表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新世紀日米戦争  作者: 007
第2章 テロとの戦い
19/79

首都制圧

有志連合諸国と北部同盟による圧倒的な攻撃により、アフガニスタン北部の都市であるマジャーリシャリフとヘラートは、北部同盟と有志連合諸国により制圧された。有志連合諸国が制圧したヘラートも事実上、北部同盟の支配領域となった。これにより北部同盟の支配領域は圧倒的に拡大した。北部同盟には有志連合諸国のアメリカ合衆国とイギリスから、特殊部隊が派遣され軍事指導等を行っていた。

マジャーリシャリフ制圧に於いてはアメリカ合衆国から派遣された特殊部隊の内で、12名だけが北部同盟と共同で制圧作戦を行っている。あまりにも大胆で無謀な作戦だが、見事に彼ら特殊部隊は北部同盟と共にマジャーリシャリフを制圧した。

勢いにのる有志連合諸国と北部同盟は、11月13日遂にアフガニスタン首都カブールを制圧。カブール陥落によりタリバーン政権は瓦解し、影響力を急速に失いアフガニスタン全土での支配権を失った。まだ有志連合諸国も北部同盟も進撃していないアフガニスタン南部各地は、続々と有志連合諸国や北部同盟への恭順を誓った。タリバーンが匿っていたアーカイダのメンバー達は都市部から逃げ出していった。逃げ出したアーカイダは、アフガニスタン東部の都市ジャラーラーバードの近くにある、トラボラという地下要塞に避難した。この要塞はかつて対ソ連時に建立されたものでパキスタンの国境地帯にある。アメリカはアーカイダのリーダーを捕まえるため、トラボラの戦いを開始した。しかし、アメリカはこの地域に派遣可能な兵力が2000人もあったにもかかわらず、リスクを懸念してトラボラの周辺にごく少数の部隊しか配置しなかった。代わりに、アフガンの民兵にトラボラでの戦闘を任せた。しかしこの民兵は戦意が低く、アーカイダとの闘いに積極的に取り組まなかったため、リーダーは国境を越えてパキスタンに逃げることができた。

この一連の経緯を大日本帝国は偵察衛星と、急遽タジキスタンに派遣した空軍の偵察機により詳細に観察していた。そしてアメリカ合衆国の判断は大失敗だと結論付けた。もしも最初からアメリカが全兵力を投入して、トラボラを包囲していれば、リーダーを捕まえることができたと考えられからだ。アメリカ合衆国はリスクを懸念するばかりに、大事な目的を達成出来なくなってしまった。



2001年11月20日


大泉総理は新たな危機に緊急閣議を招集していた。アメリカ合衆国で再び猛烈な反日キャンペーンが行われている為である。

アメリカ同時多発テロは、アメリカ合衆国の政治、そして冷戦後の国際社会の大きな転換点となった。アメリカ同時多発テロ事件が勃発する前には、20世紀の『アメリカ合衆国国民の記憶に残る日』は、1963年11月22日のジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件、そして1941年12月7日の大日本帝国海軍による真珠湾攻撃であった。これらに代わってアメリカ国民は、この2001年9月11日をテロの脅威と共に永遠に記憶にとどめることになった。アメリカ同時多発テロは、『外国がアメリカ本土を襲撃した事件』として、『真珠湾攻撃』と度々対比されている。真珠湾攻撃は日本の正規軍が軍事行動としてアメリカ本土ではなくハワイのアメリカ軍基地を攻撃したケースであったが、アメリカ同時多発テロはアメリカ本土が襲撃された事件という意味でも衝撃的な大事件ともなった(なお1942年には日本海軍機がアメリカ本土を数回爆撃している)。しかも、真珠湾攻撃とアメリカ同時多発テロ事件は干支が同じ辛巳であり、『60年後の真珠湾攻撃』とも呼ばれた。アメリカ合衆国国内の世論は急速に先鋭化・超国家主義化したと言われ、ネオコン(新保守主義)勢力が政治の世界で隆盛し、影響力を増大させた引き金ともなった。その後、アメリカ合衆国によるテロ支援国家への攻撃には国民の大半が賛同した。議会でも野党民主党が共和党のタカ派路線を容認する動きが目立った。事件直後、アメリカ合衆国が同時多発テロ事件への大日本帝国とロシア連邦の関与を断言し、過剰なマスコミ報道によりそれが増幅された為に国民の間に大日本帝国とロシア連邦、特に大日本帝国への敵意が増大し、かつては同盟関係にあったのが嘘のように攻撃的になった。マスコミの過剰な報道にアメリカ合衆国国民は、反日運動を行った。マスコミの反日キャンペーンは常軌を逸するものとなり、911テロでワールドトレードセンターに突入した航空機を『カミカゼアタック』と言い、これを以ってアーカイダを大日本帝国が支援している証拠だと言い切った。

大日本帝国資本は全てアメリカ合衆国から引き揚げており、アメリカ合衆国国民の反日運動の矛先は、大使館と総領事館に向けられた。強固なまでに行われる反日運動に、緊急閣議では先手を打つとして、大使館と総領事館の全ての人員を帰国させる事を決定した。大泉総理は榊原国防大臣と空軍統合総長に対して、空軍輸送機を動員して1人残らず帰国させるように命じた。柳谷外務大臣には、アメリカ合衆国に対して大使館と総領事館の退去を通達するように命じた。

アフガニスタンでの地上戦が終結すると共に始まった、アメリカ合衆国による反日キャンペーンは世界に不安を増大させる結果となった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ