状況推移
2001年9月19日
大日本帝国の要請により亜細亜条約機構本部にて緊急総会が開かれた。亜細亜条約機構(ATO)はマレーシアの首都クアラルンプールに本部が設置されている。大日本帝国が提唱してASEANを発展解消させる形で、亜細亜条約機構は成立した。東南亜細亜諸国連合から亜細亜条約機構への発展は文字通り、加盟国の地理的範囲を大幅に拡大させた。ブルネイ・カンボジア・インドネシア・ラオス・マレーシア・ミャンマー・フィリピン・シンガポール・タイ・ベトナムのASEAN時代からの国々に加えて、大日本帝国・ロシア連邦・中華連邦・大韓民国・インド・パプアニューギニア・東ティモール・バングラデシュ・スリランカ・モンゴル・パラオ・カザフスタン・キルギス・タジキスタン・ウズベキスタンが亜細亜条約機構に加盟している。亜細亜条約機構を1つの国家として見た場合、人口・GDP共に世界一となる。
開催された総会にて大日本帝国大使は亜細亜条約第2条の適用について提案した。大日本帝国大使は提案理由についての説明を始めた。
米州機構・北大西洋条約機構・欧州連合・オーストラリアが自衛権を発動し現状世界は類を見ない危機的状況にある事、アフガニスタンに対してはアーカイダの引き渡し勧告を行っておりそれを拒否したアフガニスタンにアメリカ合衆国が武力行使を決定するのは時間の問題である事、我が国やロシア連邦を執拗にアーカイダへ支援を行っているテロ支援国家だと非難している事、最悪の場合には我が国へアメリカ合衆国が戦争を仕掛けてくる事、以上を踏まえて大日本帝国大使は亜細亜条約第2条を適用して亜細亜条約機構が自衛権を発動する事を提起した。
しかし大日本帝国大使は自亜細亜条約第2条を適用せずにすむ可能性も説明し始めた。大日本帝国で発生したテロは6年前の地下鉄サリン事件実行犯のカルト集団残党の可能性が高い事、それを踏まえて大日本帝国政府はアフガニスタンへのアーカイダ引き渡し勧告を支持する可能性がある事、亜細亜条約機構も総意としてアーカイダ引き渡し勧告を支持してアメリカ合衆国の言うテロとの戦いを容認する事、そうすれば実行犯への反撃というアメリカ国民が喜ぶ最大の目的が達成される事、以上が適用しない場合の方針だと大日本帝国大使は語った。
この2つの提案に加盟国は当然ながら後者を支持した。誰もアメリカ合衆国と戦争したくはないのである。これに関しては大日本帝国とロシア連邦はホットラインによる会談で亜細亜条約機構を巻き込むべきでは無い、と結論に至っており最悪の場合は日露2国でアメリカ合衆国と戦う覚悟を固めていた。予想外の提案に総会はアフガニスタンへのアーカイダ引き渡し勧告を支持する事を満場一致で議決。アメリカ合衆国のテロとの戦いも支持する事も決定した。
亜細亜条約機構緊急総会で議決された内容はアメリカ合衆国に衝撃を与えた。国内で発生した同時多発テロを利用して大日本帝国を追い込もうとした矢先の出来事であった。テロ発生後の捜査でアフガニスタンに潜伏するアーカイダが犯人である事を突き止めた。それを利用してアーカイダを大日本帝国とロシア連邦が支援していると国際社会に訴えて、テロリスト諸共攻撃しようと計画した。そうしていた時に大日本帝国でテロが発生。まさかのタイミングであったがアメリカ合衆国はそれも自作自演だと非難する材料に使うことにした。結果としては自作自演は本当であったが、アメリカ合衆国も自国民を殺してまで自作自演をするとは思ってもいなかった。
攻撃材料として自作自演と非難したのである。大日本帝国は計画通り反論してきた為、アメリカ合衆国も非難のトーンを強めた。そこへ海底油田プラント占拠事件である。一時はホワイトハウス内でも大日本帝国への支援が検討されたが、結局は強硬派大統領による判断で非難する事に決定。占拠事件解決の翌日も日露への非難を強め、アフガニスタンへのアーカイダ引き渡し勧告を行った。更には米州機構・北大西洋条約機構・欧州連合・オーストラリアが自衛権を発動し、テロとの戦いに協力すると明言した。
この事態に大日本帝国は亜細亜条約機構緊急総会を招集したとの連絡がホワイトハウスに入ってきた。アフガニスタンと同時に攻撃を始める事が出来る可能性が出来たと強硬派大統領は喜んだ。しかし結果はまさかの引き渡し勧告とテロとの戦いの両方を支持するとの事であった。驚く大統領に補佐官達は説得を行った。これにより世界中がアフガニスタンへのアーカイダ引き渡し勧告を支持しテロとの戦いに賛成した事、現状はテロ実行犯のアーカイダを攻撃する事に集中出来る事、大日本帝国とロシア連邦は後から理由をつけて戦争が出来る事、等をあげて説得を行い強硬派大統領は渋々ながらアーカイダへの対応を優先する事にした。