空母戦闘群は必死に迎撃を開始した。VLSに装填されたSM2ミサイルは次々と発射され、89式巡航ミサイル目掛けて突き進んだ。127ミリ砲や76ミリ砲も必死に迎撃を開始し、原子力空母が装備するシースパローとRAMも次々に発射され、CIWSも全力で弾幕を張っていた。しかし弾幕は連合艦隊空母機動部隊よりも弱く、89式巡航ミサイルは迎撃をくぐり抜けた。外周に配備されたオリバー・ハザード・ペリー級ミサイルフリゲートは、89式巡航ミサイルの直撃を受けて轟沈した。撃沈される艦が続出し、それは比例して迎撃が弱まる事になった。イージス巡洋艦タイコンデロガ級やイージス駆逐艦アーレイ・バーク級にも89式巡航ミサイルは命中し、次々と撃沈された。アメリカ合衆国の力の象徴である原子力空母に、次々と89式巡航ミサイルが命中した。そして遂に『アイランド』と称され不沈艦と言われた、原子力空母が沈む事になった。世界初の原子力空母エンタープライズは89式巡航ミサイルが50発以上も命中し、凄まじい大爆発を起こして轟沈した。原子炉は緊急シャットダウンされ隔壁で密閉され、放射能汚染は防がれた。原子力空母を護衛する艦艇に過剰とも言える攻撃を行い、空母戦闘群はズタボロに引き裂かれた。そんな壊滅的打撃を受けた空母戦闘群に、連合艦隊空母機動部隊が送り込んだ艦載機が殺到して来たのであった。

連合艦隊空母機動部隊による巡航ミサイル攻撃の数ですが。イージス巡洋艦金剛級が6隻でVLSの40セルに89式巡航ミサイルが装填されています。巡航ミサイルなら1セルに2発なので6隻が各80発。イージス駆逐艦陽炎級は12隻でVLSの20セルに装填。12隻で各40発。ミサイル打撃巡洋艦長門級は6隻でVLSの100セルに装填。6隻で各200発。ミサイル駆逐艦白露級は12隻でVLSの20セルに装填。12隻で各40発。80×6+40×12+200×6+40×12=2640発になります。なのでこれでも半数攻撃となります。

書いていて原子力空母への攻撃で一番最初に思い浮かんだのは、トム・クランシー原作のトータルフィアーズです。

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