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Attri-tY  作者: ゆきながれ
見つめるべきは、共通よりも個性であった
88/90

氷点火山 19

「それはできないんだよ。この大会の審査ルールで相手の動きを止めた状態での連撃は無効判定にすることがあるんだ。その境界線は"相手がその状況から脱することができない場合の追撃"、"同じ能力(ティ)による短期間の連続命中(ヒット)は重複しない"……ほかにも色々あったりするんだけど、とにかく連続して命中(ヒット)を狙うのであれば、一度相手の体を自由にしてやることで、新たに攻撃を当てたという判定を誘わないといけない。攻撃を当てやすい状態のまま命中(ヒット)させたとしてもポイントが入らないのなら意味は無いからね。もしかしたらあのバカが自力であの状況を脱出できたかもしれない、あるいは脱出しかけていたかもしれない、そうであれば氷室の追撃には命中(ヒット)の判定が入るだろうけど、そんなものは氷室にはわからない。あのバカを自由にするかしないかで迷っているうちにも時間は経過してしまう。でも氷室は迷わなかった、――そしてもう次の能力(ティ)に取り掛かってる……その判断力、冷静さ、紛れも無い優勝候補だと思うよ」


ノックの頭のなかでは、もう氷室に攻撃する時間は残されているはずがなかった。彼は一撃にターン全ての時間を使うというあてが外れたということは、氷室が大打撃(クリーンヒット)をノックにもう一度与えるかもしれないということでもある。残り時間は20秒、ノックは考えた。あの大技が50秒かけないと繰り出せないというのはフェイクであり、実際は30秒で発動することができた。――そう解釈していいのだろうか。このままなら時間は足りず、氷室があの大技をもう一度発動することはない。だが彼が本当にこれで終わるだろうか、"20秒"という時間がノックにとってはあまりにも異様だった。20秒残った? 違う、20秒残したんじゃないのか。この局面で攻撃フェーズの1/3を意味なく残すわけがない。何かある、何か仕掛けてくる。そうでなければ、自分なら他の手を考えている。

考え、そしてノックは地を蹴った。速く、次々と、あらゆる方向に。

時には跳び、時には"宙を蹴り"、ドーム内を縦横無尽に飛び回った。


「うっわ、ノッ君早すぎ……てか空飛んでないアレ? どういうことなの?」


「もう一撃、来ると読んだわけだな……一度のターンに一回だけ、しかも時間ギリギリだっていう事を覆されたことに驚くだけじゃなく、さらにもう一撃くると警戒するたァ……いい選手なんじゃねェのか? なあ巡クン」


「……いい選手どころか、あのバカは普通に強いよ」


「……巡さんは、ノックさんの事をどこまで知っているんですか?」


自宅にチケットが届いていた時の反応と言い、巡と榎田陸はなにかしらの関係があるのは感じてたが……とても仲がいいのであれば巡と彼が一緒にいるところ見かけていただろうし、もっと早くノックの事を知れたはずだ。しかしどうやらそういった仲ではなさそうで、宮前はいささか疑問に思っていたのだ。


「さぁ……」


「さぁって……」


巡の反応は薄い。教えたがらないのであれば、無理に聞くのも悪いと宮前も思うのだが。


「そんなことより試合を見なよ。――あと5秒だ。散々フィールド内を駆けまわったバカがやられるところ、見逃しちゃうよ」


「え――? 巡さん、いまなんて」


そんなことを言うものだから、タイミング悪く宮前はフィールドから目をそらして巡の方へ向いてしまう。その横顔に再び、白い光が降りかかり……再び視線を戻した時には、


体中を白く包まれたノックが倒れているのが見えた。




〈大打撃(クリーンヒット)、氷室選手2ポイント。合計で8ポイントとなりました――同時に一分を経過、Turn4-1を終了します。お互いに能力(ティ)を解除してください〉

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